この記事をまとめると
■猪爪杏奈選手がテスラ・モデル3で全日本ジムカーナ選手権に参戦中
サニーにスターレットにレビンが爆走! 全日本ジムカーナ”箱D”に旧車ファン悶絶必至
■父・俊之選手との親子コンビでレースを飛び出した新たな挑戦となる
■課題と手応えを得ながら成長への一歩を刻んだ
サーキットの女王が次に選んだ舞台はジムカーナ
全日本ジムカーナ選手権・第4戦「MAZDA SPIRIT RACING CUP IN TAMADA」が5月16~17日、広島県のスポーツランドTAMADAを舞台に開催。真夏のような空の下、各クラスで激しいタイム争いが展開されていたのだが、そのなかでもっとも注目を集めていたのが、PE2クラスにテスラ・モデル3パフォーマンスで参戦した猪爪杏奈選手だといえるだろう。
猪爪選手は、2015年にJEVRA(日本電気自動車レース協会)が主催する電気自動車レースで競技をはじめ、2016年にはマツダの女性ドライバー育成プログラム「Mazda Women in Motorsport Project」に参加し、ロードスター・パーティレースで公式戦にデビュー。その後は2023年にTCRジャパンで世界初の女性チャンピオンに輝いたほか、同年からはミドルフォーミュラのフォーミュラ・リージョナルに参戦するなどレーシングドライバーとして活躍してきた。
とくに2018年から参戦しているスーパー耐久では、2025年にHitotsuyama RacingのアウディR8 LMSで最高峰クラスのST-Xクラスに参戦したほか、2026年もバースレーシングプロジェクトのマスタングでST-USAクラスに参戦するなど最前線で活躍しているが、そんな生粋のレーシングドライバーである猪爪選手が第2戦の新潟ラウンドで全日本ジムカーナ選手権にデビュー。しかも、1990年にC3クラスでチャンピオンを獲得した父の猪爪俊之選手とのダブルエントリー。親娘コンビでジムカーナにチャレンジしている。
「フォーミュラ・リージョナルでレースをしましたし、2025年のスーパー耐久では目標だったGT3車両でレースをすることもできましたからね。ちょうど今年はレースを始めて10年目になるんですけど、ひと区切りついたのでドライバーとして引き出しを増やしていきたいと思っていました。同時にジムカーナはいろんな人から運転が上手くなると聞いていましたし、いろんなイベントにゲストや講師、インストラクターとして参加しているんですけど、パイロンコースがうまく走れない……ということもあったので、視野を広げて父とジムカーナを始めることにしました」と杏奈選手はジムカーナを始めた動機を語る。
いっぽう、父の俊之選手によれば、「普通はジムカーナで基礎を学んでからサーキットでレース活動をするような流れがセオリーなんですけど、彼女はいきなりレース活動をするようになりました。それでもキャリアを積み重ねたことで、サーキットでは僕よりも速くなった。そこは父親冥利につきるんですけど、2026年のレース活動はスーパー耐久のみになったので、それならジムカーナにチャレンジしてみないか? サイドブレーキのないクラスがあるし、たまたま家にクルマ(テスラ)もあったので、出てみないか? と提案したところ、本人も意欲を見せていたので、コーチ兼メカニックで一緒に参戦することにしました」とのことだ。
当初は開幕戦の筑波ラウンドよりエントリーする予定だったが、ジムカーナ競技での実績不足からエントリーが不受理となり、第2戦の新潟ラウンドより活動することになったのである。
重量級EV特有の難しさにも直面
「レースでは周回を重ねてタイヤを温めてからタイムアタックを行うんですけど、ジムカーナではアウトラップから全開でアタックしないといけないし、当日の朝にコースレイアウトが発表されるので、攻略が本当に難しい。それでも筑波の練習会ではタイムがよかったし、初戦の新潟でもミスコースをしたので記録には残らなかったけれど、中間計測まではトップで走れていたので、コースレイアウトによっては戦えるんじゃないかと思いました」と手応えを語る杏奈選手。
その一方で、「コースを覚えることが苦手なんですけど、今回のタマダは金曜日から毎日レイアウトが変わるのでパイロン区間は苦労しています。それにテスラはゼロ発進の加速はすごいんですけど、車両重量が重いのでコーナリングが遅い。テスラの加速を活かせないレイアウトになると厳しいですね」とも語る。
事実、デビュー戦となった第2戦の新潟では6位でフィニッシュした父の俊之選手に続いて杏奈選手は7位完走を果たしたが、2戦目となった第4戦のタマダでは苦戦の展開。父の俊之選手が9位に沈んだほか、杏奈選手も11位に留まるなど悔しいリザルトになったのである。
「スタート位置を含めてコースレイアウトが変わったほか、慣熟歩行の時間も40分しかなかったので第1ヒートに対する不安がありました。新潟では第1ヒートでミスコースをしたんですけど、そうすると第2ヒートでアジャストできないので、今回はとにかく第1ヒートはミスコースをしないことだけを意識して走りました。第2ヒートは抑えどころを改善できたので体感としてはよかったんですけど、タイヤ的に厳しかったのか、タイムには反映されなかったので残念でした。それでもミスコースをすることなく走り切れたし、自分のもっているものを出し切れば結果を残せるんじゃないかという手応えはありました。今年の後半にはタイムを伸ばせるように頑張っていきたいと思います」と杏奈選手。
父の俊之選手も「彼女のスキルは素晴らしいと思います。同じコースを10回走るのなら、確実に僕よりも彼女のほうがタイムは速いと思うので、これを2回のアタックで出せるようになれば、僕よりも上のリザルトに入ると思います」とのことで、杏奈選手のパフォーマンスと今後の課題について解説した。
こうしてジムカーナへのチャレンジを開始した猪爪親子は、第5戦の砂川ラウンドに参戦するほか、第7戦の鈴鹿ラウンドにも参戦する予定となっているだけに、今後もジムカーナとレースの二足の草鞋を履く杏奈選手、そして、それをサポートする俊之選手の動向に注目したい。
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