世界の電気自動車販売台数でテスラと1、2を争うBYDは、クルマの開発をどのように進めているのか。BYD「シール」の試乗会場で小川フミオ氏が、BYDジャパンの劉社長に迫る。
大量生産、長期間販売は時代遅れ
BYDの新型EV「ドルフィン」は363万円から。補助金で200万円台も可能
BYDが2024年に日本発売予定とするBEV(バッテリー電気自動車)セダン「シール」。いかなる戦略のもとにシールは開発されたのか。
BYDジャパンの社長であり、ゼネラルマネージャーとしてアジアパシフィックを統括する立場にある劉学亮(Liu Xueliang)氏に、珠海でインタビューするチャンスがあった。
日本では、2023年1月の「ATTO3」を皮切りに、9月に「ドルフィン」を販売しているBYD。電気自動車のシェアではグローバルでトップクラスだ。
そのおもしろさは、ひとことで言うと、伝統ある自動車メーカーではないこと。つけ加えるなら、伝統にしばられないモノ作りの発想をする点は注目に値する。
「私たちは、2010年に(金型メーカー)オギハラの館林工場を買収して子会社化しました。それだけでなく、ここのひとたちを(BYDが本社を置く深圳に)連れていき、モノ作りの考え方を知ってもらいました」
それはなにか、ということについて、劉GMの説明が興味ぶかい。
「BYDで車体の金型を開発するというとき、期間は1年なんです。そりゃあ、既存の会社はびっくりしますよ。いままでは18カ月とか20カ月かけていたんですから。なぜ短縮するか。いまの世のなか、大量生産して、長い期間販売するなんて車種は存在しないと私たちは考えているからです」
半年、新車を出さないとプレゼンスを失う
劉GMは流ちょうな日本語で話す。
「市場というのはスピード。多品種も重要ですし、競争に打ち勝つには、技術と設計と品質も重要ですが、開発のスピードが重要なんです。金型メーカーは、金型だけ考えますが、自動車メーカーの傘下に入れば、とうぜん自動車メーカーと同じように考える必要が出てきます。そこから設計のイノベーションが生まれてくると私たちは考えています」
劉氏が指摘するのは、市場における消費者の嗜好性が変化する速度。とくに若い層は、従来のクルマに対する思い入れはほぼないので、自動車観が、旧世代とまったく異なる。
「世の中の変化は、私たちが思うより早いんです。車の消費者っていうのは、もっといいものを常に追求していたい層。そうすると、従来のクルマづくりの発展上では、たしかにいいものは出来るかもしれませんが、その“すごいもの”が出来た時点で、もう誰もいらない、ってことになるんです。いまの市場では、半年、新車を出さないとプレゼンスを失ってしまうんですよ」
品質向上のためにバスとタクシーを選んだ
BYDの原点は、バッテリーとは、よく知られた話だ。王伝福(Wang Chuanfu)総裁という創業者が、二次電池、携帯電話部品生産および組立で香港証券取引所に上場したあと目を向けたのが乗用車。
2003年に西安秦川自動車責任株式会社を母体としてスタート(ゼロから自動車メーカーを立ち上げるのはほぼ不可能だったとのこと)。2008年に「BYD F3DM」なるモデルを世に出した。
「プラグインハイブリッドだったのですが、そのときはまったく受け入れられませんでした。非現実的だと笑われたぐらいです。でも諦めずにクルマづくりを続け、2010年にバス、12年にタクシー、2016年に電動モノレールを、BEVとして開発しました」
なぜ、バスとタクシーだったのか。
「この2つの乗りものは、使われた方が苛酷だと、誰もが知っていたからです。とくにタクシーは、おそらく世界中どこに行っても、乱暴に乗られています。逆を返すと、タクシーとして満足いく働きが出来れば、クオリティが担保される。誰もが、BYDのBEVの品質を認めてくれる。そう考えました」
先進的な技術を追求しつつ、つねに市場と製品との結びつきに最大限の注意を払う。さきの開発期間の短縮についての言及とも通底しているエピソードではないか。
聞けば、一本筋の通ったプロダクト戦略。BYDのヤル気には、かなりのものがある。
次回に続く
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