VWが世界で展開しているSUVモデルは全部で7車種ある。現在日本ではこのうちのT-Roc、T-Cross、ティグアンの3車種が展開され、最激戦区たるSUV戦線で居並ぶ人気モデルを向こうに回し善戦している。
そんなVWのSUV3兄弟の魅力はどこにあるのか? モータージャーナリストの吉川賢一氏が一気乗りで確かめた。
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※本稿は2021年1月のものです
文/吉川賢一 写真/VW、ベストカー編集部 撮影/佐藤正勝
初出:『ベストカー』 2021年2月10日号
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■T-Cross TSI 1stプラス(301万9000~337万9000円)
VW T-Cross TSI 1stプラス…全長4115×全幅1760×全高1580mm、999cc、直3ターボ(ガソリン)、116ps/20.4kgm、16.9km/L
1Lという小さな排気量で、どうしてこれほど力強い加速や巡行走行ができるのだろうかと、本当に驚かされる。
ツインクラッチの7速DSGの低速発進時の動作を気にする方も多いが、少なくともこのT-Crossに関しては、違和感などはまったくなく、ごく自然な動作だ。
一般道やワインディングでの身のこなしは、ボディサイズに対してオーバースペックな18インチタイヤ(ピレリチンチュラートP7)と、1270kgという、やや軽めの車重の恩恵もあり、グイグイと旋回をする。
乗り心地は、ボディの上下動をしっかりと抑制し、フラットに保つようなセッティングが施されている。
中低速で走るワインディングや高速巡行は大の得意だ。
半面、段差乗り越し時の突き上げは大きく、「ドタン」というインパクトノイズと鋭いショックは、後席だとややきつい。
約338万円の車両価格だけをみれば、「国産よりも割高な輸入車」という印象を受けてしまうが、ACCやブラインドスポットディテクション、LEDヘッドライト、インフォテイメントシステムのDiscover Pro(SSDナビ、オーディオ、TVなど)などは標準装備だ。
それを考えると、リーズナブルだといえよう。
3兄弟のなかでインテリアはアクセントカラーを配するなど最もポップで若々しい。ポロベースながら、リアシートの居住性、ラゲッジも大きな不満はない
■T-Roc TDIスポーツ(404万9000~452万9000円)
VW T-Roc TDIスポーツ…全長4240×全幅1825×全高1590mm、1968cc、直4ディーゼルターボ、150ps/34.7kgm、19.5km/L
2LディーゼルターボのTDI(150ps/34.7kgm)と7速DSGの組合せはT-Rocの武器だ。
車速ゼロからの発進、強加速、高速巡行走行など、シーンを問わずに力強い。しかもそれを、2000rpm程度の低い回転数でやってのけるのだから凄い。
試乗したのは17インチの「TDIスタイル」と18インチの「TDIスポーツ」の2台。
どちらも、乗り心地は、中低速ではやや硬めで、路面の継ぎ目やマンホールなどでは、「ゴツン」という大きめのショックを感じる。
特に、リアタイヤが地面から受ける当たりが硬く感じ、突起ショックのレベルは国産SUVの平均点以下だ。TDIスタイルであれば、路面との当たりは若干マイルドになるが、まだ硬さが残る。
リアサスがトレーリングアーム式のコンパクトSUVが405万円と聞くと、随分と高く感じるが、ナビやオーディオ、コネクティッド機能を有した8インチタッチスクリーンモニターのDiscover Proや、画面全体に地図表示ができるデジタルメータークラスターも標準装備。
また、全車速追従機能付のACCやレーンアシスト機能ももちろん付く。T-Cross同様、T-Rocもコスパはかなり高い。
お洒落な外観のT-Rocは、デザイン買いもアリだ。
3兄弟では最も新しく2020年7月に日本でデビュー。クーペSUVながら室内高も充分確保されている。インテリアは3兄弟では最もモダンな雰囲気の仕上げ
■ティグアン TDI 4モーション ハイライン(408万9000~620万2000円)
VW ティグアン TDI 4モーション ハイライン…全長4500×全幅1840×全高1675mm、1968cc、直4ディーゼルターボ、150ps/34.7kgm、17.2km/L
試乗車は18インチタイヤのハイラインと、19インチタイヤのRラインの2台だ。
「ガンッ」と閉まるドアの音は、高い車体の剛性感を感じる。T-CrossやT-Rocもそれなりによかったが、それとは次元が違う音質だ。
2LディーゼルターボはT-Rocと同スペックだが、1430kgのT-Rocに対して、ティグアンは1730kgと約300kgも重い。しかしWLICモード燃費はT-Rocの18.6km/Lから、17.2km/Lと約9%の悪化に留まっている。
T-CrossやT-Rocとは異なり、ゆったりとした乗り味で、18インチタイヤをみごとに履きこなしている。19インチタイヤになっても乗り心地の印象がさほど変わらないのは凄いことだ。
一転、ハンドリングの鋭さは抑え気味で、やや鈍重さすらあるものの、室内の広さや、快適なシートにより、ミドルクラスSUVとして、明確にキャラクターが立っている。
多人数でロングドライブに出かけるならば、間違いなく、ティグアンを選びたくなる。雨でも雪でも、どこまでも走れる相棒として非常に頼もしい。
ただし、550万円にも届く車両価格は、手を出すにはかなりの勇気がいる。国内ではあまり見かけない、「通」にはわかる存在感が魅力だ。
ティグアンは3兄弟のなかでは最もボディサイズが大きいため室内に余裕がある。インテリアはデザインを含めVW伝統の質実剛健、使い勝手も優れている
■新型ゴルフ8の日本デビューは4月!? ゴルフ7はどれだけ熟成されたのか?
正直なところ、SUV3兄弟は、乗り味の面では、期待値に届いていなかった。
走りの軽快さ、快適性、静粛性、高速走行の安定感、インテリアの質感、荷室の使い勝手、そしてコストパフォーマンス、どこをとっても、同時に試乗した、最終型ゴルフ7の出来が、あまりにも素晴らしかったためだ。
ゴルフ7のデザインは華やかさはないが、落ち着いた雰囲気で古さを感じさせないのが魅力
ゴルフ7は、足回りのセッティングを固めているわけではないのに、コーナーをスムーズか滑らかに走り、かつ、路面を問わず、角を感じさせない乗り心地。
それでいてNVH(編集部註:騒音、振動、ハーシュネス)にも優れており、上質な素材を使ったインテリアも合わさって、快適な車内空間を実現している。
極めつけはコスパがいい(TSIマイスター374万円、TDIマイスター394万円)。
どうやったらこの世界観にまでクルマを昇華できるのか。ゴルフ7は、地味目なエクステリアが気にならない人には、真っ先におススメするクルマだ。
2021年前半(4月頃か?)に日本登場という噂のある新型ゴルフ8にも、期待している。
ゴルフ8はキープコンセプトながら、全方位で質感が大幅にアップしているので期待感大
【番外コラム】新しい「We Connect」は3年間無料!!
「We Connect」とは、従来のVW車にあった「Car-Net」というモバイルオンラインサービスの内容を、さらに充実させたものだ。
離れたところでも、クルマの施錠状態を確認し、開いている場合にはロックをかけたり、ドアの閉め忘れやライトの消し忘れ、駐車位置探索、オンライン盗難防止アラーム、オンラインルート計算、オンライン地図更新などができるようになる。
これらを新車登録後、3年間は無料で利用が可能。スマホへ専用アプリをインストールすることで使用でき、操作画面も、比較的使いやすい表示で好感が持てるが、「これがないとダメ」というものでもないため、知らない人は一度も使わずに終わる可能性も高い。
スマートフォンと連携したドアのロック/アンロックほか多種多彩な機能
各自動車メーカーとも、こうしたクルマをオンラインへと接続する、コネクティッド機能の導入を急いでいる。
できることならば、ユーザーが操作方法で困惑しないよう、自動車メーカー間で、アプリの基本的な使用方法は統一されるようにしていただきたいところだ。
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