■“永遠の黒”はどのような工程を経てつくられる?
クルマのボディカラーには、その色のイメージにあった名前がつけられています。「ダークブルー」「ダークレッド」など、単にその色の特徴(暗い青・暗い赤)を表しているものもあれば、宝石や花など自然界のものから名前を拝借しているものなどさまざまです。
そんななか、色見本を見ずに名前を読んだだけではどんな色なのか想像しづらかったり、ひと捻り加えられた名前の色があるといいます。どんな名前があるのか、国産車のなかから5色ピックアップして紹介します。
●トヨタ「エターナルブラック<神威>」
日本を代表する超高級車であるトヨタ「センチュリー」は、現行モデルが2018年に登場。
国産車唯一のショーファーカー(専属の運転手がいるオーナー向けのクルマ)として職人による手作業で生産されていますが、このセンチュリーに設定されるブラックのボディカラーがエターナルブラック<神威>(かむい)です。
名前のインパクトもさることながら、奥深い艶と輝きをもち漆黒と呼びたくなるその美しい黒は、7層にわたる塗膜層(一般的なクルマは4層)や「水研ぎ」「鏡面磨き」といった特殊な工程を経て生み出されます。
鏡のように美しいボディには、VIPであるオーナーがクルマから降りるとき、ボディが鏡となってさりげなく身だしなみを確認できるというセンチュリーならではの心遣いも込められているといいます。
ちなみに現行型センチュリーの開発前に、工場の職人が石川県にある輪島塗の工房を訪れ、作業の参考とするために漆塗りの技術を学んだという逸話があります。
●ホンダ「130Rホワイト」
ホンダを代表するスーパースポーツカー「NSX」には9色のボディカラーがラインナップされています。
このなかのホワイト系のボディカラー「130Rホワイト」は読んでも名前の由来が分からない、という人もいるかもしれません。
じつは、130Rはホンダのグループグループ企業であるモビリティランドが運営する鈴鹿サーキットの超高速コーナー「130R」に由来するものです。
NSXに設定されるほかのボディカラーを見ても、「ヌーブルブルーパール」(モンテカルロ市街地コースのヌーブルシケイン)や「ソースシルバー・メタリック」(スパ・フランコルシャンサーキットのラ・ソース・ヘアピン)など、世界のサーキットに由来する名前がつけられています。
このことからも、ホンダのモータースポーツへの情熱がNSXに詰め込まれていることがわかるといえるでしょう。
■“金属の流れ”感じられるボディカラーとは
●トヨタ「メタルストリームメタリック」
トヨタ「C-HR」は同社の世界戦略SUVとして2016年に登場。
TNGA思想の設計による走りの良さもさることながら、クーペ的なスピード感とSUV的なたくましさを融合させた個性的なデザインも特徴です。
力強く盛り上がったフロント・リアのフェンダーや、鋭い目つきのキーンルック(トヨタ車の共通デザイン)、大胆に寝かせられたCピラー、そしてリアドアハンドルを隠したデザインにすることで、C-HR独自の世界観を作り上げました。
そんなC-HRのデザインにあわせて新規に開発されたボディカラーのひとつが「メタルストリームメタリック」です。
やや暗めなシルバーで、名前の意味を読み解くと「金属」(Metal)と「液体や気体などの一定の流れ」(Stream)が組み合わされたものとわかります。
わたし達が普段目にする金属のほとんどは固体ですが、複雑なうねりをともなったC-HRのボディを見ると、確かにメタルストリームメタリックのボディカラーで金属の流れを感じられるかもしれません。
●スズキ「チアフルピンクメタリック」
軽自動車やコンパクトカーではピンクやオレンジをはじめとした明るい有彩色がとくに似合います。
そんななかスズキはパステル感の強いピンクとして軽スーパーハイトワゴンの「スペーシア」や軽SUVの「ハスラー」に「チアフルピンクメタリック」を設定しています。
チアフル(Cheerful)とは「陽気な」「快活な」「楽しい」などを意味する英単語。
実在するものではなく、この明るいピンクのクルマを見た人がどんな気持ちになるかを表現した色だといえます。
スペーシアやハスラーの少しレトロなスタイリングにピッタリで、確かに見る人を明るく元気づけるボディカラーだといえるでしょう。
●日産「チャイナブルーメタリック」
日産の電気自動車として販売されている「リーフ」にかつて設定されていたボディカラー「チャイナブルーメタリック」(「チャイナブルーメタリック×スーパーブラック」の2トーン)は、パステルな色合いでカッコよさと親しみやすさを両立しているのが特徴。
なにより、国を連想させる単語が使われている点が独特なボディカラーでした。
“china”には英語で「陶磁器」「磁器」という意味があり、青い陶器のようなつるんとした質感が、ボディの陰影を美しく演出。
ブルーキュラソーを用いた同名のロングカクテルも想起させる質感の青でした。
ちなみにチャイナブルーはモノトーン色として、3代目「マーチ」にも設定がありましたが、日産はこのとき第8回オートカラーアウォード(2005年度)でグランプリを獲得。
受賞したチャイナブルーメタリック(ボディカラー)×アイスブルー(インテリアカラー)の組み合わせに対して「旬を感じさせるターコイズブルー。内外装ともにブルーという打ち出しは、メッセージが明確だった」と評価されています。
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みんなのコメント
最近流行りの濃いめのベージュがなかなか良い色。
当時は人気なくてデビューから約3年でカタログから無くなったけど今なら売れそうですね。