11月22~24日に富士スピードウェイで開催されるスーパーGT GT300クラス車両によるレース『auto sport web Sprint Cup』。このレースをより堪能できるよう、レースを戦う12チームを全3回に分けてご紹介しよう。
富士で開催されるスーパーGTとDTMドイツ・ツーリングカー選手権による競演、『AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT x DTM 特別交流戦』。このGT500マシンとDTMマシンによる夢のバトルと同時に開催されるのが、GT300クラスを中心としたマシンで争われるスプリントレースだ。
SGT×DTM特別交流戦のGT300レース『auto sport web Sprint Cup』のエントリー発表。12台が参戦
11月11日に発表されたエントリーリストでは、2019年のGT300を戦ったチーム/マシンが7台、ピレリスーパー耐久や鈴鹿10時間を戦ったチーム/マシンが5台の合計12台が名を連ねている。
ここでautosport webスプリントカップにエントリーした12台をおさらいしておけば、23日(土)に行われる予選と、両日開催される50分間のスプリントレースをより楽しめること間違いなしだ。
連載1回目はNILZZ Racing、Hanashima Racing、つちやエンジニアリング、aprの4チームをご紹介。
■【No.9】MP Racing GT-R(JOE SHINDO/井上恵一)/NILZZ Racing
スーパー耐久には2019年シーズンからの出場だったにもかかわらず、古参チームやアジアの強豪チームを相手に、ST-Xクラスランキング3位を獲得したMP Racing。
第5戦もてぎでは終盤までトップを走行しながら、ラスト7分間の接触で涙を飲んだものの、第3戦富士24時間の2位を最上位に、シーズンを通じて極めて堅実なレース運びを見せてきた。
ちなみにMPとは“マジック・プロジェクト”を意味し、「おじさんでも、歳取ってからでもレースを始められるよというのを、オーナー自身が具現化して、そういう仲間がいれば一緒にやりましょうというチームです。そのなかにプロドライバーも入れて、サポートしつつ活動しています」とはチーム監督でもある井上恵一。
参戦理由について、井上は「我々も参戦資格が得られることになり、ヨコハマのGTタイヤも履けるということで、パフォーマンスチェックをしようと思いました。本当はオーナーのJOE SHINDOさんと、レギュラーの柴田(優作)か影山(正美)がパートナーで行く予定でした」という。
「しかし、柴田はアジアン・ル・マン出場が決まり、影山は別の仕事が重なっていたため、それで一緒に僕が出ることになりました」
「他チームの邪魔にならないようにと、1年間スーパー耐久を戦ってきましたが、スーパーGTのみなさんに混ぜてもらって、どこまでパフォーマンスを出せるか、チェックしたいです」
エントラントはNILZZ Racingとなっており、48号車(植毛GO&FUN GT-R)と合わせた2カー体制で挑むこととなる。
■【No.11】Planex スマカメ マクラーレン720S(久保田克昭/小高一斗)/Hanashima Racing
2019年に世界的にリリースされた、カーボンモノコックをもつ最新のGT3カーであるマクラーレン720S GT3。2019年のスーパーGTにも登場した注目のマシンだが、これを8月に行われた鈴鹿10時間向けに投入したのが、世界各国で行われるクラシックカーレースで大活躍する久保田克昭とHanashima Racingだ。
鈴鹿10時間では、パートナーとして元F1ワールドチャンピオンのミカ・ハッキネンとスーパーフォーミュラ王者の石浦宏明を招聘。世界的に注目を集めた。
今回のauto sport webスプリントカップでは、久保田のパートナーとして全日本F3選手権で速さをみせた小高一斗を起用。切れ味鋭い速さをもつ小高とマクラーレンの組み合わせは非常に楽しみなところだ。
■【No.25】HOPPY 86 MC(松井孝允/佐藤公哉)/つちやエンジニアリング
2015年、名門つちやエンジニアリングの復活とともに、チームの愛機として登場したのが日本のものづくりを後世に残すべく、GTアソシエイションが導入したGT300マザーシャシーだった。
土屋武士がドライバーとして、またエンジニアとして携わったマシンは、2016年に松井孝允とともにGT300チャンピオンを獲得。プライベーターの挑戦は多くの感動を呼んだ。
その後もチームが走らせる86マザーシャシーは熟成を重ね、2019年のスーパーGTでも松井と佐藤公哉のコンビで、特に予選では圧倒的な速さをみせてきた。
しかし、2019年第8戦もてぎの後、このauto sport webスプリントカップがHOPPY 86 MCとしての“ラストラン”となることが発表されている。
この86マザーシャシーとともに王座を獲得している松井は、「やるからには、結果を出しにいく」と強い決意を示す。
「観戦しに来る方が見ていて楽しいと思ってもらえるようなレースをしたいですね」
「今年から佐藤(公哉)選手と組んで、僕が若干、苦手としているところを佐藤選手が補ってくれていると感じました。お互いを補えるのが、このチームのいいところだと思っていますよ」
2019年、つちやエンジニアリングに合流した佐藤は「もともとフォーミュラに長く乗っていたので、マザーシャシーはすごく乗りやすい。それでも勉強不足で(パフォーマンスを)引き出せていない面もありました。最終戦でも、まだまだ攻略できていないところもあります」とシーズンをふり返る。
「この冬に1年をふり返って、大きく進化して、来年またチームに貢献できたらいいなと思っています」
「お客さんは、もうひとつ上のクラス(スーパーGT×DTM)に注目しがちだと思いますけど、レースを楽しんでもらえるように、少しでも貢献したいですね」
■【No.30】TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT(永井宏明/織戸学)/apr
2019年からのJAF-GT300レギュレーションに準拠し、新たに市販車同様のFRレイアウトに変更されたTOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT。市販のプリウスPHVにも採用されているイエローをベースカラーリングとする30号車は、ジェントルマンドライバーとしては屈指のスピードをもつ永井宏明と、大ベテランの織戸学が組むマシンだ。
ハイブリッドユニットは搭載していないマシンではあるが、開幕前から長い走り込みを経て2019年シーズンに挑戦した。
ただ、今季はなかなか思うような成績が残せなかったことも事実。シーズン終盤戦に少しずつ調子を上げてきたポテンシャルを、このauto sport webスプリントカップで発揮することがで切れば上位進出も可能だろう。
大ベテランの織戸は「煮詰める時間が足りない」と、新車ならではの苦労が続くシーズンだったと明かす。
「今までは見た目やボディが変わっても基本のレイアウトが変わっていなかったから、流れを維持できていたと思いますが、やはりFRになると、ちょっと……」
「僕たちだけではなくて、31号車(TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT)も苦しんでいるので、2台とも同じようなところで悩んでいました」
「具体的ではないですが、『来季もお願いします』と言われているので、なんとかクルマをもっと速く走れるようにしたいと思っています。aprとしてもここまで苦しんでいるシーズンはないと思いますね」
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