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1位はアルピーヌ A110!──2018年の「我が5台」 Vol.11 中谷 明彦 編

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1位はアルピーヌ A110!──2018年の「我が5台」 Vol.11 中谷 明彦 編

今年は輸入車の“当たり年”だったと思う。ただしほとんどが、ニューモデルではなくフルモデルチェンジだった。そんななか、アルピーヌA110は珍しくニューモデルとして日本に上陸した1台だ。

ただし、初代A110を現代の技術で復活させた“復刻モデル”としての位置付けも考えると、完全なブランニューモデルではないかもしれないが、それはデザイン面とコンセプト面に限った話だ。技術面などは、最新のテクノロジーを惜しみなく投入している。結果、驚くほど秀逸なレベルに仕上がった1台であった。

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初代A110はエンジンをリアに縦置きしトランスミッションはエンジンより前方に搭載するRR(リアエンジン・リアドライブ)レイアウトだったが、新型は本格的なミドシップレイアウトによって爽快な走りを実現する。しかも、アルミニウムを多用した車体の重量は、わずか1110kgしかない。今や希少になりつつあるライトウェイトスポーツカーとして、世界中のファンを喜ばせたのも特筆すべき点だ。

クラス的にはトヨタ86と同等で、マツダ ロードスターよりワンクラス上ぐらいだ。しかし、その走りはポルシェ ケイマンやアルファロメオ 4Cにも迫り、コントロール性やハンドリングはむしろ凌駕する出来に驚いた。

メルセデス・ベンツの新型Gクラスは、従来モデルの進化版であるものの、その進化具合は相当だった。走りも快適性もここまでよくなるか!? と、驚いた。

ラダーフレーム構造や前後リジッドアクスルなど、本格オフローダーに不可欠なメカニズムはこれまで通り採用するが、それらの設計はゼロから見直しており、新しく造り直している。

結果、バネ下を重くするはずのリジッドアクスルにもかかわらず、乗り心地は驚くほどよい。従来モデルは、舗装路でも轍やうねりでバネ下が動き不快感を伴っていたが、新型は上級セダンモデルの「Sクラス」と遜色ない快適性を備えている。また、乗り心地もさることながら、静粛性も格段に向上した。

これほど完成度の高いラダーフレーム採用モデルも珍しい。ちなみに、AMGモデル(G63)はさらに素晴らしく、速さと快適性、そして操縦安定性をより高次元で両立する。それでいて悪路走破性も本格的だから、頼もしさはこの上ない。もし、Gクラスの最良モデルを問われれば、迷わずAMG G63をオススメする。

ボルボ XC40は、走りの良さにまず感動した。昨年、日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得した兄貴分のXC60を凌駕するハンドリングが魅力である。

XC60はリーフスプリングを横置きする風変わりなサスペンションレイアウトを採用していたが、XC40はコンベンショナルなコイルスプリング(専用設計)を採用した。このサスペンションの完成度がすこぶる高いのだ。剛性が高く、フリクションも少ないため、結果、路面追従性が大きく向上した。だから、走りが愉しい。

しかも、前後オーバーハングの小さな車体だから、慣性モーメントが小さく思い通りにヨーコントロール出来るのも嬉しい。また、ライントレース性も正確で、スポーツカーのように狙ったラインをトレース出来るから凄い。

これほどの走りが実現出来た理由はいくつかあるはずだ。新開発のシャシーはもちろん、ボルボのテストドライバーが優秀なことも影響しているはずだ。XC 40の走りを知り、今後のボルボの走りはもう大丈夫! と、確信した。

BMW X2もボルボ XC40とおなじく、コンパクトSUVとは思えぬ質の高い走りが魅力だった。実を言えば、ここ最近のBMWの走りにあまり感心していなかった。SUVに限らずセダンモデルも往年のBMWらしいテイストが感じられなくなっていたからだ。「このままでBMWは大丈夫か?」と、不安になるほどだった。

しかしX2に乗って、考えが大きく変わった。コンパクトSUVでありながら、現在のBMWラインナップ中、ベストと思えるハンドリングの良さが確認出来たからだ。

しかも、背の低いクーペルックのデザインはカッコいいし、ラゲッジルームの使い勝手を筆頭に実用性も高い。ボルボ XC40とともに世界中のコンパクトSUVマーケットを活性化する1台だ。

ジープ新型ラングラーは、今年のベスト・カーに入れたかったものの、ジャンルが特殊なため、こちらで紹介したい。趣味性の強い1台だから、多くの人はおいそれとは購入しづらいはずだ。

とはいえ、フルモデルチェンジした新型ラングラーの完成度は本当に素晴らしい。悪路走破性は驚くほど高く、ノーマルモデルのままでも人が歩けないような険しい場所を、難なく走破する。しかも、アップデートされた電子制御システムによって、さらに安心してあらゆる悪路に入れるのが嬉しいし、かつ頼もしい。

自然災害の多い日本は、たとえ東京都心部に住んでいても、いつどこで道路が冠水するかわからない。そんなとき、ラングラーが身近にあれば安心感は絶大だ。とりまわしは少々大変かもしれないが、この安心感は何ものにも代え難い。

ただし、悪路走破性が高いからといって、素人が災害地帯を走りまわるのは無謀だし、いきなり険しい道にチャレンジするのはお勧めしない。スポーツカーをサーキットで楽しみ、ドライビングテクニックをスキルアップするように、まずは悪路特設コースで経験を積む必要がある。そのうえでラングラーを使い倒せば、楽しい4WDライフが送れるはずだ。

 

【著者プロフィール】
中谷 明彦(なかや あきひこ):1957年生まれ。大学在学中にチーム・スバルよりFJ1600に参戦。以後、1988年全日本F3チャンピオン獲得、全日本F3000優勝(1991年第2戦)など、あらゆる全日本選手権レースにおいて優勝を記録。海外レースは、1989年にル・マン初参戦を皮切りにマカオGPなどに参戦。またレース活動と並行し、ジャーナリスト活動も開始。現在も多数の媒体で活躍する。

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