2023年シーズンの全日本ロードレース選手権は、10月14~15日に行われた第8戦鈴鹿にて幕を閉じた。王者決定が最終戦までもつれ込んだST1000クラスは、チャンピオン候補が続々と転倒する波乱のレースとなった。そんななか、後半戦に好調さを発揮していた荒川晃大(MOTOBUM HONDA)が、ルーキーながらも今季2勝目を挙げ、ランキング2位で締め括った。
荒川は2019年から全日本ロードのST600クラスに参戦を開始した現在20歳の若手ライダーで、参戦4年目の2022年はチャンピオンにも輝いた。そして2023年からは自身初の1000ccマシンを駆ってST1000クラスにスイッチし、ルーキーとしてシーズンを戦った。
新たな強敵、渡辺一樹を抑えて加賀山就臣が鐵隼で初優勝/テイスト・オブ・ツクバ KAGURADUKI
ST1000クラスはダンロップタイヤのワンメイク開催で、歴代チャンピオンには高橋裕紀、そして3連覇を達成した渡辺一馬(Astemo HondaDream SI Racing)と強豪が名を連ねるクラス。そのほか、BSB帰りの高橋巧、國峰啄磨や榎戸育寛といった勢いある若手もおり、初挑戦となるライダーたちは、排気量の違うマシンへの乗り換えや、マシンの改造範囲も制限されるため苦戦を強いられることも少なくはない。
荒川も600ccから1000ccへの乗り換えに「だいぶ苦戦した」と語っていたが、序盤2戦はシングルフィニッシュで終えており、1年目とは思えない走りぶりを見せていた。しかし、さらに上位を目指して戦っていた荒川にとって、序盤戦は決して満足のいくものではなかったようだ。
そんな荒川は「後半戦のオートポリスに入るまでは全然結果を残せなかったので、鈴鹿8耐やアジア選手権を経験させてもらって、後半戦に結果を残せるようになりました」と語った。
ST1000は第3戦SUGOを終えると、第6戦オートポリスまで約3カ月空くことになる。しかし、荒川はその期間を空白で終えることなく、アジアロードレース選手権の日本ラウンドにスポット参戦し、さらにチームは違えど鈴鹿8耐にも参戦することで1000ccのマシンに乗り続けていた。
そのことが「自分がバイクに合わせることへの練習になった」と語る荒川は、第6戦オートポリスで大きな飛躍を見せる。レース1・2ともにスタートから先頭でリードする展開を見せ、レース1では榎戸育寛(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)と激闘の末に惜しくも敗れたが、初の2位表彰台を獲得。
レース2では渡辺の転倒があったものの、トップ集団の中で落ち着いた走りを見せて自身初の優勝を飾った。大躍進の荒川は、後に「走るごとに自分のスキルが向上していることを感じ、一番成長できたレース」と語っていた。
自身の成長を感じ取り、マシンにも徐々にアジャストしていき、勢いに乗る荒川は第7戦岡山では堂々のポールポジションも獲得した。決勝はリタイアで結果こそ残せなかったものの、この2戦で「かなり自信がついた」ようだ。そんな荒川はルーキーながらも、ランキング4位につけて、最終戦に挑んだ。
予選で3番手を獲得すると、決勝のスタートでは2番手につけてトップ集団に加わる。序盤から國峰啄磨(TOHO Racing)と榎戸、さらに高橋巧と高橋裕紀(JAPAN POST HondaDream TP)らのチャンピオン候補が続々と転倒する波乱の展開となった。それにより、独走体制となった荒川が、悠々たるレース運びで2勝目を挙げ、ランキング2位でルーキーイヤーを締めくくった。
「歴戦の選手が集まっているクラスなので、一筋縄ではいかないと最初から思っていました。やはり上手くいくことの方が少なくて、難しいところもありましたが、後半戦こうして少しずつ結果を残せるようになってきました」と荒川。
「今年シリーズランキング2位と、チャンピオンは獲れなかったのですが、最終戦を優勝という形で終えることができて、来年に向けてはすごく良い締め括りができましたし、すごく良かった1年間でした」
そう1年間を振り返る荒川に、今後の目標を聞いてみると「やはりしっかりとチャンピオンを獲って、結果を残してからその先に行きたいですね」と語っていた。
「来年はどうするかまだわからないですが、来年に向けてトレーニングと練習を頑張って、常に優勝できるように頑張りたいと思うので、応援よろしくお願いします」
強豪ライダーが出揃うクラスで、ルーキーとは思えないほどの速さと存在感を存分にアピールし、周りに一切引きを取らない走りを見せた荒川。「その先に行きたい」と先を見据える彼は、今後さらなる躍進と成長ぶりを見せてくれるのではないだろうか。
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