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印パ空中戦125機激突の衝撃――なぜ「世界4位」インドの最新鋭ラファールは中国製J-10CEに撃墜されたのか?

掲載 更新 102
印パ空中戦125機激突の衝撃――なぜ「世界4位」インドの最新鋭ラファールは中国製J-10CEに撃墜されたのか?

撃墜5機の衝撃とJ-10CEの躍進

 緊張が続いているインドとパキスタンの国交を挟んで、2025年5月7日に大規模な空中戦闘が展開され、その結果が世界的な話題になっている。パキスタン当局が発表している情報では、双方が繰り出した戦闘機は合計で約125機にのぼり、戦闘は1時間以上続いたという。近年では稀な、戦闘機同士の大規模な戦闘である。

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 特に話題になっているのは、パキスタン空軍が使用する中国製のJ-10CE戦闘機が、インドが満を持して投入したフランス製のラファール戦闘機を撃墜したことだ。伝えられるところでは、パキスタンのJ-10CEが撃墜したのは、ラファール3機、ロシア製のSu-30MKI(製造はインド)とMiG-29各1機の合計5機で、ほかにイスラエル製の中型ドローン、ヘロン1機も報告されている。

 情報の真偽については不明な部分も多いが、残骸の写真など複数の証拠から概ね正確だと認識されており、少なくともラファールが撃墜されたことは事実だと考えられる。中国では、パキスタンによる戦果を誇るマーキングを、自国のJ-10C戦闘機に施した映像も報じられた。

 また、撃墜に使われたとされる中国製の長射程空対空ミサイルPL-15Eも、西側空軍が保有するミサイルを超える射程を持ち、重大な脅威として注目されてきた兵器だ。今回、初めて実戦に投入され、戦果を上げたことで、その実力に注目が集まっている。

勝敗を分けた情報連携能力

 今回の戦闘では、両軍の戦闘機は自国の領空に留まったまま、数10kmから100kmほどの遠距離で目視外(BVR)戦闘を展開した。J-10CE戦闘機から発射されたPL-15Eミサイルは、インド戦闘機に命中するまでの間に、早期警戒管制機(AWACS)が誘導を引き継ぎいだ可能性もある。PL-15Eミサイルの最大射程距離は約150kmともいわれるが、パキスタン空軍は、その性能を遺憾なく発揮させることができたようだ。

 このように、探知・射撃・誘導・撃破の流れを、各種のシステムが連携して実現する仕組みを「キル・チェーン」と呼ぶが、中国製兵器を揃えたパキスタン空軍のシステムは、優勢なインド空軍に対しても十分有効だったことになる。兵器単体の性能よりも、優れたキル・チェーンの運用が戦闘の勝敗を決したのである。

 それでは、インド空軍の側はどうだったのか。経済成長著しいインドの空軍は、保有する航空機の機数では

・米国
・ロシア
・中国

に次ぐ世界4位とされており、ロシア製やフランス製の優れた戦闘機を配備している。ラファール戦闘機に搭載可能なイギリス製ミサイルのミーティアは100km以上の射程を持っているし、イスラエル製の警戒管制システムを搭載したロシア製の早期警戒管制機A-50も装備している。

 そして、これらの作戦航空機は、データリンクによって戦闘情報が統合され、現代的なキル・チェーンを構成するはずであった。これらの優秀な兵器は、なぜパキスタン空軍に対して無力だったのだろうか。パキスタン軍が5月9日に開いた合同記者会見で、その説明がなされている。

Link-16に突きつけられた限界

 記者会見で説明に立ったパキスタン空軍副参謀総長アウラングゼーブ少将は、撃墜したインド空軍機の機種や位置について説明した後、傍受したラファール編隊の通信音声を公開した。

 この編隊は「Godzilla 3」と「Godzilla 4」のコールサインで飛行していたが、Godzilla 4は編隊長であるGodzilla 3の位置や状況が把握できなくなっており、Godzilla 3も呼びかけに応答していない。そして、そのままGodzilla 3はパキスタン軍のミサイルにより、空中で爆発しているのである。これでは戦闘どころではない。

 戦闘機の編隊僚機は、今回のように編隊長を目視できない場合は、自機のレーダーで編隊長機を捕捉するか、データリンクによって得た情報を使用する。しかし、この編隊はパキスタン軍による電子妨害(ECM)によって、完全に連携を絶たれていた。パキスタンの電子妨害が飛行中の電子戦機によるものなのか、それとも地上施設によるものなのか明らかではないが、インド空軍のキル・チェーンは、パキスタン側の電子戦によって無効化されたのだ。

 ここで考える必要があるのは、日本を含む西側諸国が依存しようとしているLink-16データリンクの脆弱性だろう。Link-16データリンクは1980年代に提唱されたもので、NATO諸国の戦術データリンクとして採用されたものだ。それまでのLink-4を基盤にしたシステムとは異なり、時分割多元接続を使ったLink-16は、妨害が困難で堅牢なシステムだとされていた。しかし、既存システムとの入れ替えには巨額のコストが必要で、各国での整備には非常に長い時間がかかり、日本でも近年やっと整備が進んだところである。

 その間、各国の安全保障環境は大きく変化した。中国の電子戦技術は飛躍的な発展を遂げており、日本に導入が進められていた10年前には、既にLink-16も妨害が可能になっているという話は聞かれるようになっていた。今回のパキスタン航空戦は、その懸念を一層強める結果をもたらしたのである。

ステルス優位崩す通信無力化

 周知のとおり、米国空軍の戦力整備は「ネットワーク中心の戦い」をうたっており、ステルス機をはじめとする高性能航空兵器をデータリンクで結ぶことで、強力なキル・チェーンを構築することが基軸コンセプトになっている。

 これを機能させるLink-16が無効化されれば、高価な戦闘機も任務を果たすことはできず、場合によっては多大の犠牲を強いられる。

 西側各国は、精力的に今回の戦闘を分析しているはずだが、懸念を完全に払拭できるとは考えにくく、その対応には再び長い時間がかかることだろう。

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みんなのコメント

102件
  • tak********
    双方合わせて120機以上の戦闘機が出て
    パキスタン側は被害0だったのかな?
    だとしたらかなり問題だ
  • heychan
    >インドとパキスタンの国交を挟んで…

    ↑国交やなくて“国境”とちゃうの?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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