STCCスカンジナビアン・ツーリングカー・チャンピオンシップこと、TCRスカンジナビアの2019年最終戦が10月4~5日に開催され、スウェーデン最古のトラックであるマントープパークでのタイトル決戦に向け、PWRレーシングSEAディーラーチームは4台体制を構築。エース、ロバート・ダールグレン(セアト・クプラTCR)が見事に王座を獲得し、2017年以来となるチャンピオン奪還を果たした。
北欧の伝統的ツーリングカー・シリーズがTCR規定を採用して早3年。今季はデンマークでの1戦を含む、スウェーデン国内を軸とした全7戦で争われたシリーズもいよいよ最終戦を迎えた。この週末は、ここまでタイトル争いを牽引してきた初代TCR規定STCC王者のダールグレンが、アウディのブリンク・モータースポーツ勢3台に対しどれだけ対抗できるかが最大の焦点となった。
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1969年創設の古典的トラックでの最終戦を前に、STCCシリーズはコンペンセイション・ウエイトの見直しを行い、そのアウディRS3 LMSとフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRは-10kg、ホンダ・シビック・タイプR TCRのFK2型は-20kgと、それぞれ軽減措置を受けたものの、王者PWRのセアト・クプラTCR勢は60kgを据え置きとされたことで、都合80kgものハンデを抱える厳しい条件での勝負となった。
この決定を受け、PWRは急遽タイトル争いに向けダールグレンをサポートするべく、2019年はWTCR世界ツーリングカー・カップに挑戦していた共同オーナーのダニエル・ハグロフを投入。4台体制を敷いてマントープパークに乗り込んできた。
週末の"フローズン・コンディション"となった公式練習から、タイトルへの意欲を見せた元王者ダールグレンが2セッションで最速を奪うものの、予選に入るとやはりウエイトハンデの差は歴然となり、Q1最速はFK2シビックのホンダ・レーシング・スウェーデンby MA:GPのマティアス・アンダーソンが奪取。
続くQ2では、ダールグレンが1分19秒346と気を吐きタイムボードの最上位へ名前を載せたが、直後に選手権2位の直接的ライバルであるトビアス・ブリンク(アウディRS3 LMS)が1分19秒233を記録しポールポジションの1ポイントを加算。221点のダールグレンに対し、20点差の201点へとマージンを削り、最前列からレース1へと臨む体制を整えた。
するとスタートでもウエイトハンデの差が如実に効果を現し、3番グリッド発進のアンダーソンがフロントロウのダールグレンを仕留めて、1コーナーまでに2番手に浮上。ブリンクとともにダールグレンを引き離しに掛かっていく。
そのダールグレンの背後にはハグロフが控え、5番手を走るもう1台のブリンク・モータースポーツ、アンドレアス・ウェルナーソン(アウディRS3 LMS)を徹底したディフェンスラインで封じていく。さらにその後方からはPWRの紅一点、開幕戦で優勝も飾っているミカエラ-アーリン・コチュリンスキー(セアト・クプラTCR)がテール・トゥ・ノーズでバトルに加わり、挟まれたウェルナーソンはリスクを犯して前に出ることが難しい状況に追い込まれる。
チームタイトルでは20点差の2位につけるPWRが逆転王座に向けた共同戦線を張る一方、5秒前方で首位バトルを展開したアウディとホンダは、残り数周時点で2番手FK2シビックが再々のパッシングにトライ。マシンを当てられ終盤の最終コーナーでついに陥落したブリンクが首位を明け渡し、わずか0.7秒差でシビックが今季2勝目を奪取した。
レース1でフルマークを逃し17点差でレース2を迎えたブリンクは、予選トップ6リバースグリッドの6番手スタートに。僚友ウェルナーソンがリバースポール発進となり序盤の隊列を率いると、3番手だったハグロフはシビックのアンダーソンにかわされ4番手に後退。さらに勢いを増したアンダーソンは立て続けにクプラを仕留め、コチュリンスキーをかわして2番手に上がってくる。
しかし、この状況がダールグレンをアシストする形となり、4番手ハグロフに道を譲られたエースはそのまま前方へとチャージを開始すると、PWRハグロフは当然のように6番手ブリンクの行く手を塞ぎ、WTCR帰りの共同オーナーが執拗なブロッキングを披露する。
そして7周目。高速右コーナーのターン7でハグロフとサイド・バイ・サイドのままアウト側から強引に追い抜きを掛けたブリンクのアウディは、そのままコースを外れてバリアにクラッシュ。軽いコンタクトを伴ったバトルで、コース上に生き残ったハグロフにはドライブスルー・ペナルティが課されたものの、ブリンクはここで2019年タイトルへの挑戦を終える結末に。
勝者ウェルナーソンに続き、アンダーソン、コチュリンスキーの表彰台。そして4位に続いたダールグレンが、2年ぶりタイトル獲得の美酒に酔うこととなった。
「本当に厳しい勝負だったが、1年を通じて戦い続けてきた結果が報われた。今日もクプラが勝てるマシンだったなら、迷いなく優勝を狙いに行っていたさ」と、80kgものハンデに苦しみながら、タイトル奪還を果たした39歳のダールグレン。
「ハンデの話をするのは本当に退屈だが、このトラックでの効果は絶大だった。ブリンクがクラッシュしている場面を見るより先に、無線でタイトル獲得を知らされた。そのときが今年初めて集中力を失った瞬間で、スロットルを踏むのを忘れてしまった。ラップタイムで3~4秒は遅くなったよ(笑)」
一方、敗れたブリンクも週末のレース双方で結果を残せなかったことに不満を表明しながらも、タイトル奪還を果たしたダールグレンを称え、ブリンク・モータースポーツのチームタイトル獲得を喜んだ。
「R1はシビックが魚雷のようなオーバーテイクをし、R2ではハグロフが"通せんぼ"してきて、本当にフラストレーションが溜まる週末だった。でも大丈夫。フィニッシュ後30分もすれば、ドライバーズランキングで2位に入ったと同時に、僕らのチームがタイトルを獲った喜びが湧いてきた。巨大なPWRに対し"Underdog"の僕らが快挙を成し遂げたと言っていいはずさ」
このSTCC最終戦の週末には2020年カレンダーも発表され、新オーガナイザーMOMの就任とともに全7戦の開催が決定した。新たにデンマーク・コペンハーゲンでの市街地戦も含まれた2020年シーズンは、5月15~16日のクヌットストープで幕を開ける。
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