マネージング・テクニカル・パートナーとしてアストンマーティンF1に加入したエイドリアン・ニューウェイ。加入から2ヵ月半が経ち、モナコGPで初めてチームに同行している。
ニューウェイの役職は、今後数年間でF1制覇を目指すチームの、あらゆる技術面に携わることができる、包括的なポジションである。
■ニューウェイが語る、ホンダへの厚い信頼「彼らはまさに、エンジニアリング主導の企業だ!」
モナコGPのパドックで、F1メディアからの初めての取材を受けた”アストンマーティンの”ニューウェイは、オーナーであるローレンス・ストロールが築き上げてきたチーム像と、新レギュレーション下でチームが何を達成できるのかについて、自身の見解を語った。
■ニューウェイが感じた第一印象と、見出した主な弱点
ニューウェイは挨拶もそこそこに、アストンマーティンが克服すべき弱点について、率直に語った。
アストンマーティンF1は、レーシングポイントを引き継いで生まれたチーム。まだ誕生からは日が浅い。しかしながらローレンス・ストロールは、有能な人材を次々と獲得。効率的な運営体制を模索している。その成長痛に悩まされていると、ニューウェイは表現した。
「私の最初の仕事は、チームを設計し、全員と話し合いながら、チームの仕組み、強みと弱みの両方を理解し、強みを活かして弱点を克服するための計画を立てることだった」
そうニューウェイは説明した。
「非常に優秀な人材がたくさんいる。彼らをもう少し組織的に、そして効率的に連携させていく必要がある。これはジョーダンをルーツに持ち、フォースインディア、そしてレーシングポイントへと発展してきた、歴史の積み重ねによるものだ」
「当初は小規模ながらも、期待値を若干上回るパフォーマンスを発揮していたチームだった。ただ非常に短期間で大きなチームへと成長し、今年は実のところ期待はずれのパフォーマンスになっている。これは全員が落ち着き、個々の能力を最大限に引き出す方法を学んでいるためだと思う」
ニューウェイはF1最高とも言われる新しいファクトリーと風洞を賞賛した。その一方で、解決すべき重大な弱点も指摘した。それは、レギュラードライバーやシミュレータドライバーが、新パーツの開発やセットアップ支援のために使う、フィジカル・シミュレータである。
「我々のツールの中で言えば、特にドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレータが弱点だと言っても過言ではない」
「現時点では相関関係が取れていないため、多くの作業が必要だ。これは基礎研究ツールなんだ。それがないのは痛いが、当然ながら手にしていない間はなんとかしなければいけない。実際、おそらく2年くらいかかるプロジェクトになるだろう。しばらくの間、状況は把握できない。経験と判断力を駆使して、取り組む必要がある」
■レギュレーション変更がもたらす”可能性”
ニューウェイは、2026年用マシンの開発に、99%注力しているという。この2026年から導入される新レギュレーションは、一見すると開発の余地が少ない印象があるが、より深く掘り下げた結果、多くの革新を行なう余地があることを、ニューウェイは発見したという。これはアストンマーティンのライバルにとっては、不吉な兆候とも言えるかもしれない。
ニューウェイ曰く、現行の2022年レギュレーションが導入された時にも、開発の余地はあまりないと思ったが、開発を進めていくにつれて、その考えを改めたのに似ているという。
「全く同じだ」
そうニューウェイは言う。
「2026年のレギュレーションを初めて見た時の第一印象は、『ああ、これはあまり(開発の余地が)残っていないな』というものだった。しかし細かい部分を掘り下げていくと、ある程度自由度があることが分かった」
「もちろん、もっと自由度があったら良いと思うけど、ある程度の自由は確保されている。だから、来年の初めにはいくつかの異なる解決策が登場するだろう。そしてその後、各チームの解釈が収束していくことになるはずだ」
■ニューウェイの“始動遅れ”は痛手に?
2026年に向けた空力開発の禁止が解除され、年初からすでに各チームはスケールモデルを風洞にかけているところだ。ただレッドブルから移籍してきたニューウェイが始動できたのは3月3日。彼はこの遅れはかなり大きかったとして、こう指摘した。
「最終的なルールは1月1日に発表された。あの段階で十分な情報が得られていたので、それ以前にそれなりの作業はできたはずだし、実際に多くのチームがそれをしていたと思う」
「(アストンマーティンは)そこから少なくとも4ヵ月遅れでスタートするとなれば、常に後追いで遅れを取り戻すことになる。まあ、仕方のないことだがね」
とはいえ、アストンマーティンは野心的な開発スケジュールを掲げており、すでに膨大な作業が進められているという。ニューウェイは現在、2026年マシンのレイアウトを定めている中で基礎の部分に焦点を当てていると語った。
「自分が加わった時点では、2026年向けの研究はほとんど進んでいなかった。でも、それ以来、膨大な作業を進めてきた。大きな挑戦だし、締切もどんどん迫っている」
「設計と製造は複雑で時間がかかる分、リードタイムが長くなっているし、リサーチツールも非常に高度で洗練されたものになっている。今みんなで取り組んでいる主な分野は、私が“マシンの基礎”と呼んでいる部分だ。つまりシーズン中に変更できないところで、前後のサスペンションのレイアウト、燃料タンクの長さなどがそれにあたる」
「正直言って、時間は足りていないし、シミュレーションツールもまだ十分な精度ではないかもしれない。だからこそ、正しい判断を下す必要がある。ここさえうまくいけば、あとのボディワークやウイングなどは必要であればシーズン中にも開発できる」
■ニューウェイはすでに2025年マシンの開発にも貢献
モナコではノート片手にパドックを歩き回ったり、エンジニアとの打ち合わせに同席しているニューウェイだが、今季の開発プロジェクトにも具体的に貢献している。彼が直接マシン設計を担当しているわけではないが、それでも明確な影響があるのだ。
チーム代表兼CEOのアンディ・コーウェルは次のように説明する。
「ニューウェイが2026年マシンの作業に取り組む中で、CFD(コンピュータ解析)や風洞といった我々のツール、設計から実験までのプロセスなどを目にしてきた。そのことで、我々の強みと弱みを学べるんだ」
「この週末、彼にはレースウィークのオペレーションを見てもらう予定だ。現行マシンの最適化の仕方、戦略の使い分け方などを、彼の経験値と考察によって何がうまくいっていて何がうまくいっていないかを判断してもらう。そうすれば強いチームになるための課題をリストアップするのに役立つ」
「エイドリアンはすでにファクトリーでの作業を広く見ていて、今回が初のレース現場になる。彼はおそらく、F1マシンの全ての側面を見られる数少ないエンジニアだ。彼の経験値、考察力、創造性はすべてのメンバーを助けるはずだ」
ただ、ニューウェイの働き方はここ数年と比べて明らかにハードだ。ウイリアムズ、マクラーレン、レッドブルと所属したあらゆるチームを成功に導いてきた彼だが、レッドブルの晩年は部分的な関与に過ぎなかった。しかし今では“フル稼働”の状態だ。
これにはニューウェイ自身も「完全にそうだね」と頷く。
「2週間前の週末だけは休んだけど、それ以外は3月に仕事を始めてからずっと働き詰めだよ」
「妻に言わせれば、私は設計の“ゾーン”に入っているらしい。集中のピークに入ると左右が見えなくなるほどで、全ての処理能力を“速いレーシングカーを設計する”という一点に注ぎ込んでしまうんだ」
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