運営元:外車王SOKEN
著者 :松村 透
2050年脱炭素宣言が「木を見て森を見ず」な結果とならないために…。
今年の4月にエビスサーキット西コースを走ってからおよそ半年。9月下旬のある日、手作りの6輪F1タイレルP34がふたたびエビスサーキットを走るということで、取材班も現地へ向かうことに。
当日の現地の天気予報は曇り一時雨。ゲートオープン前の午前7時頃に現地に到着した時点では小雨。
その後も雨がぱらついたものの「自他ともに認める晴れ男」の綿引氏だけに、走行会のあいだはなんとか雨は回避。綿引氏の晴れ男パワー恐るべし!!(笑)
綿引氏にとって半年ぶりのエビスサーキット。前回は西コース、今回は東コース。同日に開催される走行会が東コースで行われることになっていて、当日のタイムスケジュールのなかにタイレルがコースを占有できる時間も「別枠」としてしっかり組み込まれていました。
ちなみにエビスサーキット東コースは、綿引氏が若いころに2輪のレースに参戦していたときによく走っていた場所。若かりし頃の綿引氏が、まさか数十年後に自身で製作したF1マシンのコクピットに収まり、エビスサーキット東コースを攻めているとは夢にも思わなかったでしょう。
■この日のタイレルP34の走行枠は全3回/計90分
午前9時からミーティングがはじまり、9時10分から慣熟走行、そして9時30分から45分ほど参加者の方たちのフリー走行がスタート。タイレルの1回目の走行枠は10時15分から30分間。サポートメンバーの皆さんの手により、キャリアカーからタイレルを降ろしてピットへ移動。
フロントカウルをボディフレームに装着。すぐさま各部のチェック、そしてタイヤの空気圧チェックが行われ、やがてタイレルP34のエンジンに火が入るとピット内の空気が一変。
今回、タイレルに搭載されたハヤブサのエンジンは、半年前に西コースで走らせたときとは別モノとのこと。
■今回、フロントホイールとサスペンションのマウント位置を変更
今回のサーキット走行におけるハイライトのひとつが、フロントに装着した4本のアルミホイール。電子部品を作る機械の製造販売を主軸に、自動車の部品加工なども手がける株式会社中村機械(本社は富山県氷見市)によって特注した逸品なのです。
そしてリアのサスペンションの取り付け位置も変更されており、これまでよりも取り付け箇所が一段上げられるなど、この日に備えて直前まで準備を行ったそうです。
■まずは1回目のフリー走行!
各部の様子見も兼ねて1回目のフリー走行はスローペースでスタート。数周してピットインし、マシンの状態をチェック。この日は、綿引氏の若かりし頃からの先輩だというO氏が応援に駆けつけ、タイヤの空気圧チェックなどを担当しました。
ひととおりのチェックが完了し、綿引氏とO氏も問題なしと判断して再度コースイン!少しずつペースをあげていく綿引氏。しかし、何度かのピットインののち、デフ付近からわずかながらオイル漏れが判明。
綿引氏自らタイレルの下に潜り込み、腕を伸ばしてスマートフォンで気になる箇所を撮影しながら状況を確認。その結果、周回に問題なしと判断し、ふたたびコースへ。高負荷の状態で走り続けるからこそ見えてくるウィークポイントを洗い出していきます。
■2回目/3回目のフリー走行では安定した周回を重ねるタイレルP34
昼食をはさんで午後から2回目のフリー走行へ。コース上でスピンすることも、スローダウンすることもなく、安定した状態を維持したまま周回を重ねて行く綿引氏。リズム良くシフトアップ&ダウンしていくハヤブサエンジンの音が心地良い!
この日、乗用車でエントリーしたメンバーの皆さんが決して遅いわけではないのです。それを上回る速さでタイレルP34がラップを重ねており、事実、この日の最速タイムをたたき出していたことになります。
■エントリー車のなかでトップタイムをマーク!
今回、エントリーした車輌のなかでは唯一のフォーミュラマシンとはいえ、トップタイムをたたき出した綿引氏とタイレルP34!*参考までに、午前中のベストラップは1'07'883、午後は1'07'174でした。
「フォーミュラカーなんだから乗用車より速くて当然じゃん」と思う人がいるかもしれません。しかし、このタイレルP34はホームセンターなどで売られているアルミの板や角材を綿引氏が切り貼りして、叩いて形作られた手作りのフォーミュラカー。展示することに特化したマシン作りであればここで完成・・・でもよかったのです。しかし、綿引氏はサーキット走行に耐えうるマシンを目指し、このタイレルP34に命を吹き込んだのです。
その結果が、ハヤブサのエンジンをはじめとする綿引氏が試行錯誤して選んだ部品の集合体ともいえる姿に。仮に溶接や組み付け、カウルの強度が低いとしたら、サーキットを攻めるどころか低速走行がやっとという状態にもなりえます(長野ノスタルジックカーショーにタイレルを展示した際、ドラッグマシンのレーシングカーを製作した経験を持つアートレーシングの村手氏からにお墨付きをもらうほど、このタイレルは強靱なボディを誇っているのです)。
しかし現地ではそんな心配などまったく無用で(綿引氏に対してそんな心配をするのが失礼に思えてしまうほど)。むしろラップタイムや連続してサーキットを周回できるタフさに、現地でこのマシンの出自を知る人ほど驚いていたことはいうまでもありません。
■熟成が進みつつある手作りの6輪F1タイレルP34!
このタイレルP34は単なるスポーツ走行を楽しむためにエビスサーキット東コースを走っているのではありません。マシンのセッティング、そして各部の熟成、ウィークポイントの洗い出し、それはまさにレーシングカー、ひいてはフォーミュラマシンが本番のレースに向けてマシンのセッティングを煮詰めるのと何ら変わりません。この日のスポーツ走行もその課程のひとつであり、もはやデモ走行の域を完全に超えています。
この日も、トータルで1時間を超える周回を重ねてもリタイヤすることなく、無事に走行会は終了。綿引氏自身も、タイレルP34のさらなる改良点の把握をしつつも、現在のセッティングおよび熟成が進んできている手応えをつかんだようです。なお、この日の模様はCBR WATAHIKI YouTubeチャンネルでも公開されているので、ぜひチェックを!
●Six Wheeler Drift | Handmade Formula One in Japan | Tyrrell P34 | CBR WATAHIKI
https://www.youtube.com/watch?v=5HF7BgqPNdI
●エビスサーキット東コース外部映像、テロップ説明付版
https://www.youtube.com/watch?v=I5WlBnvTadU
■取材後記:ハンドメイドの6輪F1タイレルP34がエビスサーキット東コースを走った!そして・・・
この取材のあと、10月14日~15日に新潟県妙高市で開催された「妙高ヒルクライムHILL G.P2023」にエントリーした綿引氏とタイレルP34。14日は晴れ、翌15日は雨の予報ということで、スリックタイヤを履くタイレルP34は14日のみの走行になることも想定して臨んだ綿引氏。14日午前中の最終LEGでコースアウト。フロント部分をクラッシュさせてしまったとの一報が(画像提供:綿引雄司氏)。
幸い、綿引氏に大きな怪我はなかったものの、タイレルP34はフロントカウルが大きく破損。フロント部のフレームやサスペンションにもダメージを受けたものの、綿引氏いわく「軽傷」とのことでした。
●タイレルが無惨な姿に!妙高ヒルクライム2023
https://www.youtube.com/watch?v=pvbima95iZY
■ハンドメイドの6輪F1タイレルP34最新情報
その後、綿引氏自ら仕事のあいまに修復し、1977年仕様のカウルをまとって復活しました!(早い!)綿引氏が撮影した最新の状況はこちらです(画像提供:綿引雄司氏)。
ここまで復活した経緯は綿引氏のYouTubeをぜひご覧ください!
●タイレル復活編 Handmade F1 Tyrrell P34
https://www.youtube.com/watch?v=ImXBmb4QNm8
■巴自動車商会/カスタムビルド&レストア WATAHIKI 店舗情報
住所:〒310-0912 茨城県水戸市見川3-528-2
TEL:TEL/FAX 029-243-0133
URL:http://cbr-watahiki.com
お問い合わせ:http://www.cbr-watahiki.com/mail.html
●綿引氏のYouTubeチャンネル"cbrwatahiki"
※「アルミのイオタ」および「タイレル P34」の製作風景も紹介されています
https://www.youtube.com/@cbrwatahiki
※YouTubeで動画を配信している「ぺーさんxyz」さんがイオタの製作過程を詳細にまとめた動画。手作業で造られていったことが分かる構成となっています。
●板金職人の技炸裂!アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【前編】
https://www.youtube.com/watch?v=hvAf5PfcSJg&t=8s
●アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【後編】
https://www.youtube.com/watch?v=WidFHqbp4QA
■Special Thanks!
エビスサーキット
●営業時間8:30~17:00(GATE OPEN8:30)/*冬期間9:00~16:30(GATE OPEN9:00)
*大会やイベントで変更になる場合もあり
●定休日:毎週水曜日 *水曜日が祝日の場合、G.Wの場合、お盆休みの場合などは営業する日もあり
●住所:〒964-0088 福島県二本松市沢松倉1番地
*案内図:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.ebisu-circuit.com/images/ebisu_syuhen.pdf
●TEL/FAX:TEL:0243-24-2972/FAX:0243-24-2936
●E-Mail:autoland81@techno-as.com
●URL:https://www.ebisu-circuit.com/
●Twitter:https://twitter.com/ebisu_circuit
●Facebookページ:https://www.facebook.com/EBISUCIRCUIT.JP/
●YouTubeページ:https://www.youtube.com/user/ebisucircuit
●LINE:https://page.line.me/whe3251y?openQrModal=true
株式会社中村機械(今回、タイレルP34のフロントホイールを製作)
●URL:https://nakamurakikai.co.jp
氷見本社/機械加工部品製造工場
●住所:〒935-0037 富山県氷見市上泉145-1
●TEL.0766-91-5585
●FAX.0766-91-1855
射水 Factory/機械装置開発・設計・製造工場
●住所:〒939-0281 富山県射水市北高木465-1
●TEL.0766-95-5755
[画像提供/綿引雄司氏、ライター・カメラ/松村 透]
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本気で裏山鹿