巨大アメリカンバイク風の2輪EVが、ジャパンモビリティショー2023の片隅で異彩を放っている。巨大バイクの脇にはなぜかキャンプのテント。この殺風景とも言える展示はいったい何なのか? それは自家製インホイールモーターまで作ってしまう、一人の男の夢とロマンの結実だった。
◆エコだけじゃ、もったいない
「これは何ですか?」思わずそう訪ねると、男性が「バイク、ですね。たぶん」。車輪2つのその形はまさしくバイクなのだが、その長すぎる超ロングホイールベースと前後のまるで小さなダンプ用じゃないかというくらいの極太タイヤが異様すぎる。
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展示しているのは株式会社Aquila(アクイラ)。EVバイクの形式名は「AQ020」。最初のゼロが製品番号。1台目だから0。2つめの2は2輪を意味し、最後の0はモデルチェンジの回数を表す。同社にとってできたてホヤホヤで、数日前にようやく組み上がった最初の製品なのだ。
金髪の男性=創業社長の鷲尾景樹氏は、2013年に「これからは絶対にEVの時代が来る」と直感して、整備士として務めていた会社を退職し、大学に戻った。大学院で修士をとる傍ら起業をしたのがAquila社だ。
EVの時代が来るとはいえ、なぜ、こんな巨大アメリカンバイクなのか?
鷲尾:EVで遊ぶっていうジャンルが今までなかったんで。EVって、みんな「エコ」に振るじゃないですか。いやいや、そんなことないよ。 同じモノを動かすんだったら、ガソリンでも電気でも同じようにエネルギーを使って動かしているので、電気だからといって、そんなにエコだと正直思ってないんです。自動車やバイクなのだから楽しければいい。せっかくだから、エコだけじゃもったいない。楽しく遊びたいな、と思って作りました。
2016年に創業だとすると、もう7年。6月創業なので8期に入った。それで、ようやく1台目とはどういうことか?
鷲尾:主な理由は資金ですね。お金を出してくれるエンジェル投資家がいるわけではない。クラウドファンディングを利用できないかと、運営会社に相談したのですが、あれは基本的には通販のための仕組みで、未完成のモノや開発中のモノのためにお金を集めることはできないそうです。「このバイクのTシャツを作って売ることはできる」とは言われました。
Aquila社のWebページを見ると、クルマのチューニングなども請け負っているようだ。現業でお金を稼ぎながら、コツコツと自分のビジョンを実現していった。とはいえ、2022年の東京オートサロンには間借りする形で試作車を出展しており、今回のAQ020はその経験を踏まえて制作した。
◆制作期間はわずか3週間!
4輪と違って金型を必要とせず、鋼管パイプフレームなので、工場に発注すれば設計通りのものが届く。タイヤは前輪がヤマハ『V-MAX』、後輪がハーレーのもので、ヘッドライトなど既製品の流用なので、作り始めて3週間で完成したそうだ。
鷲尾:ゼロ(0)からイチ(1)は大変だけど、1から10はめっちゃ楽になります。
バッテリーは当初リチウム電池を採用していたが、今回のジャパンモビリティショーの体験試乗会に参加できるはずが、リチウム電池由来の火災リスクを理由に参加できなくなった。そこで急遽、リン酸鉄リチウム電池に変更した。
モーターは望む仕様に合うモノがなく、仕方なく後輪に直付けする形で実装。近くで見るとまだ無骨すぎる感はあるが、これは立派なインホールモーターだと言えそうだ。
今後はこの試作品をもとに普通二輪もしくは原動機付自転車の枠内に収まる範囲にサイズを手直しして、量産に耐えるモデルを作っていきたい。それを来年の中頃まで実現したいとのことだった。また、鋼管パイプフレームもカーボンフレームに代替したいと。理由は軽いこともあるが「やっぱりカーボンの方が格好いいじゃないですか(笑)」。
何年もかけて苦労しながら自分のオリジナルEVを作り続ける鷲尾氏のこだわりの動機はどこにあるのだろうか? それは、ある有名マンガ作品に登場するバイクにインスパイアされたからだそうだ。作品名は明かせないが、極太タイヤやチョッパースタイルは、そこに源流がある。アメリカンバイク好きが理由ではなかったのだ。
ちなみに展示の横にあるキャンプのテントは何かと聞くと、EVなのでキャンプ地で電力源としても使えるとアピールしたかったそうだ。
Aquila社の巨大バイクEVは、東7・8ホールで展示中だ。
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