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ホンダ クロスカブ110 「原付二種でアドベンチャー感を出すには?」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第26回(撮影2018年)

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ホンダ クロスカブ110 「原付二種でアドベンチャー感を出すには?」【カメラマン柴田直行/俺の写真で振り返る平成の名車】第26回(撮影2018年)

原付二種の撮影は通常都内、しかしクロスカブの場合はそうもいかない。
ゴトゴトと山路を走っていた。東京を出てから3時間くらい、山路だけでも1時間は走っているだろう。

10年以上撮ってきたゴーグル誌の撮影でも例のない原付二種の撮影だった。しかも新しい編集担当者との初めてのコンビ。まあいわゆる「空気を読む」のが難しい。そんな撮影の裏話を聞いてもらおう。

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その新担当者の案内で山路を進んで行く。時間的には余裕があるので焦っているわけではないが、まだ1回もシャッターを切ってないので「林道ツーリングは楽しいね」という気持ちにはなれない。

原付二種の記事なら普通は東京都内で撮影する。でもクロスカブで山奥を目指せば最強のアドベンチャーバイクになる。というわけで通常の原付二種の撮影予算を大幅に上回るロケを敢行している。

しかし「こういう時に限って……」と言うべきか、道の先が霧で白く霞んでいる。前にも書いたが、雨天はバイクが濡れるが何とか撮れる。しかし霧の日は何も写らない。お手上げである。

構わず前進し続ける新担当者。さらに濃くなる霧。ロケ場所にアテがあるのかないのか? ヤケクソなのか? 何か作戦があるのか? 空気を読むのが難しい。そして突然、クロスカブを道端に止めた。
「ここ、良いんじゃないすか?」

確かに霧の中に見え隠れする林は、ジャングル状態でユニークな背景だ。1000年前からこのままかと思われるような、良い意味で不思議な情景。クロスカブにもよく似合う。遠くまで来た甲斐があった。しかし、それも霧では話にならない。

「いや、ここで撮りましょう」と譲らない新担当者。「そういう頑固な言葉はカメラマンの方が言う台詞だよ」と言いながら渋々カメラを用意する俺。景色を撮りに来た訳じゃないからバイクをキレイに撮れるようにストロボをセット。

とりあえず試し撮りでパチリ。「幻想的じゃないですか」と新担当者。いやいや、どう見てもただの真っ白写真。都合よく幻想的には写らない。見た通り霧で真っ白に写っているだけだ。

ここから先は霧と俺たちの我慢大会。しばしの待ち時間。ところがこの日の山の神様は優しかった。あれほど濃かった霧がサーっと晴れていくではないか。「今だっ」とちょっと霧が残った感じでシャッターを切りまくる。そしてあっという間に霧はなくった。

セットしておいたストロボが効いて、期待以上に良いのが撮れて興奮した。その背景の苔生した林を見て「ジブってる」という俺と「ぜんぜん違います」という新担当者。ようするに「これぞゴーグル!」と言いたかったらしい。

実は「良い写真が撮れた」とは思っていたが、原付二種なので雑誌ページの中で小さい写真になると思っていた。ところが掲載号を見たら見開きで掲載されていたので本当に驚いた。自分の写真に言うのも何だが、そのページのクロスカブは当初の狙い以上に最強のアドベンチャーバイクだった。

その新担当者は令和の今でも毎号毎号凝ったロケ場所を探してきてくれる。無茶なオーダーも多いが、その分バイク雑誌の常識を超えるほど追い込んだ写真を撮らせてもらってる。カメラマンとしてこの上ない幸せである。

写真・文:柴田直行

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柴田直行/プロフィール
柴田直行 しばたなおゆき
1963年3月生まれ
横浜市在住
 
オートバイとライダーをカッコ良く撮るのを生業にしているカメラマンです。
ホンダVT250Fが発売になった1982年(19歳の頃)にオートバイブームに乗じて雑誌編集部にバイトで潜入。
スズキGSX-R750発売の翌年1986年に取材のため渡米。
デイトナでヤマハFZ750+ローソンの優勝に痺れてアメリカ大好きに。
ホンダCRM250R発売の1994年に仲間とモトクロス専門誌を創刊して、米国系オフロードにどっぷり。
カワサキニンジャ250が発表された2007年から、ゴーグル誌でも撮影を担当し現在に至る。
オンでもオフでも、レースでもツーリングでもオートバイライフが全部好き。

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みんなのコメント

3件
  • 不自然にバイクだけ際立ってるから、よくできた合成かと思ってたけど実写だったか
  • 10年前の110を持っているが、これも欲しいなぁ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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