世界戦略車となったコルベットは右ハンドルを用意
少し前の話になるが、GM(ゼネラルモーターズ)ジャパンによると、5月末に富士スピードウェイでシボレー コルベットの成約者に向けた無観客配信イベントを開催したとのこと。
2020年1月に開催された東京オートサロン会場にて、アジアプレミア(アジア市場初公開)が行われた新型シボレー コルベットであるが、コルベットとしては初めての右ハンドルモデルが正規輸入モデルとして導入される。事情通いわく「GMとしてはコルベットを世界戦略車として捉えており、右ハンドルモデルがラインアップされたようです」と語ってくれた。
日本における輸入車のハンドル位置(右か左か)ということでは、なかなか意見が分かれるところがある。そもそも、いまから76年前に日本は太平洋戦争に敗戦。そして、戦勝した連合国軍が日本に進駐してきた。進駐と同時にそれぞれの母国から持ち込み日本に上陸した乗用車が日本を走り出し、アメリカ軍が多かったこともあるのかその多くは左ハンドル車であった。
進駐軍関係者がそのまま左ハンドル車で日本国内を運転していることのほか、当時はいまのような世界的な自動車生産国となっていなかった日本では、いわゆる進駐軍払い下げ、つまり進駐軍で使っていた中古車を日本人の富裕層も乗るようになり、その流れで令和となったいまでも左ハンドル車で運転できるようになっているとの話を聞いたことがある。
ただ、日本と同じように左側通行となる国で、日本のように左ハンドル車が当たり前のように販売されているのは極めて珍しい。筆者が小学生の頃、スーパーカーブームというのがあり、近所のスーパーにランボルギーニ カウンタックがきて撮影会が行われると聞いて友だち数人と出かけた。
しかし、そこに置いてあったカウンタックが右ハンドルだったのである。そのカウンタックを見て友人とともに、「右ハンドルだからニセモノだ」と落胆したのをいまも覚えているが、大人になってから左側通行の国向けの仕様だったと理解した。
イギリスは日本と同じく左側通行で右ハンドルの国だが、日本の街なかを走るイギリス車で左ハンドル車を見かけることがある。
過去にはアメリカから中古車として左ハンドルモデルが輸入されることも多かったようだが、いまでも正規輸入される新車でも右ハンドルだけでなく、左ハンドルを選べるモデルがある。
「イギリス車なのに左ハンドルを選ぶなんて」と思う人もいるかもしれないが、「輸入車を複数保有している人では、そのうちの1台が左ハンドルしかないモデルなので、ハンドル位置を揃えるために左ハンドルにする人もいる」と聞いた時には、「なるほど!」と思った。
アメリカ車ファンはアメリカ仕様のクルマを欲しがる傾向が強い
アメリカンブランドについては、いまや日本国内で正規輸入販売されているブランドは、キャデラック、シボレー、ジープ、そしてテスラぐらい。ジープやテスラは右ハンドルモデルをラインアップするが、GMではキャデラック車は左ハンドルのみとなっている。
過去には、「全長を詰めて右ハンドルにして、さらにウインカーレバーを進行方向右側にすれば売れる」とのことで、キャデラックで全長を短くし、右ハンドル、そしてウインカー位置まで変えたのだが、期待するほど売れなかったということがあった。
これが、輸入車販売シェアが少ない日本市場においても、そのなかで販売台数の多いドイツ車では、右ハンドル仕様など、日本市場への対応は重要となるが、アメリカ車は残念ながらドイツ車ほどの販売シェアはもっておらず、もっぱらアメリカ車ファンがメインユーザーとなっていた。
そして、アメリカ車に強いこだわりを持つがゆえに、右ハンドル化や全長の縮小などはネガティブに働いてしまうことが多く、「アメリカ仕様とあまりに違う」となるのである。
ネガティブに働くのならまだしも、正規輸入モデルに愛想をつかして個人で輸入したり、アメリカ本国仕様の輸入販売をしている業者から購入したりしてしまうコアなアメリカ車ファンが目立つというのも、アメリカ車ならではの傾向だ。
過去には、車検時の検査だけすり抜けるために、黄色いウインカーをテープ止めして検査を通し、通った後には外して、アメリカ仕様と同じ赤いウインカー(日本では違反)のまま日本国内で乗る人も多かった。
時おり、「日本にもアメリカンピックアップトラックの正規輸入を」という話が出てくるが、そもそも1ナンバーになってしまうなどハードルは高い。正規輸入するからには部品の国内ストックなどの手間やコストもかかる。
仮に正規輸入するとなっても、ピックアップトラックの場合、できるだけ国内で使いやすいようにとダブルキャブ+ショートベッド(荷台が短い)の仕様になる。アメリカ車ファンの中にはトラックはシングルキャブと考えている人も多く、そんなアメリカ車ファンを落胆させてしまうことにもなるだろう。
そんな人たちは、自ら輸入したり業者を通してアメリカ仕様を購入したりしてしまうので、わざわざ正規輸入する必要はないとの話も聞いたことがある。
新型コルベットでは、すでに右ハンドルの正規輸入モデルの初期ロットは完売しているとのこと(その多くはアメリカ車販売の専門業者との話もある)だ。ただ、旧来からのアメリカ車ファンは、アメリカから左ハンドルモデルを個人輸入したり、輸入販売している業者から購入したりしているとの話も聞く。
アメリカ車ファンは本国仕様の左ハンドルを好んで乗り、右ハンドルの正規輸入モデルは、アメリカ車うんぬんではなく、新型コルベットに興味のある、いわば新規顧客を取り込むのには有効なのかもしれない。GMは日本市場で積極的な拡販を狙っているわけではないが、アメリカ車ファン以外の反応というものを見たいのかもしれない。
世界市場を見渡しても、これだけ自国ブランドと輸入外資ブランドの世界がはっきりわかれているマーケットは珍しい。右ハンドルにして、日本市場でより使いやすくしてあればそれでいいというわけでもないところは、なかなか手ごわいマーケットといえるが、日本で上手く立ち回れれば、世界マーケットでの販売にも相当自信がつくといわれていることには妙に納得させられてしまう。
韓国ブランド乗用車の再上陸や、中長期的には中華系ブランドの上陸も考えられるが、どのような形で日本市場において展開していけばいいのかは悩ましいところのようである。
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みんなのコメント
今や、ポルシェの国内販売も右ハンドルがデフォになって、現行911でも左ハンドルだと意外なくらいなのだから。
イギリス行けば、昔っからフェラーリだろうがランボルギーニだろうが、ぜんぶ右ハンドル。
逆にアメリカ行ったら右ハンドル走行は違法で、法規適用外となる「製造後25年超」を待って、中古GT-Rとか米国に流れるのは有名な話。
昔から輸入車讃えるのに「安全装置がー」とか言ってる自動車メディアが、運転については路肩側運転の逆ハンドルでも肯定どころか積極的に勧めたりしてるのは、ほんとダブスタもいいところ。
日本車でも輸出向けに左ハンドルを作っているのと同じです。
アメリカ車のオリジナルにこだわって輸入するのは良いがヘッドライトだけは左通行向けに
変更しなければならないと思うが法律的にはどうなんだろう。
右側走行用と左側走行用では光の配光パターンが違うので右側走行用のヘッドライトのまま
左側で走らせると対向車が眩しくて仕方がないし危ないと思うんだが。