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“おもちゃメーカー”がなぜ「ガチの軍事ドローン」を? 技術力を買われて進出 展示会では人だかり!

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“おもちゃメーカー”がなぜ「ガチの軍事ドローン」を? 技術力を買われて進出 展示会では人だかり!

台湾の防衛展示会で注目を集めた「玩具メーカー」

 2025年9月17日から20日までの4日間、台湾・台北で、防衛・セキュリティの総合イベント「TADTE」(Taipei Aerospace & Defense Technology Exhibition/台北國際航太曁國防工業展覽會)が開催されました。そこで注目を集めていた“異色の経歴”を持つ無人装備のメーカーがあります。

【東南アジアじゃ有名!】これが“軍事ドローンメーカー”の祖業の「ラジコン」です(写真)

 TADTEは国際展示会という位置づけなのですが、日本を含めた大多数の国は台湾を国家として承認していないため、アメリカ以外の国の企業の展示は多くなく、日本の「DSEI Japan」や、韓国の「ADEX」といったイベントに比べる国際色は薄れます。その一方で台湾軍や台湾で防衛装備品の研究開発を行う中山科学研究院や台湾企業の出展は活発でした。

 とりわけ、台湾で無人装備品の開発をリードする企業「サンダータイガー・テクノロジー」(以下サンダータイガー)のブースには、同社が開発を進めているUAS(無人航空機システム)やUGV(無人車輛)に加えて、台湾海軍の依頼を受けて開発したUSV(無人水上艇)の「シーシャーク」の実大モックアップなどが所狭しと展示され、終日多数の来場者が詰めかけていました。

 サンダータイガーは台湾証券取引所に上場しており、前に述べたように台湾軍からの依頼を受けて各種装備品を開発しています。アメリカに子会社を設けているほか、2025年6月に千葉市の幕張メッセで開催された「ジャパンドローン2025」にも出展するなど、海外展開も積極的に進めています。

 このように押しも押されもしない、台湾の無人装備品開発のトップメーカーとして君臨しているサンダータイガーですが、実はこの企業、元々は玩具メーカーなのです。

東南アジアじゃ超有名!

「懐かしい!子供の頃、よくこの会社のラジコン玩具で遊んだものだよ」――サンダータイガーがジャパンドローン2025に出展した様子を筆者(竹内修、軍事ジャーナリスト)がSNSにアップしたところ、シンガポールの知人からこんなコメントが届きました。

 正直な話、筆者はジャパンドローン2025のブースを見るまで、サンダータイガーのことは企業名くらいしか知りませんでした。そのためシンガポールの知人のコメントを見た時は「は?」と思ったのですが、気になって調べてみたところ、サンダータイガーは1974年に「サンダータイガー科学模型店」として創業したのだそうです。

 サンダータイガー科学模型店のラジコン玩具は、当時競合する国内メーカーが多数存在していた日本には輸入されていなかったようなのですが、シンガポールを含めた東南アジア諸国では、メジャーなラジコン玩具メーカーだったようです。

おもちゃ・医療・軍事と多彩に

 その後サンダータイガーは精密加工技術を活かして医療機器分野にも進出しましたが、並行してラジコン事業も進めています。2016年には台湾の逢甲大学と共同で「電動ツインローター無人ヘリコプター」を開発、2018年にはシンガポールの水素燃料電池開発会社と共同で世界初の水素燃料電池無人ヘリコプターも発売しています。

 2020年には、台湾の大手通信会社である中華電信と協力して「軍用緊急航空基地局システム」を構築して台湾軍の演習に参加、この演習でサンダータイガーの技術力、とりわけ電波制御技術を高く評価した台湾軍から、前に述べた「シーシャーク」の開発を依頼されるようになり、無人装備品の開発に本腰を入れることになったというわけです。

 日本にもドローンなどの無人装備品を手がけるメーカーは多数存在しますが、そのほとんどは無人装備品の開発を目的に立ち上げられた企業です。加速器関連機器の開発と製造で培った精密加工技術を武器にUAS(無人航空機システム)の開発・製造へ参入したフジ・インバック(横浜市)のような企業もありますが、そう多くありません。

 10月3日付の「Jディフェンス」は、日本の防衛産業とアメリカの軍および防衛関連企業とのマッチングの機会を提供するため防衛装備庁が主催した「第4回インダストリーデー」の稲葉義泰氏によるレポート記事が掲載。そこでは、芝刈り機用のエンジンを製造しているものの市場の将来性に限界を感じて、芝刈り機用エンジンの開発で培った技術を活用し、アメリカの企業と組んでUASを共同開発したカーツ株式会社(岡山市)が紹介されています。

 大手企業や専業のスタートアップ企業だけでなく、フジ・インバックやカーツ、そしてサンダータイガーのように、創業時から培われた確かな技術を持つ企業が参入すれば、日本の無人装備品の開発技術力は、より強固なものになると筆者は思います。

文:乗りものニュース 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

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みんなのコメント

3件
  • 海人見習い
    民生品であるはずのトヨタランクルは、元気に中東の戦場で走り回っています。すでに、民間向け軍事向けの区別は意味をなしません。
  • odu********
    日本ではその昔、アサヒファイヤーアームズと言うエアーガンのメーカーが実銃に認定されちゃうようなボルトアクションライフルを作ってしまいましたねぇ…

    サバゲーの場で持って来ていた人を見ましたが、本当に無改造のままで工事現場のトタン板で出来た看板を無改造で撃ち抜いていました(汗)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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