角田裕毅(レッドブル)がF1第16戦イタリアGPの予選Q3で10番手に終わった理由は、予選後の【角田裕毅F1第16戦展望】に書いたように、最後のアタックに出るタイミングが誰よりも早く、集団の先頭を走っていたため、スリップストリームが使えなかったからだ。
角田も最後のアタックはスリップストリームを使いたかった。しかし、スリップストリームをチームメイトであるマックス・フェルスタッペンに使わせることに納得し、チームプレーに徹した。
作動温度領域の狭いタイヤを機能させ、予選の走りを改善「安定してタイムを出す方向性を見つけた」【角田裕毅F1第16戦展望】
ところが、角田がガレージを出た後、ピットレーンで角田に続いたのはフェルスタッペンではなく、フェラーリ勢2台とマクラーレン勢2台だった。そのことを角田に質問すると、角田も「そうなんですよ」と言って、果たして自分が先頭で出ていったことが役に立っていたのか、少し疑問を呈していたように感じた。
しかし、角田が先頭で出ていったことは、フェルスタッペンのポールポジション獲得に大きく貢献していた。
状況を確認しよう。イタリアGPが開催されるモンツァ・サーキットは、24戦中最も平均速度が高いサーキットで、全長のおよそ80%がエンジン全開となる超高速コースだ。「スピードの神殿」と呼ばれ、ストレート上では空気抵抗が増加する。そのため、このモンツァでは歴史的にスリップストリームをいかにうまく使うかが鍵となってきた。
だから、Q3の最後のアタックではライバルの後ろにつくために、誰もがガレージのなかで待機していた。このままではコースインしても時間切れになる恐れがあると思われた残り3分30秒でコースインしたのが角田だった。
そのタイミングは「これ以上、待機すると時間切れになるかどうか」という絶妙なタイミングだった。しかし、フェルスタッペンは出ない。逆にレッドブルが出たのを見て動いたのが、暫定ポールをフェルスタッペンに奪われていたフェラーリとマクラーレンだった。時間切れになってしまっては逆転できないからだ。レッドブルはライバルたちが先に動くことを計算していた。
この4台が目の前を通過した直後にガレージを出たのがフェルスタッペンだった。レッドブルはフェルスタッペンに角田のスリップストリームを使わせるだけでなく、フェラーリ2台とマクラーレン2台の合計5台分のスリップストリームを使うという賭けに出た。この戦略は功を奏し、フェルスタッペンが自己ベストをさらにコンマ1秒以上縮めて、1分18秒792を記録。これは2020年に当時メルセデスに所属していたルイス・ハミルトンが樹立した1分18秒887を更新する新しいコースレコードとなった。
その記録達成に、角田は間違いなく貢献していた。
[オートスポーツweb 2025年09月07日]
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みんなのコメント
と言えば綺麗に聞こえるが
要するに角田は
捨て駒に使われたって事でしょう。