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ゲレンデで体感したスバルAWDとXモードの実力【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

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ゲレンデで体感したスバルAWDとXモードの実力【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

車の最新技術 [2026.02.16 UP]


ゲレンデで体感したスバルAWDとXモードの実力【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
文●石井昌道 写真●スバル、石井昌道

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 2014年から開催されているスバルのゲレンデタクシー。当初はスキーやスノーボードのお客さんを、ゲレンデのリフトの代わりに下から上まで送り届けるスタイル、つまり登りを駆け上がるだけだったが、現在では駆け上がって駆け下る周回コースになっている。


群馬県パルコール嬬恋リゾートで実施されたゲレンデタクシー
 雪を蹴散らしながら豪快に駆け上がるのも醍醐味だが、通常は自動車が走ることのない急な下り斜面を安全に降りてくる場面こそが、スバルの悪路走破性の高さを実感させてくれる。

 コロナ禍の一時休止を経て昨年復活し、2026年は群馬県のパルコール嬬恋リゾートで開催されたゲレンデタクシーにドライバーとして参加してきた。


トップドライバーである新井敏弘選手や鎌田卓麻選手も参加し、華麗なパフォーマンスを披露した
 新井敏弘選手や鎌田卓麻選手といった現役バリバリのラリードライバーや、モータージャーナリストの大先輩にして今も全日本ラリーに出場している清水和夫さんなど豪華なラインアップに混ぜてい恐縮したが、日常ではあり得ないシチュエーションを2日間たっぷりと走り込めることは貴重な体験でもあった。

 まずはお客さんを乗せる前にコースとクルマを確認。登りは昨晩降った雪のおかげでグリップが良くてまさに駆け上がっていける一方で、下り斜面は多少の雪があるものの、走るたびに凍結路面が出てきて非常に滑りやすい状況。時間が経つにつれてさらにシビアになっていきそうだ。


ゲレンデを力強く駆け上がるクロストレック S:HEV
 使用する車両はフォレスターS:HEVとクロストレックS:HEVが中心。前者はサスペンションのストロークが豊かで、落ち着いた足取りで走っていける。後者は少し跳ね気味になる場面もあるが、軽量コンパクトゆえ機敏に走れるのが楽しい。タイヤは全車ブリヂストンの最新スタッドレス・タイヤ「ブリザックWZ-1」を履いていて性能は申し分ない。


「X MODE」などの設定はセンターディスプレイから行う
 走り方やお客さんへのアピールポイントについては鎌田卓麻選手に教えていただいた。

 「スバルのAWDはもともと雪道に強いと言われてきましたが、現在はそれにプラスして電子制御が進化しています。そこを上手に使って運転しながら、雪道でも安心感があることを伝えてください。VDCはブレーキやパワートレーンを制御して、トラクションコントロールや横滑り防止装置として機能します。横滑り防止装置はスピンなどを抑制するイメージが強いのですが、今のスバルは、滑りやすい路面でステアリングを切った方向にクルマの向きを変えていくようにも機能してくれます。ドライバーの意思に従ってくれるのですね。今回の、非常に滑りやすい左コーナーなどでは活用できますよ。それからXモードも重要な機能です。滑りやすい低ミュー路、低速域で絶大な効果を発揮するのがXモードで、ぬかるんだ路面やフカフカの雪から発進するときなどに役立ちます。CVTは通常、駆動力を滑らかに伝えるため滑りを伴いますが、滑りやすい路面ではそれが駆動力の邪魔になってしまいます。Xモードは、そこで直結力を高める働きをしてくれるので力強く発進してくれます。また、下りの滑りやすい路面ではヒルディセントコントロールが効くのでアクセルやブレーキを操作しないまま、一定の速度を保ちながら安定して下っていきます。フォレスターやクロストレックのオーナーの方でも、Xモードがどういう場面で威力を発揮するのか知らない方が多いですし、知っていても実際に使ったことがない人がほとんどですから、体感してもらういい機会になります」。


ゲレンデタクシーのドライバーとしても活躍した鎌田卓麻選手
 鎌田選手の運転に同乗させて頂きながら話をうかがったことで、順調にタクシードライバーを務めていったが、1日あたり6時間半を2日間に渡って走っていると、路面や気象条件が刻々と変化していってシビアなコンディションにも出会った。

 1日目は路面が良好で70km/h程度まで伸びていた登り区間が、2日目の途中からは滑りやすくなって50km/h、40km/hと落ちていって、スタックも一度経験してしまった。いったん反転して平坦路まで下り、再加速して事なきを得たが、そのときのXモードが心強かった。非使用時にはトラクションコントロールが働いてエンジンがあまり吹き上がってこないが、Xモードをオンにするとトラクションコントロールの介入がなくなってエンジン回転数を高めることで強い駆動力を発揮。20km/hまでなのだが、そこで勢いがつくのだ。

 また、スバルはストロングハイブリッドのS:HEVでも、これまで培ってきたAWDと同じく前後をプロペラシャフトで機械的に結ぶ方式を採用することで、高い安定性と安心感を得ている。路面のグリップが変化しても挙動が乱れにくくコントローラブルなのだ。

 アイスバーンの下り斜面のほうが運転の難易度は高く、スバルのAWDの威力が発揮された。Xモードをオンにしておけば、ヒルディセントコントロールがアクセルをオフにしたときの速度を自動的に保ってくれる。ABSはもとより、VDCもフルに稼働して安定して姿勢を保っているのが実感できる。滑りやすい下りでブレーキを踏むのは、ちょっと怖いが、これならばドライバーは安心してステアリング操作に集中できるのだ。


フォレスター S:HEVは、ストロングハイブリッドとメカニカル式AWDの組み合わせにより雪上でも優れた走破性を実現する
 ただし、一般道ではあり得ないぐらいの斜面でアイスバーンが続くので、ABSやVDCが効いていても物理の法則を超えてズルズルと滑り落ちていってしまう。そこで、左右にクルマを振ってスラロームすることで速度を抑えて安全に降りていくテクニックが必要とされるのだった。ここが運転していてもっとも面白い瞬間でもあった。

 もう一つ楽しかったのは、鎌田選手に教えてもらったVDCの活用で、歩くのも困難なほど滑りやすい路面でも行きたい方向にステアリングを切って、少し待っているとスーッとノーズがインに向いていくことだ。Xモードに入れているとVDCの介入がないので、ノーマルのままVDCオンで向きをかえ、出口に向かってアクセルオンのときにXモードを入れると駆動力が高まる、なんて使い方も有効だった。

 フォレスターの1.8Lターボにも乗ったが、S:HEVに比べて軽量かつハイパワーなので積極的に操ったときの楽しさがさらに高まる。ABSだけはモーターの緻密な制御があるS:HEVのほうが優れているが、走る楽しさ重視の人にはオススメだ。

 2日間のタクシードライバーは楽しい体験で、同乗しているお客さんとともにスバルの悪路走破性の高さに驚きながら大いに盛り上がった。天気に恵まれた1日目は1200人以上のお客さんを乗せるという新記録も樹立(ドライバーは8名体制)。今シーズンは残念ながら終了してしまったが、大好評につき来シーズンも開催されることは間違いないだろうから、興味のある人はチェックしてみて欲しい。

文:グーネット
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