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豊田章男会長のほとばしる熱い情熱が「新しいセンチュリー」を生んだ!! モリゾウ流「センチュリー群戦略」に込められた親子2代の物語とは?

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豊田章男会長のほとばしる熱い情熱が「新しいセンチュリー」を生んだ!! モリゾウ流「センチュリー群戦略」に込められた親子2代の物語とは?

 ついにその姿を現した新時代のショーファーカーである「新しいセンチュリー」。実はその背景には豊田章男会長の思いがあったのだった……。ベストカーWebの取材から明らかになったその核心に迫る!

文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、ベストカー編集部、トヨタ

豊田章男会長のほとばしる熱い情熱が「新しいセンチュリー」を生んだ!! モリゾウ流「センチュリー群戦略」に込められた親子2代の物語とは?

■豊田章男会長の父、章一郎氏が鍛えてきたブランド

2023年9月6日に発表された新しいセンチュリー。まさに章男氏入魂のショーファーカーといえる

 2023年9月6日、いよいよ発表となった新型センチュリー。従来までのセダンタイプとは異なるSUVタイプは追加設定として登場することになったのだが、発表会にはここ最近のトヨタの定石どおり、デザイン部門の役員であるサイモン・ハンフリーズ氏が登壇することに。

 実はこのセンチュリーは豊田章男会長が企画したモデル。事情があって発表会を欠席した章男氏の思いをベストカーWebで取材した。

 そもそもセンチュリーというクルマは、初代トヨペットクラウンのチーフエンジニアだった中村健也氏が同じく開発主査を務めたクルマだったということが挙げられる。

センチュリーを自ら乗ることでブランドとして鍛え上げてきたのが章男氏の父である故・豊田章一郎名誉会長だった

 さらに言えば、ショーファーカーとして後席に乗るVIPを対象とした初代、2代目、そして3代目のセダンタイプのセンチュリーをずっと鍛えてきたのが2023年2月に亡くなったトヨタの名誉会長だった豊田章一郎氏だったということが切り離せないのだという。

豊田章一郎氏の「お別れの会」にて出展されていた現行型センチュリー(セダンタイプ)

 そもそも1967年に登場した初代センチュリーは、トヨタ創業者である豊田佐吉氏の生誕100周年を記念したモデル。1997年に2代目にバトンタッチした時も章一郎氏は開発陣に次のような具体的なアドバイスを送っていたという。

「ドアの開閉音もっとしっかりならないか、欧州車のほうがいいぞ」

「ふわふわで乗り心地はいいが、もっとカチッとならないか」

「伊勢湾岸で横風にあおられるとふらつく、なんとかならないか」

 毎日使うからこそ浮かんできたアドバイスに加え、2代目モデルのV12エンジンには自身の専門分野だったエンジン燃焼知識をもとに開発陣に質問をするなど、センチュリーへの開発への力の入れようはかなりのものだったというのだ。

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■「センチュリーを群戦略、SUVにしたらどうか?」

センチュリーを最初は「自分のクルマじゃない」と感じていたという章男氏が出した回答はSUVとしてのセンチュリーだった

 こうした経緯もあり、章男氏からすれば(センチュリーは)「ボクのクルマじゃないな」という認識だったそうだ。

 ところが、新型クラウンがさまざまなバリエーションを持たせてシリーズで『群』戦略として成立させるため、そのデザインを確認する時のこと。その際に章男氏は同席していた中島裕樹副社長に「ショーファーカーの群もないとダメなんじゃないの?」と思いをぶつけたという。

 続けて「センチュリーってSUVにしたらどうなのだろうか?」という言葉が章男氏の口からその後に出てきた。開発陣はその言葉を胸に、実際にセンチュリーをSUVとして作ってみたら、今回公開されたモデルのようにカッコよく、パッケージのいいクルマとして仕上がってきたという。

■ブランドを引っ張っていくのは企業の「トップ」

新しいセンチュリー。このエクステリアデザインを初めて見た章男氏は一瞬でその虜になったという

 ところで、章男氏もGA-Kプラットフォームのパッケージでセンチュリーを作るということに不安は感じていたのだという。だが、できあがった新しいセンチュリーのデザインを見た章男氏本人は一瞬で『ワオー!』となった。

 章男氏が今回の新しいセンチュリーで言いたかったことは、「結局、ブランディングというのはその時々のトップがその会社のために思っているこだわり、お客様に対してのこだわり、これがないとできない」ということだった。すなわち、それはあくまでブランドを引っ張るのはトップであるということだった。

 新しいセンチュリーとセダンタイプとの違いについてだが、ドライバーズカーの要素が6:4の割合で高いということになるという。

 ちなみに3代目センチュリーのセダンタイプは、トヨタグループ社内に最もオーナーが多くいることもあり、今回の「新しいセンチュリー」を開発するに当たっては、そのグループ内のオーナーたちに数えきれないほどのヒアリングを実施したという。その意見に裏打ちされた形がSUVタイプとして結実したのである。

■現在のショーファーカーに必要なものとは何か?

現行型センチュリー(セダンタイプ)。日本では官公庁のクルマというイメージが色濃くなってしまっている

 世界のクルマで真の意味で“ショーファー”というと、もはやロールスロイスかセンチュリーしかないのかもしれない。専用のエクスクルーシブなショーファーはもはや絶滅危惧種であり、そのブランドを後世に残していく、延命させるためには何か新しい形、何かに挑戦することが必要だったのだろう。

 ミニバンではなく、新しいSUVでチャレンジするということはわかりやすく、台数の出るカテゴリーであることが必要だったのだ。

 今、センチュリーのセダンは日本においてはほとんど官公庁のクルマというイメージが色濃くなっている。しかし、章男会長にとってかつてクラウンがそうであったように個人で乗るユーザー向けに、フルオーダーで納車まで1~2年待っても乗ってもらいたいとの願いが込められている。

 アルファードを初代からあえてショーファーカーとして使い、いわばその「走り」だった章男氏がステアリングを握り、ショーファーカーの視線でどう新しいセンチュリーを鍛えていくのか。父である章一郎氏は、自動車メーカーのトップである人間が戦後の黎明期からずっと同じクルマに乗り続け、この「センチュリー」というブランドを鍛えてきた。

 章男氏はセンチュリーの群戦略によって、トップtoトップでこのセンチュリーを守っていく。新しいセンチュリーの発表会に章男氏は不在だったが、会場内にはそんな気概が満ち溢れていた。

■センチュリーがSUVタイプになったことこそ「章男氏のセンチュリー」

グリーンなボディカラーが鮮烈な印象を与える新しいセンチュリーのGRMNモデル。迫力のエアロに似合いながらも品格のある色だ

 ちなみに発表会場にはセンチュリーGRMNが展示されていたが、このボディカラーを覚えているだろうか? ちょっと水色がかったグリーンのボディカラーは新鮮だったのだが、新しいセンチュリーのボディカラーはホワイト、グレー、ブラックの3色に加え、「KIWAMI LINE」として4色(グレー系2色、ブラック、レッド)が設定されているのだが、このGRMNのボディカラーの設定はない。

新しいセンチュリーに設定されているボディカラー。このなかにGRMNモデルのグリーンは設定されていない

 そう、このボディカラーを指定したのは章男氏だったのだ。黒や白ではない品のいいボディカラーとして章男氏はこのグリーンを選んだのだという。

章男氏が乗っているのは現行型センチュリーGRMN。写真のホワイトとブラックの2台が存在しているが、市販はされていない

 また、章男氏が使っているセダンの現行型センチュリーGRMNは黒と白の2台しかないが、どちらも販売はされていない。今回の新しいセンチュリーのGRMNモデルはまさに章男氏にふさわしいセンチュリーといえそうだ。

 新しい時代を切り拓くショーファーとしての「新しいセンチュリー」、そこには豊田章男氏と章一郎氏の親子2代に渡る物語が息づいている。

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