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アルファタウリで”失った自信”を取り戻したリカルド。独自のドライビングを受け入れるマシンの柔軟性がカギに?

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アルファタウリで”失った自信”を取り戻したリカルド。独自のドライビングを受け入れるマシンの柔軟性がカギに?

 アルファタウリのダニエル・リカルドが、F1メキシコシティGPの主役のひとりだったのは間違いないだろう。予選4番手、決勝7位は今季のチームベストリザルトとなっている。

 リカルドは2018年限りでレッドブルを離れ、ルノーで2シーズン、マクラーレンで2シーズンを戦った。特にマクラーレン時代は、マシンに適応しようと努力を続けていた。

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 マクラーレンは低速域でのパフォーマンス不足という弱点を抱えており、それはリカルドが乗っていた時も、今も変わっていない。チームはいまだにその弱点を克服できていないのだ。

 しかしランド・ノリスや、オスカー・ピアストリはそうした弱点に上手く対処し、マシンを乗りこなしている。得意な高速サーキットでは表彰台を獲得できるほどの速さを見せている。

 だがマクラーレン時代のリカルドは、自身のドライビングスタイルとマシンの走らせ方が一致しないという問題を克服することができなかった。

 アルファタウリでその傾向が変わったわけではないようだ。トラックサイド・エンジニアリングの責任者であるジョナサン・エドルズは、メキシコシティGPの土曜日に次のように語っている。

「彼は、ユウキ(角田裕毅)も含めて我々がこれまで仕事をしてきたドライバーたちとは異なるマシンの走らせ方をしている」

「彼のコーナーの攻め方、ブレーキの踏み方。ドライビングスタイルが異なっているんだ」

 リカルドはマクラーレン時代、ノリスとの差を縮めるために試行錯誤していたが、結局はそれが逆効果となり、リカルドが自信を失う結果となってしまった。

 しかし今、リカルド本来のドライビングスタイルを発揮できる柔軟性を与えてくれるマシンを見つけることができたようだ。

 リカルドが手首を骨折して療養している間、アルファタウリはマシンをアップデート。リカルドがニック・デ・フリーズの後任としてF1に復帰した当初とは全く異なるマシンとなった。

 そのためリカルドは復帰初戦となったアメリカGPで基本に立ち返る必要があった。だがスプリント・フォーマットでの開催となったアメリカGPではセットアップに行き詰まり、周回遅れの15位と結果は出せなかった。

「(オースティンで)疑問符があったから、ユウキのセットアップに戻したんだ。エアロアップデートを施してクルマが大きく進化し、特性も変わったからね」とエドルズは付け加えた。

「おそらく、パッケージにはもっとパフォーマンスがあったはずだが、それを引き出す機会がなかったのだろう」

 一方メキシコでは、リカルドと彼のエンジニアたちは3回のフリー走行でマシンを微調整することができた。

 チームはセットアップのブレークスルーを発見し、アルファタウリのマシンに合ったコース特性も相まって、リカルドは予選でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)からコンマ1秒差の4番手という衝撃的なポジションを獲得した。

 決勝レースでは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)に迫っての7位フィニッシュ。レース中盤の赤旗でラッセルやランド・ノリス(マクラーレン)がより速いミディアムタイヤに履き替えることができていなければ、5位でのフィニッシュもありえただろう。

「リカルドのドライビングスタイルをベースに、マシンのポテンシャルをもう少し引き出すために、金曜日の大半を様々なセットアップを試すことに費やすことができた」

「その数値が大きい訳では無いが、彼のドライビングには違いが見られる。彼はコーナーの異なる部分でラップタイムを稼いでいるんだ。だからユウキのドライビングスタイルとは異なる弱点が出てくるんだ」

「彼にとって大きな制限となる要素のひとつはフロントエンドだ。(セットアップの)方向性は彼のためにマシンのフロントエンドを改善することだった」

 アルファタウリは今季、頻繁にフロアをアップグレード。その効果の片鱗も見えており、標高が高く空力の効果が薄いエルマノス・ロドリゲス・サーキットではそのメカニカルグリップをフルに発揮した。

 メキシコでのパフォーマンスが今季残りのレースでもそのまま発揮されるわけではないだろう。しかしエドルズはリカルドに合ったセットアップを見出した効果は続くと考えており、それは角田にもプラスに働くと考えている。

「ダニエルの好調は続くと考えている」

「ユウキがここで強かったことも忘れてはいけない。アイザック(ハジャー)がFP1で走ったため、彼はFP1を欠場していたんだ」

「FP2のソフトタイヤでの走行では、彼はスピードに乗り、ダニエルとほぼ互角だった。このセットアップの方向性は、ダニエルのポテンシャルを引き出すためだけのものではない」

 マクラーレンではうまくいかなかったのに、アルファタウリでリカルドにうまくいったのはなぜかと尋ねると、マクラーレンが低速で苦戦しているのに比べ、アルファタウリには特有の弱点がないため、扱いやすいクルマなのではないかとエドルスは考えている。

 結果としてリカルドは慎重にドライブする必要がなくなり、さらにパフォーマンスを引き出すための安定したベースラインを手に入れたということだ。

「マクラーレンのことについては話せないが、我々のクルマの挙動は良いんだ」

 そうエドルズは説明した。

「トップチームのようなダウンフォースや(空力)効率はないかもしれないが、根本的な弱点はないんだ」

「毎ラップ、コーナーごとに同じことができるという事実が、コーナーにマシンを放り込むことができるという自信を彼に与えている」

「マクラーレンにいたときよりも限界に近いところまでプッシュできるという自信を彼に与えているんだ」

 リカルドはメキシコでの進歩について、次のように語った。

「セットアップを進めたことで、マシンにもう少し自信を持てるようになった」

「先週、ユウキが5ポイントを獲得したことはチームにとって大きかった。みんな大喜びだった。その1週間後に6ポイントを獲得できたことは、とてもうれしい」

「まだまだ改善できる点はあるけれど、全体的にはとても満足している」

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