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童夢シャシー使うジュニアEVフォーミュラ『ERA』が初テスト実施。「FIA-F4より明らかに速い」

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童夢シャシー使うジュニアEVフォーミュラ『ERA』が初テスト実施。「FIA-F4より明らかに速い」

 新たなジュニアEVフォーミュラ選手権を標榜し、2020年後半のシリーズラウンチを目指している『ERAチャンピオンシップ(Electric Racing Academy Championship)』が、1月20日にベルギーのゾルダー・サーキットで初のシェイクダウンテストを実施。シリーズ主催者の傘下であるプロスピード・コンペティションの代表を務めるルディ・ペンデルスがステアリングを握り、成功裏にロールアウトを終えている。

 F4規定である童夢製F110シャシーをベースに“Mitsu-Bachi(ミツバチ)F110e”と名付けられたワンメイクシャシーを採用するERAチャンピオンシップは、「低コストによる参戦の容易さ」をメインコンセプトに掲げ、新たなジュニアEVシングルシーター・シリーズとして機能することを目指している。

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 シリーズの企画運営自体は、ベルギーの企業であるドライビングフォース社(The Driving Force)が担当し、2019年3月に構想を発表。続く6月には童夢製シャシーの採用をアナウンスするなど、ここまで着々と準備が進められてきた。

 モータースポーツへの参戦コストが高騰する時代的な背景も勘案し、その“アクセシビリティ”に重きを置くERAチャンピオンシップだが、今夏から全4戦のシリーズを予定し、イギリス、ベルギー、オランダでレースを開催。そのすべてがライブストリーミングで配信され、20分の公式練習、15分×2回の予選セッション、そして電力供給上限となる23分間の決勝ヒート2回というレースフォーマットが予定されている。

 この新EVフォーミュラーカーは、プロスピード・コンペティション代表のルディ・ペンデルスが栄えあるファーストランを担当し、1月20日(月)にダンプコンディションのゾルダーで3周のデモンストレーションランを披露。

 シリーズの技術面と商業面のディレクターを務めるディーター・ヴァンスウィンホーベンも、多くの潜在ユーザーとなる見込みあるチーム、モータースポーツ関係者、メディアが参加したお披露目イベントの成功を受け、この選手権が「ビジネス向けにオープンであることを示している」と、EVモータースポーツ専門サイトの『e-racing365.com』に語り、今後の展望に自信をみせた。

「今日はあいにくの天候で、かろうじて日差しはあったもののウエットトラックでの船出となった。それでもマシンは完璧で、ドライバーは非常に満足していたよ」と、テストの首尾を語ったヴァンスウィンホーベン。

 今回のデモカーは生産に向けたほぼ最終仕様となるものの、EVの技術的特性を考慮して一般的なギア駆動によるダイレクトドライブではなくチェーン駆動を採用したというが、これも「シリーズへのアクセシビリティを容易にするため」の措置だと説明する。

「今回はチェーンドライブを採用している。つまり最高速や加速力など、何らかの変更を加えたい場合はスプロケットを変えるだけで対応が可能になる。これがギヤボックスの場合、ギヤの変更やトランスミッション全体の再調整に及ぶ可能性もあり、それではまったく意味がないと考えたんだ」
「もちろん、我々としてもシングルギヤでドライブシャフト直結のダイレクトドライブ仕様をスタンバイしている。これは99%準備が完了しているし、すぐにでも生産が可能だ。でも今回は人々に我々のプロジェクトを披露し、さまざまな疑問を取り除くことを優先したんだ」

 FIA-F4規定のホモロゲーション取得シャシーをベースとするERA車両は、内燃機関となるF4の最高出力規定である160馬力(119kW)を上回る174馬力(130kW)を発生することから、ヴァンスウィンホーベンも「標準的なF4車両より速くなるはずだ」と説明する。

「F4と同等か、それより少しだけ上のパワーを発揮することから、トラック上でもより速いタイムを刻めるはずだと考えているが、何よりも効果的なのはそのパワーデリバリーの迅速さだろうね」と続けるヴァンスウィンホーベン。

「コーナーではより速さが増すだろうし、トラックによってどのように比較するかは異なるだろうが、全般的に言って参戦コストが抑えられているにも関わらず、標準のF4より遅くなることはないと予想している」

 このERAチャンピオンシップの標準的なスポーツ・クラスの年間エントリー費用は、約10万ユーロ(約1200万円)を見込んでおり、チーム単位で特定のパワートレイン領域を開発可能とするイノベーション・クラスでは約7万ユーロ(約850万円)が想定されているが、両者ともに安全上の対応からベース車両よりエンジンカバーの形状を変更している。

 また、イノベーション・クラスでは空力開発の余地も残され、フロントウイングの翼端板やエアロポッドの追加も可能になるという。

 シリーズの規定により、搭載されるバッテリーは24kWhで400Vを上限とし、最長レース時間は23分間に制限される。日曜の決勝2ヒートを前に、土曜に行われる2度の予選セッションでは、その間に充電を行わない方針を採用する予定だ。

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