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英国の燃料税制 EV登場で崩壊の危機 「ロードプライシング」が肝要

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英国の燃料税制 EV登場で崩壊の危機 「ロードプライシング」が肝要

もくじ

ー EV増加で燃料税は大幅減収
ー 税収不足対策に道路課金
ー 適正な制度はユーザーにも利点あり

ノルウェーの決断 ガソリンとディーゼル車、2025年までに段階的廃止へ

EV増加で燃料税は大幅減収

英国政府は、今会計年度の燃料税収入見込みを283億ポンド(約4245億円)に下方修正した。それでも、ピュアEVのドライバーがこの数字に与える影響はゼロとなりそうだ。鼻歌交じりでEVに乗っていると、何が起こるというのか。

近い将来、ガソリンやディーゼルのエンジン搭載車は販売が禁じられ、都市では電気動力を持たないクルマでのアクセスが制限されるのは避けられない。そして、EUは新型車について課する平均CO2排出量の規制値を拙速なほどに強化している。

これらにより、2025年までに欧州の新車販売におけるピュアEVの割合は10%を超える、と試算する調査会社もある。現在の英国では、それよりPHVに販売の主流が寄っているにもかかわらずだ。

昨年、シンクタンクのポリシー・エクスチェンジが見積もったところでは、電動自動車が税制の網をすり抜け続けると、2030年までに政府が被る損失は最大で1700億ポンド(約25兆5000億円)にのぼるという。それは現時点での数字だ。

「それどころか、プラグイン比率の高まりで、変革は加速しています」と言うのは、ポリシー・エクスチェンジの環境問題部門の上級フェロー、ジョシュ・バークだ。

税収不足対策に道路課金

となれば、どんな代替財源が計画されているのか。また、できるだけ内燃機関にしがみつきたいわれわれのようなひとびとにはどのような影響があるのか。政府は、この問題を静観している。「ほとんど誰も興味を持っていないように思えるほどです」と言うのは、AA(英自動車協会)のエドムンド・キング会長だ。「税制は崩壊へと向かっていますが、だれもまともに対処しようとしていません」

水面下では、政府が動き出している気配がある。政府の財務予測を行う財政責任局の管轄するウェブページには今年、自動車市場の複合的な変化が及ぼす潜在的な影響と、燃料効率の傾向との関連性について調査することを、税務署と合意したと記載された。もうひとつはバークがわれわれに語っているが、国庫が公式に、政府が代替案探しに動き出したことに言及し、その中にはロードプライシングが含まれているという。

われわれが対話したひとびとは誰もが、燃料税制は終わりつつあることを認めている。シンクタンクのケンブリッジ・エコノミクスでマネージングディレクターを務めるフィル・サマートン曰く「その消滅は避けられないものです」とのこと。また、電力を燃料とみなして課税するのは、成功の見込みがないと言う。「これまでのような税制を、電動自動車に当てはめて再現するのは非常に困難です。電力への課税が、自動車向けにはされて、家庭用にはされないと分かれば、すぐさまその区分が検出できるスマートメーターを撤去するでしょう」

適正な制度はユーザーにも利点あり

ロードプライシングとなれば話は違ってくる。「走行距離は車検のために記録されていますから、導入は合理的です」と語るのは、充電関連企業のチャージマスターで戦略担当マネージャーを務めるトム・キャロウだ。それならば、燃料税と同じ原理が導入できる。走行距離が少なければ課税額も低い、といった具合だ。問題は、驚くほど人気がないということ。燃料税も十分すぎるほど評判が悪かったが、これは2011年以来、1ℓあたり57.95ペンスで固定され、さらに課税前の価格と燃料税そのものの双方に付加価値税が課されるのも理由のひとつだ。保守党は、デイヴィッド・キャメロンのもとで道路課金が検討されたが、運転者たちの大反対で廃案になった。現在、政府はその再検討以外に策がないのだが、キングはもっとスマートなアプローチが必要だと説明する。「ロードプライシングは、クルマにおける人頭税のようなものです。導入は、政治的には自殺行為です」

キングと彼の妻であるエコノミストのディアドラ・キングは、ロード・マイルズと銘打った提案で昨年、栄誉あるウォルフソン経済賞の候補入りを果たした。キング案の本質的な点は、年間3000マイル(約4800km)までは無料で、それを超えたら課金するということ。地方在住者やEVのような低公害車のドライバーは、もっと長距離にわたり課金を免除される。また、導入はいきなりではなく、徐々に、燃料税の廃止と合わせて行われる想定だ。キング案にしろ、他のアイデアが導入されるにしろ、クルマには走行距離の計測デバイスが装着されるだろう。

ロードプライシングへの毛嫌いを克服できない人は多いだろうが、EVの割合がもっと増えれば、それこそがもっとも負担の大きな自動車関連税を回避する最善策だと思えるようになるだろう。

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