現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ショーワ電子制御サスペンション・イーラ ハイトフレックス体験【停車寸前に車高が下がる】

ここから本文です

ショーワ電子制御サスペンション・イーラ ハイトフレックス体験【停車寸前に車高が下がる】

掲載 9
ショーワ電子制御サスペンション・イーラ ハイトフレックス体験【停車寸前に車高が下がる】

足着き性と走行性能の二律背反が解決!?

’19年秋のミラノショーで発表されたショーワの電子制御サスペンション=自動車高調整技術「イーラ ハイトフレックス」。走行中は車高が上がり、停止すると足着きが良くなるらしい!? ウマイ話にはウラがあるとは言うが、そんな都合のいい話がホントにあるの!?

カワサキ新型ヴェルシス1000SEの電サスはショーワ製イーラ=スカイフック理論採用

停車寸前に車高が下がって、3cmほど足着きがよくなる!?

ショーワの2輪用電子制御サスペンション・イーラ。今回の技術体験試乗会の目玉は、やはり「イーラ ハイトフレックス」。この電子制御サスペンションは、従来からの減衰力制御に加え、その名の通り、”高さ”が”可変”する。

アドベンチャーツアラーのような、大きな最低地上高とロングストロークを必要とする車両向けの技術で、なんと走行時と停車時でサスペンションの全長が切り替わるというのだ。バイクとしての走行性能は長いストロークと最低地上高でしっかり確保しながらも、それらが必要ない停車時だけ車高が下がり、足着き性が格段によくなる。体格的に不利な我々日本人にとっては夢のようなシステムである。

その仕組みは、走行中のピッチングモーションのエネルギーでポンプアップを行い、前後のサスペンションをジャッキアップして足長化。走行中はジャッキが固定されたままとなり、停止時には、ECUが停車タイミングを予測し、停止の約1秒前にジャッキダウンして足着きを良くする。

―― 足着き性と走行性能の二律背反がついに解決!?

―― 【停まると着く!!】ジャッキアップした状態で固定した状態の足着き性を比べると一目瞭然! 体感約3cmの足着き性アップだ。

試走して驚いたのは、その自然な乗り味。試乗車はデモ機ということもあり、前後サスペンションのジャッキアップ具合を視覚化する装置が付けられていたのだが、走り出すと少しずつジャッキアップされ、100m(凹凸があればもっと短い)ほど走るとジャッキアップが完了。つまり、発進後30秒ぐらいはジャッキアップが完了しない状態で走ることになるのだが、変に直進性が強まったり弱まったりするような挙動の変化がなく、自然に走っていられることがすごい。

ならば? と興味本位で、巡行速度から一気に減速してUターン、またスタンディングなどを行ってみたが、Uターン時やスタンディングスティル時にはジャッキダウンするようなアルゴリズムが現状では設定されているようだ。

開発陣に「オフロード走行を行うアドベンチャーモデルというと、深い轍をバタ足で進んだり、難所の前で微速前進するような場面もある。任意でジャッキアップしたままにする機能があるといいかも」なんて話をすると、「そのあたりは車両メーカーのオーダー次第でいかようにも設定可能」で、どこまでジャッキアップするかのフレックス具合の自由度もかなり高いらしい。

こうなってくると、足着き云々というより走行時だけ異様な最低地上高を持つモデルが登場する可能性すら出てくるというワケである。シート高という、オートバイ有史以来抱えてきた絶対的な設計制約から解き放たれる日は、意外と近いのかもしれない。

―― 【走行中は高く】走行中のジャッキアップが完了した状態を擬似的に作り出すとこんな感じ。テスト機とのことで、設定次第でさらにジャッキアップ具合を高めたり、低くすることもできるという。

―― 【停止時は低く】ECUが停止を感知すると、停止の約1秒前にジャッキアップのロックが解除され、油圧が抜けて車高が下がる。シート高にして約3cmほど下がったことになるそうだ。

◆反力を溜め込んで油圧でジャッキアップ

走行を開始すると、路面の凹凸/アクセルオンオフ/ブレーキングなどで起こるピッチングモーションの反力を利用して、油圧でジャッキアップする。前後のサスペンションがそれぞれ設定した目標値までジャッキアップを行い、目標値に達すると油圧ジャッキのバルブがロックされ、その状態が保たれる。停車時はその状態をECUが感知して、ジャッキの油圧を抜いて車高が下がるという仕組みだ。電気で動くのは油圧バルブだけで、非常にシンプル。フロントフォークにすべての構造が収まってしまうくらいだ。

―― ハイトフレックスはモーターなどの動力を使ってジャッキアップするのではなく、あくまでサスペンションの反力を利用してポンプアップするため、コストも安いうえにユニットそのものもコンパクト。

―― 【多機能ながらコンパクト】ストロークセンサーなどがオールインワン構造になっているのもイーラシステムの特徴。つまり、車体側にセンサーなどを取り付けることなくシステムが完結するのだ。

EERA®(イーラ):電子制御式油圧バルブが作り出す魔法のようなサスペンション

イーラ(EERA®)は「Electronically Equipped Ride Adjustment」の略で、ショーワの2輪向け電子制御サスペンションの総称。その最大効用は、電子制御式油圧バルブを備えたことで、走行状態に合わせたリアルタイムでの減衰力変更や、荷物の有無などを設定すれば自動でプリロード調整もできること。これらの機能は、’18年モデルのニンジャZX-10Rへの搭載を皮切りに、’19モデルのヴェルシス1000、ニンジャH2SXなどですでに実用化。最新のCRF1100LアフリカツインアドベンチャースポーツESには、ジャンプしたことを検知し、着地時の衝撃に備えて減衰力を自動で高める“ジャンプ着地制御”も搭載された。加えて’21年からは、いよいよ“スカイフック制御”も実用化し、’21モデルのヴェルシス1000SEにも搭載される。今後は、荷物の重さを姿勢変動から検知して自動でプリロード調整をする“自動積載補正”や、サスストロークに応じて減衰力を調整することであたかもバネレートそのものが変わったかのような制御を行う“仮想バネレート制御”の実用化も目指している。

―― 【イーラの様々な機能】●ハイトフレックス ●スカイフック制御 ●ジャンプ着地制御 ●自動積載補正

※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

※本記事はニュースメディア配信用に一部抜粋・再編集されたものであり、全文詳細はオリジナルサイトに掲載されています。The post ショーワ電子制御サスペンション・イーラ ハイトフレックス体験【停車寸前に車高が下がる】 first appeared on WEBヤングマシン|最新バイク情報.

こんな記事も読まれています

先行ピットインを決めたディクソンが逆転勝利。初参戦プルシェールは11位完走/インディカー第2戦
先行ピットインを決めたディクソンが逆転勝利。初参戦プルシェールは11位完走/インディカー第2戦
AUTOSPORT web
ランボルギーニと「ザ・ホワイトストライプス」が20年の時を経てコラボした理由とは? アナログからデジタルへ時代を超越した芸術作品でした!
ランボルギーニと「ザ・ホワイトストライプス」が20年の時を経てコラボした理由とは? アナログからデジタルへ時代を超越した芸術作品でした!
Auto Messe Web
併走するクルマへの目潰しでしかないのにナゼやる? 斜め後ろに「白色ライト」を点灯して走行するトラックは法令違反だった!!
併走するクルマへの目潰しでしかないのにナゼやる? 斜め後ろに「白色ライト」を点灯して走行するトラックは法令違反だった!!
WEB CARTOP
ジャガーに新しい可能性を見た──新型F-PACE試乗記
ジャガーに新しい可能性を見た──新型F-PACE試乗記
GQ JAPAN
便利な「ドライブレコーダー」 まさかの「バッテリー上がり」招く可能性も!? 「駐車監視」の注意点とは
便利な「ドライブレコーダー」 まさかの「バッテリー上がり」招く可能性も!? 「駐車監視」の注意点とは
くるまのニュース
ホンダがフォーミュラEに参戦する可能性はあるのか? HRC渡辺社長「今は2026年からのF1再参戦が最優先……しかしGEN4は魅力的」
ホンダがフォーミュラEに参戦する可能性はあるのか? HRC渡辺社長「今は2026年からのF1再参戦が最優先……しかしGEN4は魅力的」
motorsport.com 日本版
三菱ふそうがコロナ禍で光岡バディの生産を始めた理由
三菱ふそうがコロナ禍で光岡バディの生産を始めた理由
driver@web
2024スーパーGT第2戦富士のGT300クラス公式予選Q1組分けが発表
2024スーパーGT第2戦富士のGT300クラス公式予選Q1組分けが発表
AUTOSPORT web
V型4気筒エンジン搭載!! ホンダ「VF750F」に注ぎ込まれた先鋭のメカニズムとは?
V型4気筒エンジン搭載!! ホンダ「VF750F」に注ぎ込まれた先鋭のメカニズムとは?
バイクのニュース
フェラーリ内紛再び? サインツJr.、F1中国GPの1周目ルクレールの動きに苦言「僕らのレースに影響を及ぼした」
フェラーリ内紛再び? サインツJr.、F1中国GPの1周目ルクレールの動きに苦言「僕らのレースに影響を及ぼした」
motorsport.com 日本版
タナベのローダウンスプリング「SUSTEC NF210」に『スペーシアカスタム』の適合が追加
タナベのローダウンスプリング「SUSTEC NF210」に『スペーシアカスタム』の適合が追加
レスポンス
マツダ「新型“最上級”ステーションワゴン」!? まさかの「復活」に期待の声も! 次期「MAZDA6“ワゴン”」予想CGが「カッコイイ」と反響集まる
マツダ「新型“最上級”ステーションワゴン」!? まさかの「復活」に期待の声も! 次期「MAZDA6“ワゴン”」予想CGが「カッコイイ」と反響集まる
くるまのニュース
全長4.4mの人気コンパクトSUV 日産・新型「キャシュカイ」欧州で登場 変更されたフロントグリルは「サムライの鎧」をイメージ!?
全長4.4mの人気コンパクトSUV 日産・新型「キャシュカイ」欧州で登場 変更されたフロントグリルは「サムライの鎧」をイメージ!?
VAGUE
【MotoGP】ホンダは苦境でも、ザルコは「悲観的になる必要はない」と前向き。改革の効果出るのはまだ先?
【MotoGP】ホンダは苦境でも、ザルコは「悲観的になる必要はない」と前向き。改革の効果出るのはまだ先?
motorsport.com 日本版
マットモーターサイクル、新モデル『DRK-01』受注開始
マットモーターサイクル、新モデル『DRK-01』受注開始
レスポンス
2024スーパーGT第2戦『FUJI GT 3 Hours RACE』参加条件
2024スーパーGT第2戦『FUJI GT 3 Hours RACE』参加条件
AUTOSPORT web
やってはいけない「マフラー交換」5例。「爆音」「落下」「黒焦げ」など本当にあったダメなカスタムをお教えします
やってはいけない「マフラー交換」5例。「爆音」「落下」「黒焦げ」など本当にあったダメなカスタムをお教えします
Auto Messe Web
WEC第2戦、7号車トヨタが今季初勝利、巧みな戦略でポルシェの追い上げを退ける。8号車トヨタも5位入賞 【イモラ6時間決勝】
WEC第2戦、7号車トヨタが今季初勝利、巧みな戦略でポルシェの追い上げを退ける。8号車トヨタも5位入賞 【イモラ6時間決勝】
Webモーターマガジン

みんなのコメント

9件
  • オフ車だけではなくて 古いオン車にも使えるといいね 俺大型の免許持ってるけど 脚がきりきりで実用性に欠けると諦めたバイクがけっこう有るよ
  • 去年まで乗ってた30年前のスズキ・DR250SHも油圧の車高調が付いてました。ハンドルに付いたダイヤルを回して使う手動式ですが。

    ラインナップも結局それっきりでしたが、30年巡り巡ってようやく時代が追い付いてきた気分。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村