“GT500完全攻略”の目標は達成ならず？ しかしウエイト40kgで2位のau TOMS山下「自分のスティントが速ければ勝ってたかも」

　スーパーGT開幕戦岡山を制し、シリーズ3連覇に向け好スタートを切った1号車au TOM'S GR Supra。昨年からチームの一員として戦う山下健太は、優勝記者会見で次のように語っていた。

「今年は年間4勝を目指しています」

　スーパーGTは、獲得ポイントに応じてウエイト増加や燃料流量低下といった足枷を負うハンデ戦。トップチームにとってウエイトを多く積む中盤戦で勝利を狙うのは極めて難しいことを踏まえると、1戦目（ノーウエイト）、2戦目、7戦目（ハーフウエイト）、最終戦（ノーウエイト）を全て制するということは実質的にシーズン全勝に近いほどの快挙と言えるのだ。そういった意味合いで出てきたのが山下のコメントだ。

　昨年は1戦目、7戦目、最終戦を制したau TOM'S。今年はこれに加えて2戦目も勝てば、“GT500完全攻略”と言ってもいいかもしれない……そんな中で迎えた第2戦富士。40kgのウエイトを積むau TOM'Sは予選7番手に終わったが、決勝の3時間レースでは持ち前のレースペースの良さで追い上げを見せた。

　まずは坪井翔がスタートを担当して表彰台争いまで押し上げると、第2スティントの山下は粘りの走りでポジションをキープ。最終スティントは坪井が2番手まで上がり、30秒先を行く38号車KeePer CERUMO GR Supraとの差を12秒まで詰めたが、2位でフィニッシュとなった。

　開幕戦ウイナーが40kg積んだ第2戦で2位に入るのは上出来も上出来。ただ山下は、自身のスティントがうまくいけば優勝できた可能性もあると悔しがった。

「後から考えるとタイヤ選択があまり良くなかったかもしれません。ちょっと柔らかい方向に行きすぎたのかなと。あまりにも遅くて自分でもびっくりしました」と山下は振り返る。

「ただ3時間レースですし、なんとか踏ん張らないといけませんでした。周りの状況を聞いて、なんとか抑えるだけ抑えて、早く坪井選手に代わってもらおうと……（笑）」

「坪井選手は完璧に速かったので『ありがとうございます』という感じでしたね。ただ自分も三宅選手（3号車Niterra MOTUL Zの三宅淳詞）の速いところを封じ込めてうまくブロックできていたと思うので、遅かったなりに最低限のことはできたと思います」

「正直、自分のスティントが速ければ勝っていたかもしれないので、それを考えるとちょっと申し訳ないですね。だいぶロスしていたと思うので。でもこの重量で2位は普通に考えればすごいことなので。36（au TOM'S）の求められるレベルが高いから……」

　ここからは燃料流量低下の段階に入るため、山下の掲げるシーズン4勝はかなり厳しい状況になったau TOM'Sだが、それでもシリーズ3連覇に向けては死角のない状態にあると言える。