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【大型免許、取得しました】第3章:無事合格! 自動車ジャーナリスト(修行中)黒木美珠の挑戦

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【大型免許、取得しました】第3章:無事合格! 自動車ジャーナリスト(修行中)黒木美珠の挑戦

『パニックにならない』ことの大切さ

今回、大型車の世界に飛び込んでみて見えたのは、クルマのスケール感だけではありませんでした。運転者として求められる責任感、心のゆとり、そして周囲への配慮。教習を通じて変わっていったのは、運転技術だけでなく、自分自身の『運転者としての在り方』でした。得られた気づきや視点の変化は、これからの自動車取材に絶対活きてくる。第3章では、そうしたメンタル面での変化について振り返ります。

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教習中、特に強く実感したのは『落ち着いて対処すること』の大切さです。私が使用していた教習車は、3速のギアがうまく入らないことが度々ありました。クラッチ操作を行っても、つなぎきる前にギアが抜けてしまい、車両が前に進まないという現象が繰り返されたのです。

忘れられないのは、路上教習の初日に起きた出来事でした。教習所内での試験に合格すると仮免許証が発行され、一般公道での教習が始まります。事件は、その初日の走行中に起こりました。

右折待ちをしていたところ、対向車が途切れて次の車両まで十分な間隔があったため、右折を開始。2速で発進し、カーブを抜けたところで3速にシフトアップしようとしたものの、ギアが途中で抜けて失速してしまったのです。後続の大型車も一緒に右折してきていたため、私のクルマの後ろでつかえ、結果的に対向車の進路を一時的にふさいでしまう事態に。

思わず息をのむと、教官がすかさず「大丈夫だから。クラッチを踏み直して、もう一度3速に入れてごらん」と声をかけてくれました。ミラー越しに後方の状況が見えていたため内心慌てていましたが、ひと呼吸置いて落ち着くことで冷静に対処することができ、大きなトラブルには至りませんでした。

こうした場面では焦って操作を繰り返すのではなく、一度クラッチを踏み直し、呼吸を整えたうえで、シフト位置を確認して再操作することが求められます。それでも最初は焦ることもありましたが、似たような経験を重ねるうち、落ち着いた行動が最善の対処であること、ひいては冷静さこそが安全運転において最も重要な要素だと実感しました。

操作の正確性は大前提。それ以上に『慌てないこと』が、運転の質を左右する要素だと感じました。精神的に落ち着いていれば、視野が広がり、次に取るべき行動も自然と見えてきます。

この『パニックにならない心の状態』は、大型車に限らず、すべてのクルマを運転するうえで基本となる姿勢とも言えるかもしれません。教習を通じて身につけられたのは、技術だけでなく、そうした『心の運転技術』でもあったのです。

最後の運転、そして合格へ

大型免許取得のための教習は、全部で30時間。数字だけを見ると長く感じますが、実際はあっという間の日々でした。1日2時限の実技を15日間、補講もなくすべてストレートで通過できたのは幸運だったと思います。

仮免許取得後の一般公道での教習は、毎回あっという間に感じました。1回1回の乗車が貴重な実地訓練の場であり、時間内で多くのことを吸収しようと集中力を高めて臨みました。適度な緊張感の中で、徐々に交通の流れに乗れるようになってきたことが自信へとつながっていき、大型車を運転すること自体が楽しいと感じるようになっていました。

そのなかでもずっと難しかったのは、複数車線のある道路での右折でした。横断歩道上に歩行者や自転車がいないかを確認しつつ、左側車線を走る車両にも気を配る必要があります。大型車は左後方が大きく張り出すため、タイミングを誤ると巻き込みの危険があるからです。対向車の合間を縫って右折するだけでなく、左側の車両の動きまで確認する必要があり、判断の難易度は想像以上でした。「大型車を運転している方たちは、普段からこんな視点で周囲を見ているんだ」としみじみ。

さあ、いよいよ迎えた卒業検定。ここまで順調に来たからこそ、このまま無事に合格したいという気持ちで臨みました。大型免許の卒業検定は、普通車とは異なり筆記試験はありません。すべて実技で構成されています。

まずは校内で、縦列駐車または方向転換の課題に取り組みます。どちらが課題になるかは当日朝に発表されるため、どちらのパターンも事前に練習しておく必要があります。私が受けた日は方向転換が課題でした。

大型車は、一般的な乗用車の感覚で『後端が曲がり角を通過したらハンドルを切る』と思っていると、うまく回り込めません。さらに、転回地点側から車両が離れすぎると、前輪が縁石に接触するリスクもあります。その微妙な『さじ加減』を見極めるのが難しいのですが、繰り返し練習を重ねた結果、本番では一発で決めることができました。これがクリアできれば、卒業検定の7割は終わったも同然と言われており、その時には大きな山を越えた感覚がありました。

その後、試験官の運転でスタート地点まで移動し、路上試験開始。比較的自信がついていたこともあり、最後の試験というよりは「これが最後の大型車でのドライブなんだ」という気持ちで、落ち着いて丁寧に運転することができました。自己評価では問題なく走れたと思います。

走行を終えて教習所に戻り、控え室でしばらく待機。数十分後、試験官が入ってきて結果が告げられました。

結果は、無事合格!

ほっと胸を撫で下ろし、同時に免許センターでの書き換え手続きや必要な書類についての説明を受けて、この日をもって約1ヵ月にわたる教習が完了しました。

大型車を『応援する目』に変わった

街で見かける大型トラックや路線バス。以前は憧れと共に、「大きいなあ」と他人事のように見ていた存在でした。けれど今は、まったく違った目線で見ています。

実際に運転席に座り、ステアリングを握ったことで、大型車のドライバーが緊張感と共に、どれだけ多くの情報を同時に処理しているかがわかりました。交差点をゆっくり慎重に曲がっていくトラックを見かけると、自然と心の中で「ご安全に」と声をかけています。

停止線よりも手前に止まり、大型車が余裕を持って曲がれるように工夫したり、自分のクルマが大型車の死角に入らないように気をつけたり、大型車のドライバーの方が運転しやすくなるために少しでも協力したいと思い、実践するようにもなりました。そうすることで自分も周りも安全に、気持ちよく運転できるのを実感しています。

今回、久しぶりの教習所通いに懐かしさを感じる一方、普通車では意識していなかった運転技術や、視野を広く持つことの重要性を、改めて学ぶ機会になりました。大型車という新たなフィールドを体験して運転に対する意識が変わり、見える世界も広がった今回の経験は、これから自動車ジャーナリストとしてこれから発信していくうえで、確かなアドバンテージになると強く感じています。

今後は、これまで以上にバスやトラックといった大型車両の新型モデルや、物流業界を支える車両・インフラに関する取材にも力を入れていきたいと考えています。大型車の世界に触れてみて、単なる『免許取得』では終わらない、運転の視野を広げる貴重な経験をしました。これを今後の活動に活かしていきたいと、今、強く思っています。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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