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エンジン+モーター=「答え」じゃない! ハイブリッド車の「システム最高出力」の不思議

 単純にエンジンとモーターの出力を足した合算値ではない

 ハイブリッドカーのカタログで諸元表を見ると、エンジンとモーターにそれぞれ最高出力と最大トルクが記載されている。では、ハイブリッドカーが車両全体として発揮できる最高出力(システム最高出力という)はエンジンとモーターを単純に足せばいいかのといえば、そうとはいえない。

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 たとえば、日本を代表するスーパースポーツであり、その複雑なシステムからハイブリッドカーの最高峰ともいえるホンダNSXについて。システム最高出力は581馬力(427kW)、システム最大トルクは646N・mと発表されている(ホンダ測定値)。

 NSXはリヤを駆動するV6ツインターボとモーター、フロントの左右独立モーターによって駆動力を得ている。それぞれの最高出力はV6エンジンが507馬力(373kW)、リヤ駆動モーターが37馬力(35kW)、フロント駆動モーターが37馬力(27kW)×2基となり、単純に合計すると462kWとなる。また、最大トルクについてもユニットごとのスペックを記せば、エンジンが550N・m、リヤ用モーターが148N・m、フロントは左右それぞれ73N・mとなり、こちらも単純な合計では884Nmとなる。いずれもシステムで発揮できるスペックよりも大きい。

 なぜ、このようなことが起きるのだろうか。それはモーターとエンジンの特性の違いやモーターの最高出力と供給できる電力にギャップがあるからといえる。

 まずNSXを例に挙げたが、NSXのシステムは非常に複雑で、必ずしも3個のモーターがフルスペック状態で駆動するとは限らない。一方、同じスーパースポーツでもエンジンとモーターの出力をシンプルに足せるケースもある。

 その代表例が、フェラーリが2013年に生み出した初のハイブリッドカー「ラ・フェラーリだ」。F1テクノロジーを感じさせる『HY-KERS』と名付けられたハイブリッドシステムは、V12エンジンと前後それぞれに配されたモーターによって963馬力を発生できると発表した。これはエンジンの最高出力800馬力と、モーターの合計出力163馬力を足した数値とイコールになっている。

 こうした単純計算が成り立つのは、フェラーリの採用したハイブリッドシステムがパラレル方式といって、エンジンとモーターの出力がそれぞれタイヤに送り込まれる構造となっているからだ。もっとも、通常のパラレル式ハイブリッドではエンジンが苦手な低速領域をモーターがカバーして、高回転域ではモーターアシストを停止するという制御となっていることが多く、ラ・フェラーリのように単純計算で合計できるケースというのは稀だ。

 e-POWERはモーター駆動だけにシステム出力算出は簡単

 もうひとつ、「シリーズ方式」と呼ばれるハイブリッドシステムもある。その代表格は日産の「e-POWER」だ。仕組みとしては、エンジンは発電に徹し、駆動はモーターが担うというもの。そのため、車両として発揮できる最高出力や最大トルクはモーターのスペックを見るのが正解。諸元表にはエンジンの最高出力や最大トルクの数値も載っているが、車両のパフォーマンスとしては、そこに意味はない。

 ちなみに、デビューしたばかりのキックスでいうと、エンジンの最高出力は82馬力(60kW)、モーターの最高出力は129馬力(95kW)。外部充電はなく、ガソリンを入れてエンジンだけで出力を生み出しているはずなのに、エンジンの最高出力よりもパワーを出せる理由は、モーターを駆動する電力はバッテリーから供給されるからだ。

 バッテリーが129馬力(95kW)の出力を実現するだけの電力を供給しているため、諸元表のモーター最高出力は129馬力(95kW)となる。これは、ハイブリッドカーはじめ電動車両全般にいえることだが、車両としてのパフォーマンスを把握するにはバッテリーのスペックを知る必要があるのだ。ただし、バッテリーについては個数やアンペアなどは公表されていても、バッテリー出力のピーク値を公開しているケースはほとんどない。

 日産e-POWERでいうと同じモーターを使っていながら、モーター最高出力はノートが109馬力(80kW)、キックスが129馬力(95kW)、セレナとノートe-POWER NISMO Sが136馬力(100kW)と3パターンあるが、これらはバッテリーのピーク出力と、それをコントロールするインバーターの性能によって違いが生まれているといえる。

 このようにパラレル式ハイブリッドであれば、場合によってはモーターとエンジンの最高出力を足すことでシステム出力がわかる。シリーズ式ハイブリッドではモーターのスペックが車両としてのシステム出力を示すのだが、外野からはまったく計算できないのがトヨタに代表されるシリーズ・パラレル式ハイブリッドだ。ホンダの「e:HEV」もシリーズ・パラレル方式といえる内容で、同様に公表されている諸元からではシステム出力を得ることはできない。

 走行状態によってベストな出力となるよう変動する

 パラレル式ハイブリッドの説明で、速度域によってモーターとエンジンを使い分けているという内容を書いたが、シリーズ・パラレル方式ではもっと複雑だ。

 仮にエンジンの出力を100としたときに、30でタイヤを直接駆動して70は発電をする。その一部を使ってモーターがタイヤを駆動、余った電力はバッテリーに溜めておくといった制御をしているのがシリーズ・パラレル方式なのだ。そして、この比率は状況に応じてリアルタイムに変化している。さらにエンジンで100の力を出すと同時に、バッテリーからも100の力を出すこともシステムの構造的には可能だったりする。

 そうであれば、エンジンとバッテリーの最高出力を合計すれば、車両として発生可能なシステム最高出力は計算できるが、外からは必ずしもそうした制御モードを持っているかどうかわからない。結論をいえば、メーカーが公表しているシステム最高出力の数値を見るしかなく、その内訳についてもメーカーが発表していない限り想像するしかない。

 たとえば、トヨタRAV4 PHVのシステム最高出力は306馬力(225kW)となっている。エンジンの最高出力は177馬力(130kW)、モーターの最高出力はフロントが182馬力(134kW)、リヤが54馬力(40kW)。この3つの出力を合計すると413馬力(304kW)だから、システム最高出力とのギャップは107馬力(79kW)になる。

 仮にエンジンが最高出力を発生している状態でモーター分を足しているとすると、306馬力(225kW)−177馬力(130kW)という計算になるから、モーターの出力分は129馬力(95kW)となり、前後モーターの能力からすると半分程度しか発揮していないことになる。また、この諸元から少なくともバッテリーがモーターを回すためのピークとしては182馬力(134kW)相当の電力を供給できることはわかる(必ずしも前後が同時に最高出力を発生するとは限らないため)。

 その数値を前提として、モーターが182馬力(134kW)出しているときに、エンジンの出力を足すカタチでシステム最高出力を発揮しているとすれば、そのときエンジンは124馬力(91kW)を発生していることになる。つまり、エンジン側からすると124馬力(91kW)~177馬力(130kW)、モーター側は129馬力(95kW)~182馬力(134kW)の範囲で動いているときに、車両としてのベストパフォーマンスを発揮している可能性がある。いずれにしても、ブラックボックスのなかの話で明確にはわからない。

 こうした理由から、シリーズ・パラレル式ハイブリッドのシステム最高出力は計算できない。わかるのはエンジンとモーターを合計した数字以上のシステム最高出力はあり得ないという一点だけだ。

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