現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > BYDの競争を勝ち抜く「スピード」とは?日本勢はこの早さをキャッチアップできるか!?

ここから本文です

BYDの競争を勝ち抜く「スピード」とは?日本勢はこの早さをキャッチアップできるか!?

掲載 更新 15
BYDの競争を勝ち抜く「スピード」とは?日本勢はこの早さをキャッチアップできるか!?

世界の電気自動車販売台数でテスラと1、2を争うBYDは、クルマの開発をどのように進めているのか。BYD「シール」の試乗会場で小川フミオ氏が、BYDジャパンの劉社長に迫る。

大量生産、長期間販売は時代遅れ

BYDの新型EV「ドルフィン」は363万円から。補助金で200万円台も可能

BYDが2024年に日本発売予定とするBEV(バッテリー電気自動車)セダン「シール」。いかなる戦略のもとにシールは開発されたのか。

BYDジャパンの社長であり、ゼネラルマネージャーとしてアジアパシフィックを統括する立場にある劉学亮(Liu Xueliang)氏に、珠海でインタビューするチャンスがあった。

日本では、2023年1月の「ATTO3」を皮切りに、9月に「ドルフィン」を販売しているBYD。電気自動車のシェアではグローバルでトップクラスだ。

そのおもしろさは、ひとことで言うと、伝統ある自動車メーカーではないこと。つけ加えるなら、伝統にしばられないモノ作りの発想をする点は注目に値する。

「私たちは、2010年に(金型メーカー)オギハラの館林工場を買収して子会社化しました。それだけでなく、ここのひとたちを(BYDが本社を置く深圳に)連れていき、モノ作りの考え方を知ってもらいました」

それはなにか、ということについて、劉GMの説明が興味ぶかい。

「BYDで車体の金型を開発するというとき、期間は1年なんです。そりゃあ、既存の会社はびっくりしますよ。いままでは18カ月とか20カ月かけていたんですから。なぜ短縮するか。いまの世のなか、大量生産して、長い期間販売するなんて車種は存在しないと私たちは考えているからです」

半年、新車を出さないとプレゼンスを失う

劉GMは流ちょうな日本語で話す。

「市場というのはスピード。多品種も重要ですし、競争に打ち勝つには、技術と設計と品質も重要ですが、開発のスピードが重要なんです。金型メーカーは、金型だけ考えますが、自動車メーカーの傘下に入れば、とうぜん自動車メーカーと同じように考える必要が出てきます。そこから設計のイノベーションが生まれてくると私たちは考えています」

劉氏が指摘するのは、市場における消費者の嗜好性が変化する速度。とくに若い層は、従来のクルマに対する思い入れはほぼないので、自動車観が、旧世代とまったく異なる。

「世の中の変化は、私たちが思うより早いんです。車の消費者っていうのは、もっといいものを常に追求していたい層。そうすると、従来のクルマづくりの発展上では、たしかにいいものは出来るかもしれませんが、その“すごいもの”が出来た時点で、もう誰もいらない、ってことになるんです。いまの市場では、半年、新車を出さないとプレゼンスを失ってしまうんですよ」

品質向上のためにバスとタクシーを選んだ

BYDの原点は、バッテリーとは、よく知られた話だ。王伝福(Wang Chuanfu)総裁という創業者が、二次電池、携帯電話部品生産および組立で香港証券取引所に上場したあと目を向けたのが乗用車。

2003年に西安秦川自動車責任株式会社を母体としてスタート(ゼロから自動車メーカーを立ち上げるのはほぼ不可能だったとのこと)。2008年に「BYD F3DM」なるモデルを世に出した。

「プラグインハイブリッドだったのですが、そのときはまったく受け入れられませんでした。非現実的だと笑われたぐらいです。でも諦めずにクルマづくりを続け、2010年にバス、12年にタクシー、2016年に電動モノレールを、BEVとして開発しました」

なぜ、バスとタクシーだったのか。

「この2つの乗りものは、使われた方が苛酷だと、誰もが知っていたからです。とくにタクシーは、おそらく世界中どこに行っても、乱暴に乗られています。逆を返すと、タクシーとして満足いく働きが出来れば、クオリティが担保される。誰もが、BYDのBEVの品質を認めてくれる。そう考えました」

先進的な技術を追求しつつ、つねに市場と製品との結びつきに最大限の注意を払う。さきの開発期間の短縮についての言及とも通底しているエピソードではないか。

聞けば、一本筋の通ったプロダクト戦略。BYDのヤル気には、かなりのものがある。

次回に続く

こんな記事も読まれています

スバル新型「フォレスター」初公開! SUVらしい“ゴツ顔”へ進化!? 初のハイブリッド搭載も宣言!
スバル新型「フォレスター」初公開! SUVらしい“ゴツ顔”へ進化!? 初のハイブリッド搭載も宣言!
くるまのニュース
アウディ第3の電動クーペSUVをスクープ!『Q6スポーツバック e-tron』そのパフォーマンスは
アウディ第3の電動クーペSUVをスクープ!『Q6スポーツバック e-tron』そのパフォーマンスは
レスポンス
バニャイア、優勝で2連覇達成。1年前から遂げた「大きな成長」/第20戦バレンシアGP
バニャイア、優勝で2連覇達成。1年前から遂げた「大きな成長」/第20戦バレンシアGP
AUTOSPORT web
「トラックステーション」って何? いま減少傾向にある一般ドライバーには「謎の施設」の正体とは
「トラックステーション」って何? いま減少傾向にある一般ドライバーには「謎の施設」の正体とは
WEB CARTOP
いち早く市販化を切望! ジャーナリストがJMSで見つけた「現実味のある」BEVコンセプト5台
いち早く市販化を切望! ジャーナリストがJMSで見つけた「現実味のある」BEVコンセプト5台
WEB CARTOP
野尻智紀が明かす、海外進出に対する複雑で“アンバランス”な感情。現状関心あるカテゴリーはない一方「挑戦したいという気持ちはあります」
野尻智紀が明かす、海外進出に対する複雑で“アンバランス”な感情。現状関心あるカテゴリーはない一方「挑戦したいという気持ちはあります」
motorsport.com 日本版
フロンテやミニカなど、2スト車も元気に参加…昭和平成名車展示会
フロンテやミニカなど、2スト車も元気に参加…昭和平成名車展示会
レスポンス
トヨタ新型「ハイラックス チャンプ」発表! アンダー200万円で5速MT設定あり! 全長5m超えの「IMV 0」タイで受注開始
トヨタ新型「ハイラックス チャンプ」発表! アンダー200万円で5速MT設定あり! 全長5m超えの「IMV 0」タイで受注開始
くるまのニュース
スズキが「2023国際ロボット展」でロボットの足として活用できる電動モビリティベースユニットの使用事例を紹介
スズキが「2023国際ロボット展」でロボットの足として活用できる電動モビリティベースユニットの使用事例を紹介
THE EV TIMES
【スクープ】これがBMW「ノイエ・クラッセSUV」の実車だ! フロントグリルは1960年代モデル風のデザインか?
【スクープ】これがBMW「ノイエ・クラッセSUV」の実車だ! フロントグリルは1960年代モデル風のデザインか?
LE VOLANT CARSMEET WEB
細部も作り変えてスタンダードに改造!1/24ミニカー改造で「観音クラウン1900」をタクシー化・前編【モデルカーズ】
細部も作り変えてスタンダードに改造!1/24ミニカー改造で「観音クラウン1900」をタクシー化・前編【モデルカーズ】
LE VOLANT CARSMEET WEB
超レトロな「丸目タクシー」実車展示! 豪華赤レザー内装が味わい深い! 岐阜市の交通イベントとは
超レトロな「丸目タクシー」実車展示! 豪華赤レザー内装が味わい深い! 岐阜市の交通イベントとは
くるまのニュース
ポルシェ パナメーラ 新型、予約受注開始…価格は1424万円より
ポルシェ パナメーラ 新型、予約受注開始…価格は1424万円より
レスポンス
2024年のF1シート19席が”残留決定”も、ウイリアムズだけ空席あり。しかし最有力はやはりサージェントの残留か?
2024年のF1シート19席が”残留決定”も、ウイリアムズだけ空席あり。しかし最有力はやはりサージェントの残留か?
motorsport.com 日本版
【MotoGP第20戦バレンシアGP】バニャイアが2年連続でタイトル獲得
【MotoGP第20戦バレンシアGP】バニャイアが2年連続でタイトル獲得
バイクのニュース
900万円超え! トヨタが新型「爆速SUV」発表! 306馬力の超スポーティな「RAV4 プラグイン GRスポーツ」西で発売
900万円超え! トヨタが新型「爆速SUV」発表! 306馬力の超スポーティな「RAV4 プラグイン GRスポーツ」西で発売
くるまのニュース
ルクレール2位「優れたマシンがあったし、戦略も正しかった」コンストラクターズ逆転ならず悔しさ:フェラーリ/F1第23戦
ルクレール2位「優れたマシンがあったし、戦略も正しかった」コンストラクターズ逆転ならず悔しさ:フェラーリ/F1第23戦
AUTOSPORT web
【三菱 ミニキャブEV 改良新型】EVバン10年以上のデータが示す最適解、だが欲を言えば…?
【三菱 ミニキャブEV 改良新型】EVバン10年以上のデータが示す最適解、だが欲を言えば…?
レスポンス

みんなのコメント

15件
  • いやいや、そもそも西側の水平分業モデルと中国お得意の垂直統合モデルとではリードタイムが違うんだから

    このやり方は中国にしかできない
  • BYDは自社のバッテリーを持っていると言う強みがあります。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで! 登録してお得なクーポンを獲得しよう
マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

ログイン

中古車探しをもっと便利に

  • 中古車お気に入り管理
  • おすすめ中古車の表示

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村