ほしいクルマは決まっているけど、どのグレードにしたらいいかわからない……そんな人は多いハズ。「賢いグレード選び」は、買う人によっても当然違う。
そこでここでは、アクア(トヨタ)、ルーミー(トヨタ)、ヤリスクロス(トヨタ)、ヴェゼル(ホンダ)、アルファード(トヨタ)、人気モデル5台の「オススメ買い得グレード」を、自動車評論家、そして「コスパの鬼」こと渡辺陽一郎氏が解説!
ヤリスクロス アルファード アクア ヴェゼル ルーミー……みなさんの見識に脱帽です! 売れてるクルマのベストグレード
自分がほしいグレードを選ぶ際のポイントもわかるハズ!
※本稿は2022年2月のものです。
文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、HONDA
■トヨタ アクアの買い得グレード:Z(240万円)
トヨタ アクア ※写真はZ・2WD(クリアベージュメタリック)※オプション装着車
■トヨタ アクアの人気グレード上位3
●1位/Z…30.7%
●2位/G…24.2%
●3位/S STYLE BLACK…17.5%
※2021年1月~12月のデータ・トヨタ調べ
アクアには4種類のグレードが用意されるが、最も買い得なのは、装備を充実させて価格を割安に抑えたZ(240万円)だ。
2WD同士でZとG(223万円)を比べると、ZはGに比べて17万円高いが、15インチアルミホイール(オプション価格は4万9500円)、バイビームLEDヘッドランプ(同11万円)、ディスプレイオーディオの10.5インチ化(3万8500円)などが加わる。さらに内外装の質も向上する。
注意したいのは、Gにオプション設定されて、Zに標準装着される装備だけでも、価格を合計すると19万8000円に達することだ。つまりZとGの価格差となる17万円を飛び超えてしまう。
さらに内装の上級化などもあるから、ZとGの実質差額は約22万円だ。これだけの内容が17万円の上乗せで得られるため、アクアではZが買い得グレードになる。
仮にGを選んでオプション価格が11万円のバイビームLEDヘッドランプを装着するなら、さらに6万円を加えてZにグレードアップしたい。数年後に売却する時の査定は、年式と走行距離に加えて、グレードで判断される。
中級のGにオプションでバイビームLEDヘッドランプを加えるよりも、これらを標準装着する上級のZを選ぶ方が、買い得で査定でも有利になりやすい。
なおアクアの販売動向を見ても、最上級のZが全体の30.7%を占める。買い得グレードが売れ筋になっているわけだ。
■トヨタ ルーミーの買い得グレード:カスタムG(191万4000円)
トヨタ ルーミー※写真はカスタムG-T(レーザーブルークリスタルシャイン)※オプション装着車
■トヨタ ルーミーの人気グレード上位3
●1位/カスタムG…39.5%
●2位/G…23.0%
●3位/カスタムG-T…22.5%
※2021年1月~12月のデータ・トヨタ調べ
エアロパーツを装着したカスタムと、標準ボディが用意され、グレードは全部で5種類になる。
機能や装備と価格のバランスを判断すると、割安なのは価格が最も安いノーマルエンジンのX(155万6500円)だが、このグレードにはエアコンのオート機能などが装着されない。装飾類も省かれる。安さでは注目されても満足度は乏しい。
そこで標準ボディのG(174万3500円)を検討する。このグレードの価格は、ヤリス1.5G(177万3000円)やフィット1.3ホーム(176万7700円)と同等だ。
コンパクトカーの売れ筋価格帯に収まって推奨されるが、ルーミーの装備と価格を照合すると、エアロパーツを装着するカスタムG(191万4000円)がさらに割安になる。
カスタムGは標準ボディのGに比べて17万500円高いが、加わる装備も豊富だ。
カスタムGには、エアロパーツに加えて、アルミホイール、電動パーキングブレーキ、車間距離を自動調節できる全車速追従型アダプティブクルーズコントロール、ハイビーム状態を保ちながら相手車両の眩惑を抑えるアダプティブドライビングビームなども装着される。
これらの装備を価格に換算すると約22万円に達するので、標準ボディのGとカスタムGの価格差が17万500円であれば、後者が約5万円割安になる。
なおカスタムGのフロントマスクは、標準ボディのGに比べて存在感が強く、数年後に売却する時も有利だ。
これらの魅力により、ルーミーの販売動向を見ても、全体の39.5%をカスタムGが占めている。
■トヨタ ヤリスクロスの買い得グレード:ハイブリッドZ(258万4000円)
トヨタ ヤリスクロス ※写真はハイブリッドZ・2WD(ブラックマイカ×ホワイトパールクリスタルシャイン)※オプション装着車
■トヨタ ヤリスクロスの人気グレード上位3
●1位/ハイブリッド Z…51.4%
●2位/Z…17.4%
●3位/ハイブリッドG…17.0%
※2021年1月~12月のデータ・トヨタ調べ
1.5Lのノーマルエンジンとハイブリッドを用意している。グレードはそれぞれにベーシックなX、中級のG、上級のZを設定した。
これらの内、ノーマルエンジンのXには、低価格のBパッケージ(179万8000円)もあるが、衝突被害軽減ブレーキを始めとする複数の安全装備と運転支援機能を省いた。
それなのに価格はXに比べて9万8000円しか下がらず、X Bパッケージは購入してはいけないグレードになっている。
そうなるとノーマルエンジン、ハイブリッドともにX、G、Zからの選択だ。後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットモニターなどの安全装備をオプション設定することから、購入の候補は中級のGか最上級のZとしたい。
この選択はニーズに応じて決めれば良いが、Zでは、Gの装備内容にフルLEDヘッドランプや運転席の電動調節機能を加えた。アルミホイールのサイズは、Gは16インチだが、Zでは18インチに拡大される。
これらの違いを価格に換算すると22万円に相当するが、実際の価格アップは19万円に抑えた。したがってZが買い得だ。
次はパワーユニットを選ぶ。ノーマルエンジンのZ(221万円)とハイブリッドZ(258万4000円)を比べると、価格は後者が37万4000円高いが、購入時に納める税額は9万1100円安い。つまり実質差額は約28万円に縮まる。
そしてレギュラーガソリン価格を1L当たり160円で計算すると、約28万円の実質差額を燃料代の節約で取り戻せるのは10~11万kmを走った頃だ。
取り戻せる距離は少し長いが、ハイブリッドはノーマルエンジンに比べて運転感覚も上質になる。モーター駆動を併用するから、ノーマルエンジンに比べると、直列3気筒特有の粗いノイズも小さい。
巡航中にアクセルペダルを踏み増した時の加速の立ち上がりも機敏だ。このような運転感覚の違いも考慮すると、ハイブリッドのZがベストグレードになる。
販売動向を見ても、販売総数の51.4%をハイブリッドZが占める。価格を抑えたい時は、ノーマルエンジンのZを選ぶと良い。
■ホンダ ヴェゼルの買い得グレード:e:HEV・Z(289万8500円)
ホンダ ヴェゼル ※画像はe:HEV Z・FF(プレミアムサンライトホワイト・パール)※オプション装着車
■ホンダ ヴェゼルの人気グレード上位3
●1位/e:HEV Z…76.1%
●2位/G(ガソリン)…11.0%
●3位/e:HEV X…7.8%
※2021年1月~12月のデータ・ホンダ調べ。e:HEV PLaYは5.1%。なおPLaYは現在受注停止中ではあるものの、登録実績ベースのため上記の結果となる
1.5Lのノーマルエンジンと、1.5Lをベースにしたハイブリッドのe:HEVを用意している。ただしノーマルエンジンは装備のシンプルなG(227万9200円)のみで、低価格でも満足度は乏しい。推奨できるのはe:HEVだ。
e:HEVはモーター駆動が中心のハイブリッドだから、加速が滑らかで瞬発力もあり、運転感覚も優れている。
e:HEVには、X(265万8700円)、Z(289万8500円)、PLaY(329万8900円)という3種類のグレードがある。
e:HEV PLaYにはガラスルーフのパノラマルーフが標準装着され、外観は専用デザインになり、内装も上級化する。
つまりPLaYは最上級グレードと受け取られるが、中級のe:HEV Zと比較して、省かれる装備もあるから注意したい。
LEDアクティブコーナリングライト、エアコンの左右独立温度調節機能、トノカバーなどは、e:HEV Zには標準装着されるが、e:HEV PLaYには装着されない。
このようなe:HEV Zには標準装着され、e:HEV PLaYには装着されない装備の価格換算額は、合計すると約11万円になる。
そうなるとe:HEV Zとe:HEV PLaYの価格差は、価格設定上は40万400円だが、装備の違いまで含めると約51万円に拡大する。
一方、e:HEV Zは、ベーシックなe:HEV Xに比べて、後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットインフォメーション、リアゲートの電動開閉機能、上級シート表皮、先に挙げたLEDアクティブコーナリングライトなどを加えた。
これらを価格に換算すると約29万円に達するが、実際の価格アップは23万9800円に抑えている。つまりe:HEV Zは、e:HEV Xに比べて約5万円は割安だ。
そのために2021年1~12月におけるヴェゼルの販売構成比も、e:HEV Zが76.1%を占めた。割高なe:HEV PLaYは5.1%に留まる。
ほかの車種も含めて、皆さんは各グレードの割安感をしっかりと見極めて選択されている。大いに感心させられた。
ちなみにヴェゼルでe:HEV PLaYの販売比率が下がった背景には、納期の違いもある。発売直後にはPLaYの販売構成比がメーカーの予想を上まわる12%に達したこともあり、納期が大幅に遅延した。
現時点でヴェゼルの納期はノーマルエンジンが約3か月、e:HEV Zなどは約6か月だが、e:HEV PLaYだけは約1年に達した。
そこで2022年1月下旬時点では、販売店で受注を中断している。その結果、販売構成比は5.1%に下がった。
■トヨタ アルファードの買い得グレード:2.5 S(398万5000円/7人乗り)
トヨタ アルファード ※画像はS ガソリン車・2WD(ホワイトパールクリスタルシャイン)※オプション装着車
■トヨタ アルファードの人気グレード上位3
●1位/S Cパッケージ(ガソリン車)…43.7%
●2位/S TYPE GOLD(ガソリン車)…23.0%
●3位/S TYPE GOLD2(ガソリン車)…22.5%
※2021年1月~12月のデータ・トヨタ調べ
パワーユニットは、直列4気筒2.5Lと、V型6気筒3.5Lのノーマルエンジン、2.5Lをベースにしたハイブリッドが設定される。
これらの内、一般的に売れ筋になるのは2.5Lのノーマルエンジンとハイブリッドだが、アルファードでは後者が圧倒的に少ない。ハイブリッド比率は19%に留まり、大半が2.5Lのノーマルエンジンだ。
その理由は価格にある。アルファードのハイブリッドは後輪をモーターで駆動するE-Fourのみで、前輪駆動の2WDは用意されない。
そのためにハイブリッドは価格が高く、ベーシックなハイブリッドXを除くと、すべてのグレードが500万円以上だ。オプションを加えると550万~600万円に達する。そこで売れ筋は2.5Lのノーマルエンジンになった。
最多販売グレードは2.5Lのノーマルエンジンを搭載するS Cパッケージ(468万1600円)だ。
2.5Lノーマルエンジンを搭載する最上級グレードに位置付けられ、2列目にはエグゼクティブパワーシートも標準装着される。外観にはエアロパーツと18インチアルミホイールも備わるから、見栄えもカッコイイ。
このグレードは海外市場に向けた中古車輸出を含めて人気を高め、売却額が大幅に吊り上がった。
買取店からは「人気色であれば、購入して3年後に手放しても、新車価格の70%以上で買い取れる」という話も聞かれた。クルマ自体の魅力に、売却する時の好条件まで加わり、S Cパッケージの人気が急上昇した。
ただしファミリーカーとしてオーナーが運転するなら、2列目に豪華なエグゼクティブパワーシートを装着する必要がない場合もあるだろう。
実用的にはノーマルエンジンの2.5X(359万7000円)で十分だが、このグレードは2列目がベンチシートの8人乗りのみだ。外観も含めて、シンプル過ぎて物足りない印象も受ける。
そこで2.5 S(398万5000円/7人乗り)を買い得グレードとして推奨したい。2列目にはセパレートタイプのキャプテンシートが備わり、インパネなどの仕上げも含めて、アルファードらしい上質感を味わえる。
外観はS Cパッケージに近い仕上がりで、エアロパーツや18インチアルミホイールを標準装着する。予算に余裕があるならS Cパッケージ、割安度も考慮するなら400万円以下のSという選び方でも良いだろう。
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みんなのコメント
トヨタばかりになるよね。
OEMが人気なのはトヨタのみ。それだけトヨタマーク大好きな国民が多い
トヨタマークがダイハツになると全く売れない
つまりトヨタの性能よりマークで購入していることの証明だ