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【クーペからクロスオーバーへ変身】新型 フォード・プーマ 1.0T 125に試乗

掲載 更新 2
【クーペからクロスオーバーへ変身】新型 フォード・プーマ 1.0T 125に試乗

クーペからクロスオーバーになったプーマ

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)

【画像】フォード・プーマのライバル 全102枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


筆者のイメージとはまったく異なるスタイリングのフォード・プーマが登場した。

ある年齢以上の読者にとっても、フォード・プーマと聞けば目を引くコンパクトなクーペを思い返すだろう。一度路上に走り出れば、見た目に釣り合わないほど興奮するドライビングも楽しませてくれた。

そんなプーマが生まれたのは今から20年も前。若年層向けのモデルとして登場したクルマだった。今の若者には、プーマという名前はスポーツウェア・ブランドの方が、馴染みがあるかもしれない。

予想通り、新しいプーマは市場の変化に合わせてSUVとして誕生。フォードは、数ある自動車メーカーの中でも楽しいモデルを作る方法を忘れていない数少ない存在。期待はできそうだ。

新しいプーマには、マイルドハイブリッドと、レベル2に該当する運転支援システムを搭載する。新時代の面白さもちゃんと詰め込まれている。秘密のラゲッジスペースも。

骨格とするのは、フォード製のグローバル-Bスモールカー・プラットフォーム。日産ジュークやセアト・アローナなど、既に混雑気味のコンパクト・クロスオーバーというクラスに入ることになる。

加えて、若干のプレミアム性も持たせたいと考えている。よりコンパクトで上級な、ミニにもぶつけたい考えだ。

前回のプーマ155 STラインの試乗記でも触れたが、エンジンはすべてガソリン。1.0L直列3気筒のエコブーストのみ。

ダイナミクス性能でクラス最良を目指した

エントリーユニットは125psで、フォード・フォーカスやフィエスタにも積まれる仕様とほぼ同じ。プーマには同じ出力と、155ps版でマイルドハイブリッド版も用意される。

マイルドハイブリッドの内容は、11.5kWのスターター・ジェネレーターをエンジンに結合。5.1kg-mのトルクをオーバーブーストのように上乗せしてくれるほか、ごく短い距離だが、電気の力だけで走れる。

このスターター・ジェネレーターは特に低回転域で有効。155ps版では高回転域で力強さを増す大きめのターボを追加し、圧縮比を下げている。また軽負荷時やアクセルが踏まれていない時には、3気筒エンジンとしては初めて気筒休止システムも採用された。

サスペンションの内容はほぼフィエスタ。フロントがストラット式でリアはトーションビーム式となる。スプリングレートは高められ、ダンパーの減衰力も上がっている。アッパーマウント・ブッシュは摩擦を減らしつつ剛性を高めたものに改められた。

フォードは、プーマにこのクラスで最もダイナミクス性能で優れるクルマを目指したと話している。内容を見ると、その主張と一致しているようだ。

運転支援システムとしては、渋滞時と高速道路走行時のドライビングアシストに対応。アダプティブ・クルーズコントロールと、車線維持支援システムが威力を発揮する。今の欧州では、このクラスに採用されているのはルノー・キャプチャーだけとなる。

歩行者や自転車にも対応した衝突被害軽減ブレーキや、交差点での注意喚起、自動駐車など、多くのカメラ映像を利用した支援システムも搭載する。ドライバーの居眠りを検知するシステムも採用された。

フィエスタをベースに機能を充実

インターネット接続機能、コネクティッドにも対応。8.0インチのシンク3インフォテインメント・システムがすべてを司る。4G回線の内蔵モデム・オプションもあるため、WiFiスポットとして、最大で10デバイスまで接続できるという。

秘密のラゲッジスペース「メガボックス」。荷室の床下に80Lの容量のある独立した収納ボックスが用意されている。プラスティック製で排水ドレンも備え、水洗いできるから、釣った魚や濡れたウェットスーツも押し込める。実際に使ってみると、便利なことに気付くだろう。

今回試乗するのは、エントリーグレードの1.0エコブースト 125 mHEVチタニウム。

新しいプーマは驚くほどハンサム。クロスオーバーとしてバランスが取れており、スタンスも締まって見える。マツダCX-3以上に個性的なプロフィールやウエストラインを持つ。お好みでホイールは19インチまで選べる。

車内もほぼフィエスタ。特にダッシュボードは、突き出た8.0インチのタッチモニターも含めてそのまま持ってきている。プーマの場合、計器パネルが12.3インチの全面モニター式となる点は大きな違い。

ダッシュボード上面はソフト加工され、ドアパネルには風合いのいいファブリックが用いられるなど、質感も良好。硬質で安っぽいプラスティック製の部分も少なくなく、プレミアムを狙ったという意向には沿っていない。車内装備類の操作性は良好で滑らかだ。

着座位置はフィエスタよりわずかに高め。車内は広々としているが、マイルドハイブリッド版にはバッテリーが積まれ、荷室容量が456Lから401Lへ小さくなる。

シート表皮も外して水洗いすることもできる。日常的な必需品としてクルマを利用していると、汚れがちなだけにありがたい。

直接のライバルの遥か上を行く楽しさ

プーマで何より嬉しいのが、フィエスタ由来を活かしていること。広げられた全幅に加えて、クルマの四隅に配されたタイヤのレイアウトが、惹きつけるドライビング体験を与えてくれる。

多くのメーカーがクロスオーバーは楽しいクルマだと宣伝するが、フォード・プーマの場合は本当に楽しい。直接のライバルの遥か上を行くといっていいだろう。

最も輝きを放つのは、シャシー。正確に安定性を保って、すべてのコーナーをクリアしていく。柔らかめの設定となるチタニウム・グレードの場合、まるで優れたフランス車のような流れる足さばきを獲得。絶妙な減衰力は、操縦性と快適性の素晴らしいハーモニーを生んでいる。

よほどひどい状態でない限り、サスペンションは路面の変化で生じる揺れやノイズから、車内を隔離してくれる。

ステアリングは、スポーツモードを選ぶと少し重くなる。切り始めからレスポンスに優れ、レシオの設定も良い。ステアリングホイールに伝わる感覚も充分で、どんなコーナーでもプーマを狙った通り進めていける。

フロントタイヤのグリップ力は高い。ペースを速め過ぎると、ブレーキベースでのトルクベクタリングが機能し、車線内に留めようとしているのが感じ取れる。ボディロールは漸進的に発生するが、ダンパーがちゃんと姿勢制御してくれる。

良い意味でフィエスタに乗っているかのよう。コーナーではドライバーの腰の辺りを軸に回転していく感覚があり、途中でスロットルを閉じるとラインを内側に絞っていける。

コーナーの連続する道をハイペースで走らせても、違和感を感じずに楽しめる。コンパクト・クロスオーバーとしては稀有だ。

遅くなった登場はドライバーに応えるため?

エンジンは125ps以上にパワフル。3気筒らしい個性的なビートを打つ排気音と、小さなスターター・ジェネレーター(ISG)が生むオーバーブースト効果が大きい。完全にシームレスな動作ではないが、一時的に最大トルクを17.5kg-mから20.4kg-mにまで高めてくれる。

スポーツモードでは、シャープになるスロットル・レスポンスが、低回転域でのトルクの細さやISGが機能していない場面で有効。2速で徐行している状態から素早く加速したい時に実感できる。さらにスポーツモードなら、オーバーブースト時の最大トルクが21.3kg-mにまでアップする。

ドライビングの楽しさを求める人にとって、フォード・プーマはコンパクト・クロスオーバーの最有力候補といっていい。乗り心地はや操縦性はライバルより訴求力が高く、値の張るプレミアム・ブランドと比べても遜色ない。

フォードが目指した、ドライバーの楽しさにフォーカスしたプーマ、というゴールは達成していると思う。わずかに柔らかく、快適性とコーナリング性能がバランスしたチタニウムは、STラインより一層魅力的。

一段高いドライビングポジションと、アウトドアなライフスタイルのイメージが重なり、多くの人にとって魅力的に映るクロスオーバー。好みが分かれるとしても、フォード・プーマは歓迎すべきニューモデルだと思う。

ライバルと比べると、一歩出遅れた感じのあったフォード。運転も楽しみたいドライバーに応えるため、余計に開発時間が必要だったのかもしれない。

フォード・プーマ 1.0エコブースト 125 mHEV チタニウムのスペック

価格:2万845ポンド(296万円)
全長:4207mm
全幅:1805mm
全高:1537mm
最高速度:191km/h
0-100km/h加速:9.8秒
燃費:18.5km/L
CO2排出量:96g/km
乾燥重量:1280kg
パワートレイン:直列3気筒999ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:125ps/6000rpm
最大トルク:17.2kg-m/1400-4500rpm(オーバーブースト時:21.3kg-m)
ギアボックス:6速マニュアル

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