2024年の2月29日、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表が女性従業員に対して不適切な行為を行なっていたとする証拠が匿名のメールで出回ってから1年が経過した。この12ヵ月で、ホーナー代表とチームをめぐって、どのような変化があっただろうか?
このメールは2024年シーズン初戦を控えた現地時間29日18時22分に、F1チーム首脳陣やジャーナリスト、F1オーナーを含む関係者100人以上に「クリスチャン・ホーナーの調査証拠」という件名で送信されていた。メールにはGoogleドライブへのリンクと、「レッドブルの最近の調査や声明に続いて、添付された資料をご覧になると、興味を持つはずだろう」というメッセージが添えられていた。
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ドライブの中身は、WhatsAppの不連続なトーク履歴の画像や、送信された写真だった。
ホーナー代表は、チーム内部の調査によって潔白が証明されており、本人も常に不適切行為を否定。ただ、厳しい目が向けられた。対立する人物からは透明性を求められ、マックス・フェルスタッペンの父ヨス・フェルスタッペンからは、ホーナー代表の存在がレッドブルを崩壊に導いているとの主張もあった。
ホーナー代表はメールやその内容についてコメントを拒否していたが、その告発はメディアを騒然とさせた。その後、数週間にわたって様々な憶測が飛び交い、法廷闘争が繰り広げられ、レッドブルが崩壊しつつあると囁かれた。
さて、あの怪メールが公開されてから1年が経った今、ホーナー代表やレッドブルはどのような状況に置かれているのだろうか?
■裁判
2024年8月8日、ホーナー代表によるハラスメントをめぐる疑惑の渦中にあった女性の控訴が棄却された。最初の申し立てが棄却された後、この女性は上訴の権利を行使していた。
レースチームの親会社にあたるオーストリアのレッドブルGmbHは声明で次のように説明した。
「苦情を訴えた側は異議を申し立てる権利を行使し、それらは別の独立した弁護士のもとで行なわれた。不服申立てのプロセスの全ての段階が終了し、それは認められないという最終的な結果が出された」
「この結論はレッドブルに受け入れられ、採択された。社内プロセスは完了している」
■ホーナー代表の立ち位置
ホーナー代表はレッドブルGmbHの株式51%を保有するタイ人オーナー、チャルーム・ユーウィッタヤーとの関係から恩恵を受けた。疑惑の後、昨年のバーレーンGPではホーナー代表の側にユーウィッタヤーがおり、ふたりの関係はより強固なモノに。ホーナー代表としては強力な後ろ盾を得た。
イギリス・ロンドンで開催された2025年のF1合同ローンチイベント“F1 75”に先立ち、ホーナー代表はリラックスしたムードで報道陣の取材に応じ、1年前の騒動について言及。「年末には必ず両方のトロフィーをキャビネットに戻したいというモチベーションがチーム内にはある」と語った。
そして周囲からの批判について尋ねられたホーナー代表はこう答えた。
「何も証明すべきことはないと思う。我々はサーキットへ出ていって争い、レースを楽しむんだ」
ホーナー代表はやる気に満ち溢れており、2024年に失ったコンストラクターズタイトルを奪い返そうと活力を得ているように見える。どちらかと言えば、立場は強化されている。
重役の離脱
2024年5月1日、レッドブルでチーフテクニカルオフィサーを務めてきた伝説的レーシングカーデザイナーであるエイドリアン・ニューウェイは、F1マシン開発から離れ、2025年には同チームを去ることを発表。後にアストンマーティンへの移籍も発表された。
ニューウェイの離脱は当然ながら衝撃的な展開であり、レッドブルが成功を収めたマネジメント体制の崩壊を意味していた。最高のF1デザイナーを失ったチームはどう対処していくのだろうか?
8月1日には、レッドブルのスポーティングディレクターであるジョナサン・ウィートリーが離脱を発表。ウィートリーもニューウェイと同じく2006年からチームに在籍し、大黒柱として支えてきた。
ふたりの退団がどれだけの影響をもたらすのか、それは2025年シーズン中に明らかになるだろう。チームの外からの見方では、間違いなく損失だ。しかし内部では枯れ木を一掃したようなモノだとも言える。
■ホーナー代表とフェルスタッペン父との関係
1年前、ふたりの関係は一触即発。和解は不可能だと考えられていた。今では信じられないかもしれないが、ふたりは話をするだけでなく、夕食を共にする仲だ。
ヨス・フェルスタッペンが、息子マックス・フェルスタッペンがチームを離れるしかない状況に追い込まれていると大げさに主張し、オーストリアGPのレジェンドパレードラップでレッドブルのF1マシンを運転する予定だったヨス・フェルスタッペンをホーナー代表が問題視することも……驚くべきことだが、ふたりの関係は良好だ。
■ホーナー代表とヘルムート・マルコの関係
ホーナー代表と、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコの関係は、ヨス・フェルスタッペン同様に緊張がほどけた。
ホーナー代表の不適切行為を発端に、チーム内では権力抗争が勃発し、マルコがチームを去るのではないかとも噂された。また、昨年姉妹チームのRBで起用していたダニエル・リカルドをめぐっては、マルコがシーズン序盤で解雇したがっていたものの、愛着のあるホーナー代表が食い止めるということがあった。
ホーナー代表としては、レッドブルでかつてのコンビであるマックス・フェルスタッペン×リカルドを復活させたかったようだが、結果的にリアム・ローソンを2025年から起用することでマルコと折り合いがついたようだ。
■マックス・フェルスタッペンのムード
2024年は父親とチーム代表の諍いに巻き込まれたマックス・フェルスタッペン。その緊張関係や、ライバルであるマクラーレンのランド・ノリスからのプレッシャーをものともせずドライバーズタイトル4連覇を達成した。
新シーズンに向けて、予想屋はノリスに賭けようとしているが、プレシーズンテスト中のマックス・フェルスタッペンの雰囲気は、どこか清々しかった。さほどラップタイムは伸びなかったものの、表情自体は明るかったのだ。
レッドブルは三味線を弾いていたのだろうか? おそらくそうだろう。しかしマックス・フェルスタッペンからは違う雰囲気が感じられた。F1合同ローンチイベント“F1 75”会場からのブーイングを一身に受け止め、メルセデスのジョージ・ラッセルからのドライビングスタイル批判にも噛みつかなかった。自信に満ちているのだ。
結局のところ、過去1年間の激動にもかかわらず、レッドブル陣営は新シーズンに向けて堅実なようだ。
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