従来以上に重要なアット2 競合ひしめくクラスへ
BYDにとって、アット2は従来以上に重要なモデルだ。既存のドルフィンとアット3の間に収まる電動クロスオーバーで、競争も激しいが、市場規模は小さくない。
【画像】競合ひしめく混戦クラスへ BYDアット2 近似サイズの電動SUVは? アット3も 全185枚
このクラスには、シトロエンe-C3 エアクロスにジープ・アベンジャー、プジョーE-2008など、数え切れないほどのモデルがひしめく。そんな中で、クラス最高のインテリアと実用性、コストパフォーマンスが掲げられている。
当初、欧州市場へ導入されるのは、45.1kWhの駆動用バッテリーを積んだ仕様のみ。駆動用モーターは1基で、最高出力は176ps。航続距離は321kmがうたわれる。追って50kWhを超え、パワフルなロングレンジ版も届けられるという。
基礎骨格は、BYDのe-プラットフォーム3.0。サスペンションは、前がマクファーソンストラット式、後ろがトーションビーム式となる。
スタイリングは、アット3へ雰囲気が近い。ヘッドライトはLEDでスリム。テールライトは中国結びと呼ばれる、編み紐のようなパターンで灯る。アルミホイールは17インチを履く。
整った仕上がりで印象は悪くなく、BYDらしさがあると思う。ドアは、ドスンと閉まる。だが、ライバル以上の魅力を感じるかどうかは、人それぞれだろう。全長4310mm、全幅1830mm、全高1675mmというサイズで、アット3より145mm短い。
トリムグレードは、アクティブとブーストの2段階があるが、英国仕様は後者のみ。8.8インチのメーター用モニターと、縦横に回転する10.1インチのタッチモニターは標準。追加予定のコンフォート・グレードでは、12.8インチへ拡大する。
余裕ある車内空間 マイク付きカラオケ機能も
後ろから車内を見ていこう。荷室容量は400Lあり、多くの競合を上回る。後席の背もたれを倒すと1340Lへ拡大でき、床面部分の高さを調整できる。
後席側は、身長が180cmを超える大人でも快適だが、フロアの位置が高めでリラックスした姿勢は取りにくい。シートは、座面のサポート性が余り優れない。パノラミックガラスルーフが備わり、開放的な雰囲気ではある。
前席の空間はゆったり。ヒーター内蔵のシートは、本皮そっくりな人工皮革張りで、シフトセレクターはクリスタル調。ダッシュボードはシンプルで好ましいが、印象を残すインテリアデザインではないだろう。運転の集中を乱さないとはいえるが。
内装素材は、ソフトタッチ加工された部分が多く、安普請な感じはない。装備は充実し、マイクが付属するカラオケ機能などは面白い。実際に、どの程度の人が利用するのかは別として。
インフォテインメント・システムは音声操作に対応し、ソフトウェアは無線でアップデートできる。画面は高精細で、アップル・カープレイとアンドロイド・オートにも無線で対応する。
システム自体は、アンドロイドがベース。明るい色調のグラフィックは見やすいが、メニュー構造は複雑。アイコンが小さすぎ、運転中は必要な項目を見つけにくい。
一方、エアコンには実際に押せるハードスイッチが用意されている。タッチモニターを3本の指でスワイプすると、温度や風量を変更できるショートカットも備わるが、結局はダイヤルの方が使いやすい。
速度上昇は滑らか リモート感の強いステアリング
それでは公道へ。ドライブモードはスポーツとエコ、ノーマル、スノーの4種類で、アクセルペダルとステアリングホイールのレスポンスが微妙に変化する。いずれのモードでも漸進的といえる。
車重は、電動クロスオーバーとしては軽めの1570kg。176psでも活発に加速し、0-100km/h加速は7.9秒でこなす。トルク感はモーターの回転域を問わず太く、速度上昇は滑らか。発進・停止の多い市街地で扱いやすい。
流れの速い郊外の道では、エキサイティングではないものの、何か不満があるわけでもない。一般的な流れに乗っている限り、スムーズに走れる。
ただし、アクセルペダルを踏んでから、加速が始まるまでに一拍のラグがある。ペダルを強く踏み込むと、トラクション・コントロールがガタガタと介入し、パワーも絞られがち。キビキビと先を急ぎたい場面では、気に触る可能性はあるだろう。
回生ブレーキは2段階に調整できる。強い方を選ぶと、ブレーキペダルへ触れずに速度を充分落とせる。ブレーキは強く効くが、ペダルの感触は曖昧に思えた。
ステアリングはクイックではないものの、反応は市街地を巡るのに丁度いい。だが、スポーツ・モードを選んでも手応えは軽く、情報量が少ない。幹線道路や高速道路の速度域では、リモート感が強くなるようでもあった。
高速域で目立つ風切り音は、大きなドアミラーが原因の様子。タイヤの転がり音などは、良く抑えられている。
落ち着かない乗り心地 必要条件は満たす
乗り心地はソフトだが、市街地でも若干落ち着かない。路面がうねるような区間ではボディが大きく揺れ、安定性にも影響が及ぶ。実際の車重以上に、旋回時のロールや加減速時のピッチも大きい印象。もう少し、姿勢制御には締まりが欲しい。
小回りはかなり利き、最小回転半径は5.2m。1クラス小さいSUVへ匹敵する数字だ。
英国価格は、約2万7000ポンド(約527万円)からが想定されている。先日、試乗レポートをお伝えしたe-C3 エアクロス・マックスは、2万4990ポンド(約487万円)。6年間か14万4000kmの保証が付くとはいえ、価格競争力が高いとはいえないだろう。
混戦のファミリー・クロスオーバー市場へ投入される、アット2。高効率なヒートポンプ式エアコンが標準など、装備は充実している。車内は広く、実用性も低くはない。都心での利用が中心なら、選択肢に加える価値はあるかもしれない。
しかし、操縦性や乗り心地などはクラスの平均に届かず、全体的な運転体験が魅力的なものとはいいにくい。321kmの航続距離や、65kWの充電能力も、周囲を凌駕するものとはいえない。競合モデルを検討する人を、振り向かせるのは簡単ではないだろう。
◯:市街地での扱いやすさ 充実した装備 快適な車内
△:全体的な洗練性が今ひとつ 長くはない航続距離 高速域での風切り音
BYDアット2 ブースト(欧州仕様)のスペック
英国価格:2万7000ポンド(約527万円/予想)
全長:4310mm
全幅:1830mm
全高:1675mm
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:7.9秒
航続距離:312km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1530kg
パワートレイン:非同期モーター
駆動用バッテリー:45.1kWh
急速充電能力:65kW
最高出力:176ps
最大トルク:34.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
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