ファントム100年の歴史を振り返る
ロールス・ロイス「ファントム」は2025年に100周年を迎えます。同社のデザイナーたちは、これを記念して8点のアートワークを生み出しました。その着想の原点となったアイコニックなファントムについて、3回に分けて紹介します。
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デザイナーが8点の芸術作品を製作
ファントムは、ロールス・ロイスの歴史で特別な位置を占めている。過去100年間、ファントムは快適な乗り心地、卓越したエンジニアリング、上質な素材、そして精巧で高度な職人技の最高水準を体現してきた。2世紀目に入った今も、ファントムは世界を形成する人々から愛され、真の愛好家たちにとって権威ある存在であり続けている。
同社のデザイナーたちは、ファントムが果たしてきた役割を反映し、いくつかの魅力的な物語を振り返ることで、その遺産に敬意を表した。そして、この自動車が与えてきた文化的影響力を称えつつ、8世代の精神を捉えたオリジナルアートワークを制作した。
これらの現代的なイラストは、文化におけるファントムの役割の進化に敬意を表するとともに、1世紀にわたり、ファントムが政治、社会、世界史の重要な場面で存在感を放ってきたという深い真実を映し出している。国家元首から舞台や映画スターに至るまで、ファントムはその存在によって、私たちの生きる世界を形成してきた人々に奉仕してきた。
権威の象徴としてのファントム
第二次世界大戦の偉大な指揮官のひとり、バーナード・ロー・モンゴメリー元帥は、その質素な生活から「スパルタの将軍」の異名を持っていた。彼が快適さを追求した唯一の対象は、自身の乗り物だった。2台のファントムを使用することで、永続性、堅実性、信頼性を体現し、もっとも困難な時期も軍隊と共にあるというメッセージを明確に伝えた。
モンゴメリーの日常的な移動手段は、1936年製のファントムIIIで、ボディはフリーストーン&ウェッブ製。タルボットモーター社の社長、フレデリック・ウィルコックから徴用された車両だった。1944年6月のD-デイに向け、彼はこの車両でウィンストン・チャーチル、アイゼンハワー将軍、さらにはジョージ6世を、ハンプシャーのサウスウィック・ハウスにある連合国軍最高司令部での作戦会議に送迎した。
戦時中、モンゴメリーは帝国参謀総長に割り当てられていた「バトラー ファントムIII」も時折使用していた。この車両は、もともとデ・ハビランド・エアクラフト社の会長、アラン・サミュエル・バトラーのために製作されたことからその名が付いた。
HJマリナーによるボディワークの最大の特徴は、フロントガラスが前方に傾斜しており、ファントムの空力性能を15%向上させたことだった。空力性能は、後部のスイープテールとカバーで覆われたスペアタイヤによってさらに強化されていた。モンゴメリーはその後、1958年にこの「バトラー」を購入し、1963年まで所有。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの首相など、多くの著名人を乗せた。
王室の標準車としてのファントム
モンゴメリーのファントムが現代の世界を形作るさまざまなイベントに登場した一方で、ほかのファントムは王室でも誇らしい存在だった。
1948年、エリザベス王女と結婚したばかりのエディンバラ公がロールス・ロイスを訪問。彼は、同社のテストドライバーから「スカルド・キャット(やけどした猫)」の愛称で呼ばれていた、新設計の直列8気筒・5.3Lエンジンを搭載した実験車両を貸与された。その直後、公爵はエリザベス王女と自身のためによりフォーマルなボディの車両の製作を依頼した。
この要望は受け入れられ、最初のロールス・ロイス・ファントムIVのシャーシが製作された。ロールス・ロイスの助言も取り入れ、公爵の意向に沿って完成。11月15日に注文が確定し、このモデルは製作中の秘密を守るため「マハラジャ・オブ・ナバ」のコードネームで呼ばれた。この歴史的な車両は、今日でも「マハラジャ」という名でロイヤル・ミューズにて現役で活躍している。
その後、英国王室は君主を乗せるために、さらに1台のファントムIV、2台のファントムV、2台のファントムVIを発注。そのうちの1台が、1977年にエリザベス2世女王の即位25周年を記念し、英国の自動車業界から女王陛下に贈呈された有名な「シルバー・ジュビリー・ファントムVI」だ。隆起したルーフが特徴のこの車は、2011年、当時のケンブリッジ公爵と公爵夫人の結婚式で、ゴリング・ホテルからウェストミンスター寺院まで花嫁を乗せて走った。
2つの王室をつないだファントムV
大陸を越えて、もう1台の由緒あるファントムVが中東の新しい国家誕生の瞬間に送り込まれた。1966年にマリナー・パークウォードのボディで納車されたこの車両は、アラブ首長国連邦の「建国の父」と称されるシェイク・ザイード・ビン・スルタン・アル・ナヒヤーンによって発注されたモデルである。この車両は、アブダビの統治者としての就任式にも使用され、ドバイやそのほかの首長国との統一交渉において重要な役割を果たした。1971年12月2日のUAE建国式典では、初代英国大使であるジェームズ・トレッドウェル氏を乗せて走った。
さらにその8年後、1979年にエリザベス2世女王がUAEを訪問された際も、この同じファントムVが女王陛下の公式車両として使用され、2つの王室の伝統が交差する瞬間となった。
各国の公用車として活躍
ファントムは、儀式用の車両としてだけでなく、外交の舞台でも長年にわたり控えめながら重要な役割を担ってきた。1965年には、英国政府機関によるロールス・ロイス車の使用が議会で正式に議論され、世界舞台におけるその象徴的な重みを裏付けた。その後、ファントムVはニューヨーク、ワシントン、東京、ニューデリーなど遠方の地で、英国外交官の信頼される使節として活躍した。
そして長年にわたり、ファントムはオーストラリア、クウェート、スペイン、タイ、アラブ首長国連邦など、数多くの国々で公用車としても使用されてきた。
世界の舞台を駆け巡る一方で、より身近な場所でも奉仕してきたファントムは、常に威厳ある存在であり続けている。その象徴ともいえるのが、1959年に発売された全長5.8mのファントムVだ。公式記録は残っていないが、英国のパーキングメーターの法定最小間隔が、この車両の寸法に合わせて改定されたという逸話が残されている。
AMWノミカタ
2025年はロールス・ロイス・ファントムが誕生してちょうど100年にあたる節目の年となる。この100年間、ファントムが名だたる著名人に愛され、また重要な役割を果たしてきたかが、今回の物語で改めて理解できる。とくに王室との関わりが深く、ファントムIVは王室だけのためにわずか18台だけが生産された特別なモデルだという。
また王室に納められたファントムVは、通常のスピリット・オブ・エクスタシーではなく聖ジョージの竜退治像(St. George slaying the dragon)がつけられていた。このマスコットは、主に女王が乗車する際に取り付けられ、スコットランド訪問時には、代わりに銀製のライオン像が装着されるなど、地域や行事に応じてマスコットが変更されることもあったという。
王室からの特別な要望に応えられるビスポークの技術と経験を持っていたこともロールス・ロイスが国家を代表する車両として選ばれた理由のひとつでもあるだろう。
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