今も昔もゴミ収集車といえば、子供たちに一番人気の身近な特装車だ。しかし、所変われば品変わる。アメリカのゴミ収集車はちょっと違う。
超大国・アメリカは、それだけに出るゴミも大量ならゴミ収集車も多種多様。ゴミ収集車のサイズは大型・中型が中心で、小型トラックベースが一般的な日本のゴミ収集車に比べると、ずいぶんと無骨。
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収集方式もフロントローダー式、サイドローダー式、リアローダー式などさまざま形態がある。無骨だけど、なんだかカッコいい、世界的にも類まれなる多様性を見せるアメリカのゴミ収集車の世界を覗いてみよう。
文/緒方五郎 写真/各車両メーカー
※2016年6月発売トラックマガジン「フルロード」第21号より
【画像ギャラリー】フロントローダー式、サイドローダー式、リアローダー式……無骨でクールなアメリカのゴミ収集車の世界
■アメリカのゴミ収集車は日本とココが違う!
後部から人の手でゴミを投入するように設計されている小型トラックべ―スの日本の一般的なゴミ収集車(モリタエコノス「プレスマスター」)。日本でもリアローダーシステムはだいぶ前から製品化されているが、家庭ゴミの収集方式の違いや狭隘な道路環境などもあり、なかなか普及しない(写真・本誌)
日本では人の手でゴミ収集を行ない、作業員が投入口(ホッパ)へ投入するのが一般的。無骨というより、最近は街の景観を損なわないようなスマートな車体やマーキングを志向している。
いっぽうアメリカのゴミ収集車は、ウェイストコンテナ(=ゴミ箱)を収集装置で持ち上げて自動投入するものが珍しくない。
収集装置が前面についたものがフロントローダー、側面から収集するものがサイドローダー、後方から行なうものがリアローダーと呼ばれる。
ヘイル/ハーフパック・フロントローダー。大型ウェイストコンテナをリフターで豪快に持ち上げて荷室上部のホッパに投入することができるフロントローダー式。写真のフロントローダーはリフト容量が約3.6tもある
フロントローダーは2本のフォークとアームで、サイドローダーはマジックハンドのような伸縮式アームで、リアローダーはリフトユニット(さらに数種ある)で、ウェイストコンテナのゴミをホッパに投入する。
ダデー/スコーピオン・サイドローダー。戸建の住宅などから出る小型のウェイストコンテナの収集に特化するサイドローダー式のゴミ収集車だ
ゴミを最初に受け止めるホッパは、フロントローダーでは荷室上部、サイドローダーでは上部や側面、リアローダーでは後方に配置されている。投入されたゴミを圧縮装置(コンパクタ)で圧縮して積載するのは日本の塵芥収集車と同じだ。
マクネイラス/リアローダー。サイドローダーと同じく市街地の家庭ゴミの収集で用いられることが多いリアローダー式。写真は大型トラックをベースにした塵芥車で、アメリカでは大型車が市街地のゴミ収集をする光景も珍しくない
主にフロントローダーは大容積ウェイストコンテナを扱う公共施設や工場・産業用、小容積ウェイストコンテナに対応するサイドローダーやリアローダーは市街地などで用いられている。
■アメリカのゴミ収集装置メーカーとシャシーメーカー
ヘイル/セミトレーラ型サイドローダー。ヘイル社のセミトレーラ型サイドローダー「STARRシステム」。大容量でありながら大型(単車)よりも約40%ほど小回りが効き、中継車への移し替え不要なセミトレーラ型とすることで住宅地でも効率的な収集作業が可能だ
ゴミ収集装置メーカーは100年以上の歴史を誇るヘイルをはじめ、オシコシ・グループ傘下のマクネイラス、ナビスター傘下のE-Zパック、ウェイン、ラーブリー、ロードマスター、ニューウェイなど10社も存在する。
マクネイラス/フロントローダー。マクネイラス社の最新型フロントローダー「メリディアン」。最大14tものリフティング能力と、CAN制御システム、故障診断装置を搭載する。フロントローダーは、運転席内の電子制御ジョイスティックで1人で簡単に操縦することができる
架装ベース車は、クラス8の大型車では、視点が低くて乗降のしやすいローキャブ車が設定されており、ピータービルトやマックのトラックメーカーのほか、オートカーやクレーンキャリア・カンパニーといった特装シャシー専業メーカーもある。
中型はクラス7、小型はクラス5~6のトラックシャシーがベースとなっている。
マック/ローキャブ。アメリカのトラックメーカー、マック社のクラス8のローキャブ車「LR」。マックのローキャブモデルはこのLRと「テラプロ」の2種類用意されている
アメリカントラックというとコンベンショナルトラック(ボンネットのあるトラック)のイメージが強いが、取り回しの良さ、あるいはフロントローダーなどでは架装性などの点からキャブオーバー型が多いのも特徴だ。
オートカー/ACXエクスペティター。こちらは特装トラック専業メーカー、オートカー社製のクラス8のローキャブモデル「ACX」
そんなアメリカのゴミ収集車も、時代の流れには逆らえず、マックLRエレクトリック・サイドローダーなど最近では電動車両も登場している。さすがにクラス8でのBEVはキツいと思うが、無骨でカッコよく、なおかつスマートなゴミ収集車もぜひ見てみたいと思う。
【画像ギャラリー】フロントローダー式、サイドローダー式、リアローダー式……無骨でクールなアメリカのゴミ収集車の世界
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みんなのコメント
ドラマなどでアメリカのゴミの回収を見るとコンテナやゴミ箱を持ち上げて回収で日本のように回収をしているのは見ない感じです。
日本の道路やゴミステーションの状況を見たら大きな車では無理でしょうね。
回収はアメリカのようになれば作業の危険は少ないと思いますけど。
日本もアメリカでも作業をする車の無骨さと言うけど作業をする為の機能美は感じますね。
もし、それが可能ならゴミに触る事も少なくなり匂いの心配が減りそうですね。