「今の時代、おっさんはどんなクルマに乗るべきか?」
いやもちろん、どんなクルマに乗ったっていいのだが、アナタ(おっさん)が仮にクルマ好きなら、周囲のクルマ好きからどう見られるかを意識するはずだ。そして少なくとも、「シブイなぁ!」とか、「わかってるね~」と思われたい、と願うのではないだろうか? そういう選択を、ワタクシ清水草一が独断で展開いたします!
武士は食わねど高楊枝! 新型Zを買い損ねたおっさんはこれで逆襲しろ!【おっさんはこれに乗れ!】
文/清水草一
写真/日産、GMジャパン、ルノージャポン、ポルシェジャパン
■おっさんたちが欲しがった新型Zの対抗馬?
ハイパワーなガソリンエンジンを搭載したスポーツカーが新車で買えるのも、そう長くはなさそうだ。おかげで、新型フェアレディZは、あっという間に売り切れてしまった。
2021年に初公開されるや否や世界中から注目の的となった7代目となる新型フェアレディZ
ここで言う「売り切れ」は、「数年分はすでに売り切れたらしい」という話であり、「もう絶対に新車は買えない」というわけではない。しかし、よほどの情熱を持ち、情報に敏感でないと、今からZの新車をゲットするのは至難の業。手に入ったとしても数年後だ。
自分の周囲のカーマニアにも、新型Zの予約をゲットしたおっさんが複数名おり、つい羨ましい気持ちになる。彼らは「まずは実車を見て、触れてから」みたいな逡巡は一切なく、正式発表のはるか前にディーラーに向かい、その場で予約した。
ただ、そう聞くと逆に、「そこまでして欲しくはないぜ!」という反骨心も湧いてくる。相手と会わずに写真だけで結婚なんか決められるかっ! そもそも俺は奪い合いには参加したくない! もっとゆったりおおらかに、武士は食わねど高楊枝で生きたいんだ! と。
そこで今回は、焦らなくても、新型Zと同程度かそれ以下の予算で買うことができる、新型Zの対抗馬を考察し、しばし妄想にふけってみようじゃないか。
■本場のアメリカンスポーツの迫力!
新型Zは405ps。実物を見て、走らせると、初代Zが無敵になって蘇ったかのようなオーラに満ちている。そのオーラに対抗できるマシンは、かなりの大物である必要がある。もともとZは北米向けに開発されただけに、まず思い浮かぶのはアメリカンスポーツだ。その代表選手と言えば……。
●シボレー コルベット
新型コルベットは2021年に日本デビュー。その後、定番となったハイパフォーマンスモデル「Z06」も追加されている
コルベットである。ただ、現行モデルの新車は1400万円から。先代モデルの中古も1000万円前後する。よって狙い目は、先々代(6代目)のいわゆる「C6」になる。中古車相場は300万円から600万円、平均400万円台で、新型Zよりだいぶ安い。
C6はアメリカンスポーツらしい野蛮さが色濃く残っており、その割に信頼性は高い。なによりエンジンは6.0L V8! 新型Zと対峙してもビクともしない。自動車税が高い(年間11万1000円)のが玉にキズだが、Zだって5万1000円。年間5万円程度の差は無視できる! いや、無視しよう!
●シボレー カマロSS
カマロもアメリカンスポーツの象徴的存在。現行型となる6代目モデルは2015年に発表され、今も販売を続けている
こちらも6.2L V8を積むモンスターだ。新型Zは外で聞くと排気音が非常に静かだが、カマロSSは違う。アクセルを踏み込めば、勇ましいサウンドを轟かせて爆走する。新車価格は810万円(現行モデル)。Zよりは高いが、それほど大きな差ではない。こちらも自動車税は最高額だが、大した問題ではない!
アメリカンV8なら、新型Zなどまったく怖くないが、アメ車は精神的なハードルが高いし大味すぎる、もっと凝縮感のあるスポーツカーが好き! というおっさんも多いだろう。が、国産スポーツには、残念ながら、新型Zに対抗できるタマがない。
ガチで当たるのはスープラだが、あのくどすぎるデザインはキビシイ(好みの問題です)。レクサスRC Fも、エンジンはすばらしいが、価格は1000万円オーバー。Zのようなアイドル性もない。
■洗練された欧州スポーツの味わい!
GT-Rも、新車は1000万円超え。中古の最安クラスでようやく600万円前後だ。GT-Rのカリスマ性は凄まじいが、十数年落ちでようやく新型Zの新車と同価格帯では、はるかに割高に感じてしまう。ロードスターやGR86/BRZは、さすがにクラスが違いすぎる。ここはやはり、ヨーロピアンスポーツにお出ましを願うしかなかろう。
●アルピーヌ A110
かつての名車を現代に蘇らせた新型A110は2018年から日本でも販売されている。アルピーヌブランドの復活を象徴する軽量スポーツだ
811万円からと、これまた新型Zより少しお高いが、なにしろ新車が買える。受注生産につき納期は半年から8か月程度かかるが、新型Zに比べれば、1年以内に納車可能というだけで、ありがたくて涙が出る! 中古なら600万円台からなので、ほぼ同レベルになる。
エンジンは1.8Lの4気筒ターボ。新型Zの3.0L V6ツインターボの迫力にはかなわないが、なにせミッドシップだ。スペシャル感は非常に強い。実物は、その存在感ゆえ、なぜかサイズよりもデカく見える。もちろん走りは本物だ。
新型Zに対して、そこはかとない優越感を抱くことも十分可能だろう。残念なのは、ヨーロピアンスポーツなのに、MTの設定がないこと。そこだけは痛い。
●ポルシェ 718ケイマン
ポルシェのスモールスポーツ・ケイマンは現行型で3代目。オープンモデルのボクスターとともに販売の中核を担っている
なにしろポルシェだ。しかもケイマンはZ同様、MTが選べる。これぞ真の対抗馬と言っていいかもしれない!
現行モデルである718ケイマンの新車価格は768万円から。新型Zより少しお高いが、こちらも半年から1年待てば新車が納車される。ありがたいじゃないか! ポルシェディーラーで新車をオーダーするなんて、本当にスペシャルな体験だ。一生の記念になるだろう。
新型Zは、最後のZになる可能性が高いが、ケイマンも次期モデルはEV化されるともっぱらの噂だ。つまりガソリンエンジンのケイマンはこれがラスト。Zほどではないにせよ、下取りの下落は最小限だろう。
しかもケイマンは中古車が豊富だ。中古車なら即納だし、初代なら100万円台から流通している! フェアレディZは、先代や先々代はぜんぜん魅力的じゃないので新型の代わりにはならないが、ケイマンは初代や2代目でもまったく問題ない。むしろそっちなら、もれなく水平対向6気筒エンジン(2.7~3.4L)を積んでいる。新型Zの3.0L V6ターボともガチかそれ以上の存在感!
さすがに100万円台はボトムだが、300万円前後で初代ケイマンのMT(ATでもヨシ)を買えば、新型Zを買えなかった悔しさなど木っ端微塵になるはずだ。
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Zが欲しければ中古でも新車でも待つ。