内燃エンジンも共存できる脱炭素戦略
一層厳しいユーロ7と呼ばれる排出ガス規制が発表され、自動車メーカーは対応に追われている。新しい内燃エンジンの研究開発へ取り組む余裕はなく、バッテリーEV(BEV)が最優先という状況だ。それが正しい方向性かどうかには、疑問を抱くが。
【画像】中型SUVに好適な直6ディーゼル マツダCX-60 欧州で競合する中型SUVと写真で比較 全135枚
しかし、例によってマツダは他社とは異なる。内燃エンジンが必要とされている限り、高効率化を狙える余地がある限り、諦めることはないようだ。内燃エンジンも共存できる、脱炭素戦略の可能性があると考えている。
今回試乗したマツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブDは、それを象徴するようなモデルといえる。3.3Lの直列6気筒ディーゼルターボ・エンジンが、中型SUVの動力源になっている。
マツダが掲げる新しいラージ商品群、大型で縦置きエンジンのSUVというラインナップは、最近提供が始まったばかり。CX-60の他に、主に欧州向けの7シーターとなるCX-80や、世界市場で展開されるCX-70とCX-90が、今後の予定に組み込まれている。
いずれの市場でも、内燃エンジンに対する需要は小さくない。日本市場も、BEV化に対しては一歩引いた姿勢を取っている。ガソリンか軽油を燃料とする、ハイブリッドという選択肢はまだ必要とされているのが現状だろう。
3.3L 6気筒ディーゼルがCX-60に適したサイズ
2022年に発売されたマツダCX-60は、4気筒ガソリンエンジンのプラグイン・ハイブリッド(PHEV)でスタートした。それに続き、同社渾身の3.3L直列6気筒ディーゼルターボが選択肢に加わった。時代へ逆行するように感じる人も、いるかもしれない。
マイルド・ハイブリッド化されているとはいえ、排気量の大きい6気筒ディーゼルを搭載することを決めた、マツダの判断理由はどこにあるのだろうか。プレミアムなパワートレインといえば、PHEVというような風潮もある現在に。
その答えは明快。このサイズのSUVなら、小さなユニットより好燃費でクリーンだからだ。同等の4気筒ディーゼルと比較して、低い回転数と燃焼温度を保ちながら必要なトルクを発生できると、同社の技術者、ハイコ・ストリーツェル氏は説明する。
もちろん、単に大きいだけではない。革新的なピストン設計と燃料噴射を制御した予混合圧縮着火技術(DCPCI)を採用し、従来以上の燃焼効率を達成させている。内部抵抗を減らし、厳密に制御することで、希薄燃焼状態を4気筒より長時間実現させたという。
「ほどんどの稼働時間で、40%以上の熱効率を実現できています。3.3Lの6気筒ディーゼルエンジンがCX-60に適したサイズだと、研究で立証しています」。と、ストリーツェルは述べている。
実際、WLTP値での燃費やCO2の排出量を比較すると、同クラスの4気筒ディーゼルエンジン・モデルより数字は良好なようだ。V型12気筒エンジンの可能性も、探ってみて欲しいところだ。
4000rpmからみなぎる太いトルク 知的な8速AT
少々難しい話になってしまったが、3.3Lのディーゼルエンジンを搭載するCX-60は、欧州では2種類から選べる。199psを発揮する後輪駆動と、254psの四輪駆動だ。トランスミッションは、自社開発となる湿式クラッチを備えた8速オートマチックが組まれる。
電圧48Vによるマイルド・ハイブリッドで、スターター・ジェネレーター(ISG)が最大15.5kg-mのトルクを生み出しエンジンをアシストする。今回試乗したのは、199psの後輪駆動となる。
アイドリング時は、ディーゼルらしいザラついたノイズが車外に響く。最近では珍しいほど、ガソリンエンジンではないとわかる。しかし、発進して巡航速度に乗ってしまえば、滑らかさが大幅に高まる。
2200rpm前後までの希薄燃焼時は、現代のユニットとしてはノイズが大きいことをマツダは認めている。この影響を最小限に抑えることが、バランスに優れる直列6気筒というシリンダー構成を選んだ理由でもあるようだ。
4000rpmを超えると勢いよく回転数が高まり、太いトルクがみなぎってくる。フルスロットルを与えると、人口のエンジンサウンドが大きめに車内へ響くが、軽負荷時の車内は充分に静か。エンジンを回したいと思える個性を備え、不足なくパワフルだ。
8速ATは滑らかに変速を繰り返し、高めのギア比を保つ。ドライバーの気持ちを汲んだように、シフトダウンのタイミングも知的。印象がいい。
ステアリングホイールの裏にはシフトパドルが備わり、マニュアルでの変速も可能。適度にクイックで、運転する気持ちを鼓舞してくれる。
操縦性は良好 乗り心地にはギクシャク感
CX-60の車内空間にはゆとりがあり、ドライビングポジションは適切。定員分の大人が快適に移動できる。テキスタイルの素材感も高く、レザーとのコーディネートも魅力的に思えた。
ただし、場所によってはチープなプラスティック製部品も散見される。ドアハンドルやシフトレバーの感触は驚くほど軽く、ラグジュアリーな雰囲気にはそぐわない。ドアの開閉時の重厚感はもう少し欲しい。
このクラスのSUVとして、操縦性は良好。一方で乗り心地にはギクシャク感が伴う。路面によっては、落ち着きを失うような場面もあった。風切り音とロードノイズも、比較的車内に届くように感じた。
優れたパワートレインに見合う洗練性を得ていないことが残念。高完成度なプレミアム・モデルとしてCX-60を仕上げるために、マツダが取り組むべき余地は残されている。
とはいえ、この6気筒ディーゼルターボは、SUVに求められる高負荷や長距離走行に好適といえる。今回の試乗では、少し気を使うことで23.0km/Lという驚くほどの燃費も示した。PHEVのように充電の必要もない。訴求力は低くないといって良いだろう。
マツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブD 200 RWD エクスクルーシブライン(欧州仕様)のスペック
英国価格:4万2800ポンド(約684万円)
全長:4745mm
全幅:1890mm
全高:1680mm
最高速度:212km/h
0-100km/h加速:8.4秒
燃費:20.0km/L
CO2排出量:128-130g/km
車両重量:1816kg
パワートレイン:直列6気筒3283ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:199ps/3600-4200rpm
最大トルク:45.8kg-m/1400-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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みんなのコメント
完成させてしまうと後は朽ちていくだけと東照宮の柱を1本だけ逆にしているのと考えは一緒。
未完成な車は完成の息に達するまで永遠に改善する事ができるのです。今後は年次改良を経てどんどん改善されていく伸び代無限大の素晴らしい車です。
ただ未完成の度合いが売り物としてはスタートレベルが低すぎたというだけのこと。
(仕組みは知っております)