この記事をまとめると
■最近のクルマはパンク修理キットを搭載しておりスペアタイヤの搭載は少ない
「タイヤワックスはあり?」「空気圧が高めなら燃費も向上?」タイヤの疑問4つに決着! メーカー開発者に答えを聞いた
■軽量化や省スペース化に優れているため修理キットの採用例が増えている
■タイヤが大きく破損するケースでは修理キットは使えないので注意が必要だ
スペアタイヤをほとんど見なくなった理由
最近のクルマはスペアタイヤを積んでいないことが増えている。多くの乗用車においてトランクやラゲッジスペースの床下が、スペアタイヤの定位置といえるが、ラゲッジフロアパネルを開けても、そこにタイヤはなく、電動ポンプと補修液で構成されるパンク修理キットが入っているだけとなっていることが多い。
最近はタイヤの性能アップと道路環境の整備によりパンクすることも少ない。パンクを経験したことのないドライバーにとってはスペアタイヤを積んでいるのか、パンク修理キットを積んでいるのか、その違いを認識していないかもしれないが、ともかく昨今はスペアタイヤよりもパンク修理キットを積むことがトレンドとなっている。
パンク修理キットが増えている理由は大きくふたつある。車体軽量化とスペースの有効活用だ。
スペアタイヤの多くは、テンパータイヤとも呼ばれるもので、標準装着のタイヤよりも幅が狭く、小径になっていることが多い。それでも標準装着タイヤと同じくらいの外径はあるし、ホイールとセットになっているのだからそれなりの重さもある。
一方、パンク修理キットはスペアタイヤより圧倒的に軽くなる。
前述したように補修液の入ったボトルと、アクセサリーソケットにつないで作動させる電動ポンプの組み合わせだから、その重量は約1~2kgだ。タイヤサイズによって異なるが、テンパータイヤが10kg前後あることを考えると、ずいぶんと軽くできる。
なぜ、軽くしたいのかといえば、重さが燃費や電費に直結するからだ。車体を軽くできれば、それだけ環境性能・航続性能が稼げるわけで、それがパンク修理キットを積むインセンティブになっている。
また、スペース面でもパンク修理キットにはメリットがある。ラゲッジフロア下のスペースが有効活用できるからだ。パンク修理キットに置き換えることで、スペアタイヤに用意しておいたスペースにサブウーファーを装着するといったこともできる。
ハイブリッドカーや電気自動車では、できるだけ床下スペースをバッテリーや車載充電器に与えたい。パッケージの自由度を上げるという意味でも、パンク修理キットの採用はメリットがある。
さらにいえば、パンク修理キットはローコストだ。自動車メーカーの調達コストはさておき、ユーザーレベルで新たに購入する際のコストは、パンク修理キットが数千円なのに対して、スペアタイヤは万円単位となることが多い。
ただし、自動車メーカーがパンク修理キットを搭載する判断においては、コストダウンよりも軽量化やパッケージのメリットを重視している。ボディ設計で10kg軽くするのは大変なことだが、スペアタイヤをパンク修理キットに置き換えるだけで同程度の軽量化ができるのだから、そのメリットは計り知れない。
安全策を取るならスペアタイヤ一択
意外なユーザーメリットとしてはパンク修理キットであればジャッキアップ不要という点があることも見逃さない。
スペアタイヤに交換するには車載工具でホイールナットを緩めて、車載ジャッキをクルクルとまわして車体をもち上げ、タイヤを交換する必要がある。パンク修理キットであれば、ジャッキアップなどの作業は不要で、エアバルブの部分から補修液を注入して、電動ポンプで空気を規定値まで入れればいいだけだ。作業は簡単であるし、危険度も低い。
しかしながら、パンク修理キットにもデメリットはある。
ひとつは補修液が使い捨てであることだ。スペアタイヤを短距離利用しただけであれば、まだまだ再利用できるが、パンク修理キットの補修液は使い切りとなってしまう。つまり、1回パンクを修理したら補修液を購入するなどしなければならない。さらに補修液を使ったタイヤは再利用不可となることが多く、新しいタイヤに買い替える必要がある。
もっと問題なのは、タイヤがバーストしたときだ。パンク修理キットで修理できるのは、1本の釘が刺さってパンクしたようなときだけで、タイヤのサイドウォール(側面)が裂けてしまうようなバースト状態を修理することはできない。
激しくタイヤが損傷したときに、なんとか移動できるのはスペアタイヤでなければできない芸当だ。
そう考えると、ジムニーやランドクルーザーといった本格クロカン4WDが、標準装着サイズのタイヤをバックドアに背負っているのは正当な理由があることがわかるだろう。
タイヤが破損するような過酷なオフロードから帰ってくるには、標準装着サイズのタイヤに交換する必要があるというわけだ。クロカン4WDがわざわざ標準装着サイズのタイヤを積んでいるのは、けっしてファッションではない。そこには、本当のタフネスを実現するという狙いがあるのだ。
まとめると、軽量化やパッケージ自由度を求めるとパンク修理キットを搭載するという判断になる。一方、バースト状態など激しくタイヤが損傷したときはスペアタイヤでなければ対応できない。車種によっては、スペアタイヤとパンク修理キットを購入時に選択できることもある。こうした違いをよく考えて、どちらにするかを選ぶといいだろう。
といっても、パンク時の対応をしたことがないドライバーも増えているだろうし、そもそもジャッキアップができないというドライバーも少なくないだろう。そうしたドライバーにとっては手軽なパンク修理キットを選ぶことが妥当といえそうだ。逆に、ジャッキアップなどの作業に自信のあるベテランドライバーであれば、スペアタイヤを選ぶというのも、大いにアリだと思う。
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みんなのコメント
一旦タイヤをホイールから取り外して中を洗浄して補修液を除去しないといけなくなる。
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