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【最新版に試乗!イヤらしくもが現実的な場面が次々と】ホンダがドライビングシミュレーターを開発する理由|その3|

【最新版に試乗!イヤらしくもが現実的な場面が次々と】ホンダがドライビングシミュレーターを開発する理由|その3|

ホンダが運転免許教習所向けに販売する安全運転教育用ドライビングシミュレーターが2021年4月にマイナーチェンジを実施した。そもそも、ホンダがなぜ、ドライビングシミュレーターの開発をしているのか。
前回は、ホンダのドライビングシミュレーターについて歴代モデルから進化の過程を探った。
今回は、最新型を実際に試してみた。初体験のドライビングシミュレーターに感じたこととは……。

初体験の「DB型モデルS」は見慣れた操作機器!?
 
いよいよホンダの最新ドライビングシミュレーター「DB型モデルS」に“試乗”だ。
 
今どきのハイテクなシミュレーターは、筆者にとって今回が初体験。教習所に通ったのはかれこれ40年近く前で、こんな立派な学習機器はもちろん存在しなかった。当時でも子供だましのように映った、極めて簡素な模擬運転装置(トレーチャーというそうだ)をやった記憶がある。
 
そのトレーチャーも今では1画面の液晶モニターを使うPCのようなタイプに姿を変えている。このあたりは指定自動車教習所に昨今通った人のほうが詳しいと思うが、トレーチャーは運転の基本操作を初めて覚えるためのもので、第1段階で実施。実際の運転中に遭遇するさまざまな危険を疑似体験できるドライビングシミュレーターは、路上教習に出る第2段階で用いられているのだ。
 
さて、DB型モデルSのシートに腰を下ろす。シートにはフリードの運転席を実装、スライドやリクライニングの機能もそのままだ。ドラポジを調整して、シートベルトを装着。モデルSはコックピットの操作系が一新され、ステアリングやシフトまわりはフィット、デジタルメーターはこれもフリードのものが採用されている。
 
開発スタッフが設定してくれた教習コースは、第一種普通免許用(計20コース)のうちの「危険予測コース1」。モデルSには、ほかに第一種大型/中型免許用(計17コース)、第二種普通/大型免許用(計18コース)も収録されている。
 
ブレーキペダルを踏み、スタートスイッチを押してエンジン始動。シフトをDレンジに入れ、電動パーキングブレーキを解除する。実車と同じ手順で発進の準備はオッケーだ。
 
アクセルをゆっくり踏み込んで発進。心なしか緊張する。仮免に受かって初めて路上に出た時って、こういうかんじだったんだろうか。
 
実車との操作感覚の違いに戸惑い
 
市街地を音声の指示に従って走る。指示は「次の信号を右に曲がってください」といった、ごく簡単なものだ。駐車場から片側1車線の道に出ると、間もなく右側車線へ合流するシーン。ウインカーを出しながら右のドアミラーを確認すると、早速あいさつ代わりに後方車両がやってくる。アクセルの加減でタイミングを調整し、この車両をやり過ごして合流する。
 
じつは、この直前にごく簡単な練習コースを走ったが、ステアリングとブレーキの操作はフィーリングがなかなか慣れない。ステアリングは旋回時のトレース性が自然なものの、モーターで付けられているという反力の手応えは希薄。また、セルフセンタリングが効かないので、ステアリングを大きく切ったあとは戻し操作でギクシャクしがちだ。ブレーキもペダルの感触がわかりにくく、一体感を得るのはさらに難しい。普通の感覚で踏み込むと思ったよりかなり手前で止まってしまい、それをフィードバックしようと思うと今度は急ブレーキになってしまう。
 
次から次へと押し寄せる“ヒヤリ”“ハット”な場面
 
そんな筆者にはお構いなしに、危険な場面は次々とやってくる。車両が右側の路地から対向車線をいきなり横切ってきたり、客を見つけたタクシーが目の前にUターンしてきて路肩に止まったり、カーブ出口の路肩に駐車しているトラックのドアが突然開いたり…。歩行者や自転車には最新の注意が必要。救急車が近づいてきた時には、周囲のクルマの動きにも気を配らなければならない。もちろんバイクも登場する。
 
確かに意地悪な場面の連続だが、どれも実際にありえるケースだ。そして、その状況設定には意外なほどワザとらしさや非現実的なかんじがなく、事故が起こりやすい路上に潜む危険なシーンがリアルに再現されている。
 
現在はホンダのほかにも数社がドライビングシミュレーターを手がけているが、ホンダの製品が教習所からとくに高く評価されているは、やはり長年培った安全運転のノウハウを存分に活かしたソフトウェアだという。日ごろゲームをしない(むしろ苦手な)筆者がこの点については違和感を覚えず、実際の路上とほぼ同じ感覚で疑似運転できたのも、その証左かもしれない。
 
しかし、思わぬハプニングも。
 
まさかの車酔いは現役ドライバーゆえ!?
 
車酔いしてしまったのだ。筆者はどちらかといえば乗り物酔いしやすい体質だが(船は一発)、運転中に車酔いした経験は一度もない。だから自分でステアリングを握っているのにキモチ悪くなってしまうのは、驚きとともに不思議な感覚だった。
 
だんだんイヤなものが込み上げてきそうになりながら観察すると、もっともキモチ悪くなる瞬間はブレーキング。3画面のモニターに映る風景は減速しているのに、それに伴って発生するはずの減速Gがまったくない。視覚と体の感覚のズレがキモチ悪さを引き起こすのだ。
 
ただし、これには個人差がある。それに、これから教習所に通う人は、たぶん心配無用だろう。開発スタッフによれば、クルマに乗れる人のほうが酔う傾向にあるとのこと。ブレーキ操作で減速Gが発生するという一連の現象を体が覚えていなければ、感覚のズレも感じることはないというわけだ。
 
シミュレーション後の評価と振り返りが、習熟度を高める
 
ヘロヘロになりながら何とか完走したら、運転の結果表をモニターに表示。指導者が受講者に危険予測のポイントを的確にわかりやすく指導できる、これもホンダドライビングシミュレーターの特徴だ。
 
筆者の運転に対する総合評価は、最高のA(良好)。各項目もほとんどがAだ。わずかにB(やや注意)とC(注意)が付いたのは速度超過とウインカー操作で、この点については自覚がある。車酔いで注意力が低下しなければ、Aをもっと増やせたかも!?
 
筆者がふだんの運転で心掛けているのは、急がつく操作(急加速・急ブレーキ・急ハンドル)をしないこと。それから、「だろう」運転(大丈夫だろう)ではなく、「かもしれない」(人やクルマが出てくるかもしれない)運転をすること。ともに安全運転の秘訣として昔から言われている、基本中の基本である。
 
かもしれない運転を心掛けると、混合交通の路上における事故にはたいていパターンがあることに気づく。事故を起こさないベテランドライバーは、それを長年の運転経験によって身につけてきた。進化した今どきのドライビングシミュレーターを活用すれば、それを圧倒的に効率よく、間違いなく安全に学習できる。ホンダのDB型モデルSを体験して、その思いを強くした。
 
免許保有者にも体験機会をぜひ!
 
一校でも多くの教習所に導入してほしいが、それだけではもったいない。免許所有者も気軽に体験できる機会があれば、KYTによる安全運転普及活動の大幅な強化につながる。高齢者の講習にも有効なツールになるだろう。
 
車酔いの対策についても、例えばソフトウェアで感覚のズレを補正するようなことが可能になれば、高価なモーションベースを使わないモデルSの価格で実現できる。今後の進化もますます楽しみだ。
 
ちなみに、狭山工場閉鎖に伴う安全運転普及本部デジタル推進課の移転先は、まだ決まっていないとか。ホンダが交通安全運動に取り組み続ける限り、その存在はどこであろうと不滅に違いない。
 
「交通事故ゼロ社会の実現」。これも本田宗一郎が抱いた夢の一つだったのかもしれない。
 
 
〈文=戸田治宏 写真=山内潤也〉

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