3月18日にプジョーの新型308が世界初公開された。フルモデルチェンジした新型はどのような進化を遂げたのか?
そして、308と同じCセグメントのベンチマークとなっているのがVWゴルフだ。ゴルフは新型が今年日本に導入される予定だが、新型308はこの世界的定番車よりも魅力的なモデルとなっているのか?
2代目がついにデビュー!! トップを奪える実力あり! 明かされた新型ヴェゼルの全貌
新型ゴルフとの違いを中心にプジョーの新型308をチェックしてみた!
文/大音安弘 写真/Peugeot、Volkswagen
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■新型308の発売は欧州で今年後半の予定!
世界初公開されたプジョーの新型308。「ゴルフイーター」となれるか?
シトロエン・DS・プジョーのフレンチ3兄弟のポジショニングの明確化から、上質さを感じさせるクルマ作りへとシフトした近年におけるプジョーの変化の象徴といえるのが、現行型308だ。欧州のCセグメントハッチ市場で上位を狙った第2世代の308は、トータル性能の向上が図られ、飛躍的な進化を遂げた。
まさにその意気込みをひと言で表現するならば、「ゴルフイーター」である。その結果、欧州はもちろんのこと、日本でも大きな注目を集めた。
そんなプジョー308が、2021年3月18日、本国にて3世代目となる新型ハッチバックのワールドプレミアを実施した。ご存じのようにライバルであるVWゴルフは、最新世代となるゴルフ8が、2019年10月にワールドプレミアされ、すでに欧州で展開。そして、2021年内の日本導入が公表されている。
新世代の308は欧州での展開が2021年後半と予告されており、日本導入は早くとも来年となることが予想される。少々気が早いが、公表された事前情報をもとに、よきライバルとなる2台の特徴を比較してみたい。
■デジタル化を表現した未来的スタイリング
フロントの攻めたデザインとは対照的に、リアは従来の308の面影を感じさせるものとなった
プジョー308とVWゴルフのデザインを見ていくと、コネクテッド機能や先進の運転支援機能などの新技術がマストとなった世代ということもあり、そのスタイリングでもデジタル化を表現した未来的なものに仕上げられている。
いずれも共通するのは、LEDランプをアクセントに活用したライトデザインだ。しかしながら、全体のイメージは、2台ではっきりと異なる。
VWゴルフは、新鮮さを感じさせる一方で、歴代ゴルフの系譜を感じさせるオーソドックスなフォルムが与えられている。つまりひと目でゴルフをわかる形なのだ。
対するプジョー308は、新世代エンブレムを強調した大型グリルを低く配置することで、力強さとスポーティな走りを連想させる、攻めのデザインとした。
ただグラマラスなリアフォルムは、現行型のイメージを受け継ぐところもあり、そこは308の系譜を意識しているのかも。ただ全体的には、新鮮さを重視したデザインだ。
攻めという点では、プジョー308がリードといえる。ただ鮮度が高い分、この点では新308が有利だ。その新308のフロントマスクは、エネルギッシュだが、シックな現行型と比べると、好みがはっきりと分かれそうだ。
ボディサイズはそれぞれ以下のとおりとなる。プジョー308は、ひと回り大きくなっているのに対して、VWゴルフはわずかなサイズアップに留めている。数字だけの比較では、やや小ぶりなゴルフのほうが、日本では喜ばれそう。ただプジョー308のホイールベースの長さは、後席のゆとりに期待できる。
●次期型プジョー308・ボディサイズ
全長4367mm×全幅1852mm×全高1444mm、ホイールベース2675mm
●新型VWゴルフ8・ボディサイズ
全長4284mm×全幅1789mm×全高1456mm、ホイールベース2636mm
※両車ともボディサイズは欧州参考値
■タッチディスプレイ採用は共通だが使い方に個性が
デジタルメーターとタッチ式のインフォテイメントシステムを備えるところはゴルフと共通だ
デジタル技術満載のコクピットデザインは、どちらも鮮度が高い。デジタルメーターを主体とし、サブモニターとして大画面タッチスクリーン式のインフォテイメントシステムが備わる点も共通している。
ただ2枚の液晶モニターの使い方には、ぞれぞれの個性が現れる。VWゴルフは、メーター液晶内にナビマップを含め、すべての情報が表示可能としたメーター中心の構成だが、プジョー308は、メーターとインフォテイメントシステムの表示を完全に独立化。
308のコクピットデザインは、最新世代の「i -Cookpit」に、新インフォテイメントシステム「i-Connect」を組み合わせたもの。一部グレードでは3D表示も可能なメーター内には、運転に必要な情報を厳選して提供。
ナビを含め、快適機能の情報は、タッチスクリーン側にすべて委ねる。情報密度を高めた分、その操作性を高めるために、ショートカットキー機能のサブモニターも備えるのも新しい。
情報密度の高さは、VWゴルフが秀でているが、新しさやワクワク感だとプジョー308がリードする。なおATシフトはいずれもコンパクトなレバー式のものをセンターコンソールに装備。これは車内空間を広く使うためのアイデアだが、流行的な面もあるだろう。
■ガソリンエンジンをメインとする多彩なパワーユニット
新型308ではプラグインハイブリッド車も設定される予定となっている
パワーユニットについては、いずれも多彩なラインナップを揃える。まずはメインとなるガソリンエンジン車について、触れておこう。
すでにゴルフ8は、初期の日本仕様として、マイルドハイブリッド仕様の1.0L 3気筒ターボの「1.0L eTSI」と1.5L 4気筒ターボの「1.5L eTSI」の2種類の導入を公表。
マイルドハイブリッドは、48Vベルト駆動式スタータージェネレーターを搭載するもので、エネルギー回生に加え、モーターアシストも行えるもの。これらにはDCTタイプの7速DSGが組み合わされる。
このほかにも、本国ラインナップは充実しており、新開発の2タイプの2.0Lクリーンディーゼルエンジンや2種類のプラグインハイブリッド、さらに天然ガス(CNG)とガソリンに対応したバイフューエルエンジンTGIも用意される。
さらに忘れてならないのが、GTIやRなどのハイパフォーマンスモデル用の3種類にも及ぶ2.0LのTSIエンジンの存在だ。ドイツ車らしい機能性の高いエンジンだけでなく、日本でも熱烈なファンを持つスポーツゴルフもしっかりと用意されていることはポイントが高い。もちろん、すべてエンジンはターボ仕様となる。
対するプジョー308は、メインストリームとなるエンジンは、現時点の情報だと非電動となるようだ。2種類の1.2Lの3気筒ガソリンターボエンジンと1.5Lの4気筒クリーンディーゼルターボを設定。いずれも6MTと8ATが用意されるが、日本仕様は全車8ATだろう。
もちろん、電動化も行われている。それが新308の目玉となる2種類のプラグインハイブリッドだ。
81kWのモーターと2種類の出力の異なるエンジンを組み合わせることで、キャラクターが分けられている。高性能仕様の「ハイブリッド225 e-EAT8」は、180ps(132kW)仕様のエンジンが組み合わされるので、なかなかパワフルな走りが楽しめそう。
しかし、ゴルフにはスポーツPHEVであるGTEが存在し、システム出力で180kW(245ps)を発揮する。どちらのほうが電動化を活かした新感覚のスポーティな走りを見せてくれるのかにも注目。
ただプジョーは、現在でもバランス重視のモデルラインナップとしており、GTIのような高性能モデルは失われている。将来的には、EVのGTIが復活するかもしれないが、現状は、スポーツを含め、多彩な選択の実現が期待できるゴルフに軍配を上げたい。
■日本での勝負は早くて来年か
乗ってみないと分からない! と言いたいところだが、ゴルフと308を乗り比べられるのは、日本では早くて来年となる
やはり、スペックだけで2台の優劣を評価するのは非常に難しい。それは現行型308のような飛躍的な成長を見せれば、やはり新型ゴルフにとって、プジョー308は厄介な存在となるからだ。
ただ日本の欧州車ファンは、走りのよさを期待するのも確か。その点で、伝統的に多彩なスポーツモデルを揃えるゴルフはやや有利か。ただメインストリームは、価格と性能のバランスのいい標準車だ。多くの人が検討するモデルだけに、308の躍進もありえる。
また308もワゴンモデルのSWが未発表であるし、標準車のパワートレーンに変化がないとも言い切れない。特に308のPHEVは、FFモデルだけで、最近、日本への導入が進む「HYBRID4」ではない。
これはスペース的な問題もあるので、あくまで期待論だが、これが新しい308SWに搭載されれば、ゴルフオールトラックとは異なる魅力を提案できるだろう。
何はともあれ、日本を舞台とした両車の勝負は、早くとも来年になる。何しろ欧州でも新308シリーズは、未発売なのだから……。今後も、新308の新情報が入手出来次第お届けしたい。ただその前に、試乗を含めた新型ゴルフの情報がお届けできるはず。こちらにも期待して欲しい。
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