「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、2009年に発表され、日本に2013年から導入されたプジョー 5008(初代)だ。ブランド初のミドルサイズ ミニバン「5008」。本国ではすでに2009年から販売されているが、ようやく日本デビューを果たした。単なるピープルムーバーのミニバンではなく、プレミアム 7シーターとして、走りもスタイルも楽しめる、プジョーらしいクルマに仕上がっているという。
プジョー 5008(2013年:ニューモデル)
いまや(編集部註:2013年)登録車の4台に1台がミニバンという、世界でも珍しい構成を示す日本のクルマ事情。そんな日本だからこそピッタリな1台の「5008」が、プジョーから登場した。
ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
まず外寸は、全長が約4.5mと短めで、車高も1.6mあまりと低めで手頃なサイズだ。全幅だけは1840mmとやや広めだが、最小回転半径は5.6mにおさえられており、取り回しは思ったよりは悪くないといったところ。わかりやすいところで言えば、すでに日本ではお馴染みとなったフォルクスワーゲン トゥーランよりやや幅広というサイズ感だ。
そして、この少しワイドなボディが走りに効いている。かつて安定感でその名を博した、ホンダのエディックスという幅広2列のミニバン風モデルがあったが、フィーリング的にはその進化バージョンといったところ。高速での直進安定性はもちろん、コーナリング時のしっかり感が高いので、山あり谷ありの日本の道路事情で走らせるには好都合といえるだろう。
この走り味に貢献しているのが、リアアクスル部に採用された、オイル封入式のラバーブッシュだ。「ネコ足」を標榜するプジョーらしく、後ろ足のしなやかさにこだわった設定となっている。
使い勝手の高さは日本製ミニバンに負けない
日本仕様のパワートレーンは1.6L 直4 ツインスクロールターボエンジンにアイシン製6速ATを組み合わせた、最新プジョーの定番的なもの。とはいえ、トランスミッションは第2世代のものとなり、変速ショックがより滑らかになっているのが高ポイントだ。アイドリングストップ機構が備わっていないのは少々残念なところだが、燃費もJC08モードで11.7km/Lと納得できるレベルにおさまっている。
そして何より特筆モノなのは、シートアレンジを含めたユーティリティ性能の高さだろう。輸入車ミニバンのシートアレンジというと、けっこう扱いにくいものも少なくないのだが、3列目シートはいとも簡単に床下にフラットに収納することができるし、2列目シートも3座独立タイプなので、フレキシブル度も高い。助手席の背もたれは前倒しできるから、長尺物の積載もOKと、まさに至れり尽くせり。操作方法も簡単だし、力も要らない。
空間的には全幅が広いため、2/3列目シートともに横方向の広さは十分。3列シート車としては全長が短めのため、3列目のフットスペースはさすがに狭いが、独立2座シートとなっているから、少し行儀が悪くなるが足を置く位置を工夫すれば、おとなの男性がしっかり座ることも可能だ。
その証拠に、3列目シートにもアームレストとカップホルダーが用意されている。日本の街中にも最適なサイズのミニバン、いやプレミアム7シーターとして、威力を発揮してくれることは間違いなさそうだ。
プジョー 5008 シエロ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4530×1840×1645mm
●ホイールベース:2725mm
●車両重量:1600kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1598cc
●最高出力:115kW(156ps)/6000rpm
●最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1400-3500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●JC08モード燃費:11.7km/L
●タイヤサイズ:215/50R17
●当時の車両価格(税込):330万円
[ アルバム : プジョー 5008(初代) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
ルノー(開発はマトラ)・エスパスが開拓した欧州ミニバンは、広いグラスエリアによる開放的な視界、オートルートでの長距離移動を前提とした高速安定性、収納やシートアレンジよりも快適性や疲れにくさといった、走りに紐付いた機能主義が特徴です。
これは前席と後席の関係性が自由で平等な家族民主主義がミニバンに反映されているように感じます。
SUVはハッチバックにアクティブなライフスタイルという個人的な価値観が反映されたカタチです。現行の5008(あるいはエスパスも)は、SUVと融合してしまったことで元来のニュアンスは薄まっているように感じます。
ミニバンによって家族のジェンダーや世代を取り払うのが初代の魅力だと思います。