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100%ピュアなアルピナマジックは残り3年! 「B8グランクーペ」は集大成として最高のクーペGTでした

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100%ピュアなアルピナマジックは残り3年! 「B8グランクーペ」は集大成として最高のクーペGTでした

スーパーカー並みのパフォーマンスを誇る4ドアクーペ

 BMWアルピナを語る際には、しばしば「アルピナマジック」という言葉が登場する。本家BMWのキャッチフレーズ「駆け抜ける喜び」を、本質的なレベルからさらにブラッシュアップしたようなハンドリング。そして、極太/超扁平のハイグリップタイヤを履いているとは思えないほどに快適な乗り心地を、凄まじいまでの高次元で両立したサスペンションセットによる「妙なる調和」を、じつに端的に表現したものといえるだろう。

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 その世界観の創造主たるアルピナは、いま大きな転換期を迎えようとしている。1965年の創業以来、ボーフェンジーペン家のファミリービジネスとして発展を遂げてきたアルピナが、創立60年にあたる3年後をもって商標をBMWに譲渡するというものである。

 そのような情勢を思えば、これまでの企業哲学、およびアルピナマジックをもって生み出されるBMWアルピナとしてはおそらく最後のモデルのひとつになると推測されている「B8グランクーペ」を試乗する機会に恵まれたのは、まさしく僥倖というほかあるまい。

巡航最高速度324キロ!

 BMWアルピナB8グランクーペのベースモデルとなったのは、BMWの最上級クーペモデル「8シリーズ」の4ドアモデル「グランクーペ」である。長年のパートナーであるBMWとの紳士協定的な取り決めが交わされているのか、本家BMW版や「M8」には設定のある2ドアクーペおよび2ドアカブリオレの設定はない。

 近年ではBMWアルピナ全モデルがツインターボ/4輪駆動化されていることから、「BITURBO(ビターボ)」および「Allrad(アルラッド:AWD)」の記載は省略されてしまうことが多くなったが、昨2021年にデビューした際、BMWアルピナB8グランクーペは「BMW ALPINA B8 GRAN COUPÉ ALLRAD」と呼ばれていた。すなわち、当代最新の超高性能車の例にもれず4輪駆動で、さらに4輪操舵システムも投入されている。

 エンジンは「B5」や「B7」、「XB7」にも搭載されるV型8気筒4.4リッター+ツインターボとなる。最高出力は、身内のライバルであるM8のスタンダード版よりは21ps高く、同じくM8の高性能版「コンペティション」には4psだけ及ばない621ps/5500~6500rpm。最大トルクは800Nm/2000~5000rpmをマークし、「アルピナ・スウィッチ・トロニック」8速ATを介して4輪を駆動する。

 またBMWアルピナの伝統として、そのスピードでクルーズできる最高速度を示した「巡航最高速度」については324km/hを標榜。B5の330km/hには、ちょっとだけ及ばない。しかし、0-100km/h加速タイムは3.4秒と、B5よりも0.1秒だけだが速いそうだ。とはいえ、BMW M8やBMWアルピナB5ともども、当代最新のスーパーカーたちに匹敵するスペックであることには変わりないであろう。

アルピナの考える、当代最高のGTとは?

 1978年、コンプリートカーを生産する自動車メーカーとして名乗りを上げたアルピナが初めて生産したモデルは、「BMWアルピナB7ターボ」とそのクーペ版「B7ターボ・クーペ」。中でも象徴的、そして印象的だったのは「世界一美しいクーペ」と称されるE24系初代6シリーズをベースとして開発・製造された後者であった。

 305psを発揮する「ビッグシックス」直列6気筒SOHC 3リッター+ターボエンジンを搭載。250km/hという、この時代の4座席クーペとしては世界最速クラスに属する最高速度に代表されるパフォーマンスのみならず、画期的なデジタル式イグニッションやインタークーラー、マーレ社製の鍛造ピストンなどの贅沢なメカニズムを投入。現代のアルピナにも通じる高い品質と信頼性を早くも獲得し、同社の名声を世界に轟かせることになる。

 この時のアルピナにはB7ターボ・クーペをもって、同時代における世界最高の高性能グランドツアラー(GT)を提示しようという強い意志があったのだ。

 いっぽう開祖B7ターボのデビューから40年余りの時を経た、2021年に登場したB8グランクーペは、初代6シリーズの実質的な継承者である現行型8シリーズをベースとする。いわば、アルピナにとっては本分とみなすこともできるゴージャスなGTである。

 ホイールベースは8シリーズの2ドアクーペ版より約20cmも長い3025mm。全長×全幅×全高は5090×1930×1430mmと、数世代前の7シリーズにも匹敵しそうなサイズ感であり、ファストバックの伸びやかなプロポーションも相まって、筆者の眼にはかなり雄大なスタイリングと映った。

 そして、これもBMWアルピナの伝統として、エクステリアやインテリアは上品でエレガントな設えとなっている。BMW本家の8シリーズの段階で、すでに充分という以上の装備とゴージャスな仕立てが施されていることから、少なくとも第一印象におけるBMWとの差異はかなり小さい。BMW本家のM8と比べたら、ジェントルかつ上品なアピアランスが強調されている。

B7ターボ・クーペで構築された洗練された所作

 これらのすべてが、かつてアルピナがB7ターボ・クーペで構築した手法に基づくもの。それはもちろん見た目だけではなく、走りにも現れていた。

 ステアリングフィールは確実だがシャープすぎることもなく、実にナチュラルな手ごたえ。今回の鎌倉・逗子周辺の試乗コースではハードなコーナーリングはほとんど試すことなく終わってしまったものの、2140kgの車両重量をまるで感じさせないキビキビとしたハンドリングと、舗装面の荒れをほとんど感じさせない乗り心地を味わっていると「アルピナマジック」という言葉が否応なしに浮かんでくる。

 いっぽうトランスミッションは、トルクコンバーター式の8速AT。今回の試乗車両にはオプションのシフトパドルの備えはなく、ステアリングコラム裏に設けられた「アルピナ・スウィッチ・トロニック」でマニュアル変速を可能とする。このスイッチによりマニュアル操作する際のレスポンスはなかなか敏速ながら、決して過敏にはならない。

 そのかたわら、デフォルトであるATモードに任せた際のシフトタイミングやスムーズな変速マナーもとても良好で、BMWアルピナが常に洗練の極みのごとく語られる理由を感じ取ることができる。

 そして、B7やXB7のそれよりは明らかに燃焼の「粒」を感じさせるような快音を、ハミングのように歌うV8ツインターボエンジンは、内燃機関の素晴らしさを今いちど実感させてくれたのだ。

 もちろん、実際のデバイスはデジタルが担う部分が多くを占めているのは間違いないが、発想そのものはアナログ的。昔ながらの哲学と方法論による手立てを、コツコツと積み重ねた結果ともいえるだろう。

* * *

 現在の体制で開発することのできる最後の最後で、1978年以来積み重ねてきた経験の集大成として、現在のアルピナが考える最高のクーペGTを創ろうとした。そんなアルピナの信念が、B8グランクーペとして結実したかに思われてならないのである。

●BMW ALPINA B8 Gran Coupéビー・エム・ダブリュー アルピナB8グランクーペ・車両価格(消費税込):2570万円・全長:5090mm・全幅:1930mm・全高:1430mm・ホイールベース:3025mm・車両重量:2140kg・エンジン形式:V型8気筒ビ・ターボ・排気量:4394cc・エンジン配置:フロント縦置き・駆動方式:4輪駆動・変速機:8速AT(アルピナ・スウィッチトロニック付8速スポーツ・オートマチック)・最高出力:621ps/5500-6500rpm・最大トルク:800Nm/2000-5000rpm・0-100km/h:3.4秒・巡航最高速度:324km/h・ラゲッジ容量:440L・燃料タンク容量:68L・タイヤ:(前)245/35ZR21、(後)285/30ZR21・ホイール:(前)8.5Jx21、(後)10.0Jx21

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みんなのコメント

3件
  • やっぱベースはベンベだね!
    良い訳だ。
  • それを言うならアウディRSが一番信頼性が低い。


    2022/9/20 17:02
    アルピナ、M、AMGとも無理にパワーアップするけど、十分な周辺のアップグレードが少ない。
    だから信頼性が不足し故障が多く、寝落ちも激しい。
    早期に手放すランキングも常に上位です。
    買う人は、長く乗るつもりなんてないだろうけどね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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