■王座に君臨し続けて40年、アドベンチャーモデルの進化がとまらない!
アドベンチャーバイクのフラッグシップ、そう表現して過言ではないBMW Motorrad「R1250GS Adventure」は、大きな車体にBMWのソウルエンジンとも言える水平対向2気筒エンジンを搭載する、「GS」シリーズ最大排気量モデルにして、容量30リットルの燃料タンクや、オフロードに適したサスペンションを選べるなど、まさに冒険王なのです。
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今回のテスト車は、2018年に登場した「R1250GS」シリーズのアップデート版で、ユーロ5という環境規制に適合したほか、装備面が充実した2021年モデルです。しかもGS販売開始40周年モデルというアニバーサリーカラーを纏った特別仕様。グラフィックはもちろん、高品質なオプションパーツを示す『OPTION 719』という削り出しで作られたエンジンのヘッドカバーには、この40周年モデルだけの黄色い樹脂スライダーが装着されています。
また、この「R1250GS」シリーズには前後にシートヒーターを標準装備し、ライディングモードには新たにECOモードが加わり、それに合わせ、操作系もスイッチから左グリップ部にあるマルチコントローラーによる選択と決定をTFTモニター上で行なうものが増えているなど、装備面がかなり充実しています。
搭載されるエンジンは、排気量1254ccの水冷水平対向2気筒DOHC4バルブです。BMW ShiftCamという可変バルブタイミング+リフト量機構を持っています。それは、吸気側のカムに低回転側と高回転側のふたつの異なるカム山を持ち、低回転側ではバルブが開くリフト量と、2本ある吸気バルブにタイムラグを持たせ、吸気がシリンダー内に吸い混まれる時に渦を作りだし、充填効率と着火したときの火炎伝播を向上させることでトルクを生み出します。高回転側では流速の速くなる吸気に合わせ、バルブ2本を同時に開くというもの。
低回転側、高回転側のカムの切り替えは遅くとも5000rpmまでに完了し、アクセル開度や選択しているギアによってバリアブルに行なわれます。
車体を目の前にすると、そのサイズ感にはやっぱり驚きます。隣にハーレー・ダビッドソンのツーリングファミリーや、ホンダ「Gold Wing Tour」が並んでも、それらを高い山の上から見下ろす感じは圧巻です。
エンジンを始動させると、2020年までのモデルに対し、エンジンの熟成が進みノイズと振動がさらにマイルドになった印象で、さっそく進化を感じさせます。
走り出す前、左右に飛び出したエンジンが道路の縁石などに当たらないか? アルミ製のラゲッジボックスの幅も気になるところですが、慣れるに従い、距離感は縮まります。
市街地ではいかにも持て余しそうなGSですが、20km/h以下でもフラっとこない低速バランスを車体が持っていること、操作系が軽くハンドル操作に無駄な力を入れなくて済むことも功を奏し、どんどん身近になっていくのが解ります。左折などの小回りもハンドルの切れ角がしっかりとあり、不安がありません。ナイショですが、動きだすと心理的負担がどんどん融け出し、むしろ乗りやすい! 周りの人には言えないけど、全く苦労なく走らせています……。
市街地ではエンジンの回転にして2500rpmあたりまで回せば力感タップリ。BMW ShiftCamがもたらすトルク感は、まるでハイブリッド車のモーターアシストのように充実しています。この感覚が3000rpm以上では弾けるパワーに変わってゆくのですから……。
前後サスペンションの吸収性は素晴らしく、乗り心地は快適そのもの。タイヤの路面への追従性が高いため、グリップ感が高いのも安心感醸成につながるポイントです。この印象は速度が上がる高速道路でも同様。電子制御セミアクティブサスペンションを備えることも含め、ビックリするほどの快適さ。また、ウインドスクリーンの大きさ、角度がほどよく、これなら遠距離走行での疲労が少ないのもうなずけます。
ワインディングロードでは大柄な体格がウソのよう、という印象は市街地同様。倒し込みの瞬間、パニアケースの重さを感じる場面はありますが、そもそも荷物を積み、2人乗りで長距離を走ることを前提にしただけに、いつしかリアのケースの存在も忘れてしまいます。ロードバイク勢に遅れることはおろか、脅かす走りも可能です。
ブレーキングも、サスペンションの良さがここでもGSをイキイキと走らせ、ライディングを心底楽しめるもの。「あれ、でもアドベンチャーバイクだよね!」となります。しかも、遅くとも5000rpmまでには高回転側のカムに変化するエンジンですが、その違いが全く解らない! 段付きロケット的な加速ではなく、低い回転から超絶な加速感をもたらす高回転までシームレスに「力強い」のです。
短時間ですがダートへも乗り入れました。サスペンションや電子制御のロジックにもさらに進化が感じられます。乗りやすさをサポートするライディングモードの設定も深みを増し、加速方向や横方向の滑りもライダーの意図を反映するような制御マップになっているのが解ります。でも、上級者向けオンリーというわけではありません。恐い思いをさせず、楽しい思い出を作る。ああ、まさに折れない心をサポートするおもてなし……。
なんといっても冒険ツアーで大切なのは、疲れた体や心をアシストしてくれつつ、遊び心まで満足させること。何所を走っても退屈することがないGS。そのパッケージデザインの正しさを今回も再確認できました。なるほど、売れるバイクは違う、価格分以上の良さが詰まった印象でした。
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BMW Motorrad「R 1250 GS ADVENTURE Edition 40 Years GS」(2021年型)の価格は254万2000円からとなっています。
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みんなのコメント
30Lの燃料タンクは給油の手間を心配しなくて良いし、足回りやエンジンも長距離を難なくこなせるセッティングですよ。
でも退屈なバイクかと言うとそうではなく、タイトな山道ではビックリする位身のこなしは軽いです。
確かに価格、足つきや重量、取り回しはお気軽とは言えないですが、地方の車の殆ど走っていない山道をゆったり流しているとえも言われぬ気持ち良さです。