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現ザウバー代表が明かす、セナとシューマッハーの”本当の関係”「みんなが気づかない仲間意識とじゃれ合いがあった」

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現ザウバー代表が明かす、セナとシューマッハーの”本当の関係”「みんなが気づかない仲間意識とじゃれ合いがあった」

 現在ザウバーF1のチーム代表を務めているジョナサン・ウィートリーは、かつてベネトンでミハエル・シューマッハーのメカニックを務めており、シューマッハーとアイルトン・セナのライバル関係について、多くの人々とは別の見方をしているようだ。

 ウィートリーはベネトンのメカニックとしてロベルト・モレノ、そして1991年終盤にチームに加わったシューマッハーのマシンを担当。そのため、セナとシューマッハーという、F1界のレジェンド同士のライバル関係を早い段階から間近で目撃することができた。ウィートリーがメカニックとして4年目のシーズンを迎えた1994年、サンマリノGPで悲劇が起こるまでは……。

■1994年、アイルトン・セナの事故原因は何だったのか? 当時のマシンを分析したふたりの教授が語る

 当時F1に携わっていなかった人々は、この時代を政治的、技術的な謀略に象徴される熾烈な競争の時代と捉えがちだ。ベネトンはその年の大半をルール違反の疑惑の中で過ごした。

 コース上では、若きシューマッハーと偉大な実績を持つセナのバトルが、しばしばこのような辛辣な物語と結びついていた。それぞれが順位を争いながら、コース上での相手の行為に熱心に文句を言っていたのだ。

 しかしウィートリーは、舞台裏ではまったく異なる雰囲気が漂っていたことを覚えているという。

 ウィートリーはF1のポッドキャスト『Beyond the Grid』で、次のように語った。

「1994年当時、ミハエルが暫定ポールポジションのタイムを出すと、アイルトンがガレージから出てくる。私はミハエルのタイムが書かれたピットボードを、彼に見せるんだ」

「彼はバイザーを開けて、頭を振って、閉めるんだ。しかし彼は、ミハエルより速く走ってピットに戻ってきて、ピットウォールにいる僕を見るんだ。そして『(ピットボード上で)僕のタイムはどこだ?』と言うんだ」

「みんなが気づいていないような仲間意識があった。みんなと激しい競争をしているだけじゃない。みんなでじゃれついていたんだ」

 1994年のサンマリノGPは、金曜フリー走行でルーベンス・バリチェロが大クラッシュを喫して負傷。土曜日にはローランド・ラッツェンバーガーがフロントウイングのトラブルによりクラッシュし、亡くなってしまうという、まさに悲惨な週末となっていた。

 当時のF1には労働時間を制限する外出禁止令もなく、若いメカニックたちにとっては、懸命に仕事をし目一杯遊ぶという倫理観が支配的だった。

 だがイモラでの出来事は、トップレベルのモーターレースに内在するリスクを残酷なまでに思い起こさせた。

「1994年のイモラは、私の記憶に残る最悪の週末だ。あのときの感情は今でも忘れられない」

「若かった私にとって、94年は大きなターニングポイントだった。(ベネトンの)チーフメカニックのミック・カウリショーが僕のところに来て、僕の腕に手を置いて、彼(セナ)が亡くなったことを伝えてくれた」

「あの週末は本当にいろいろなことがあった。ルーベンスのクラッシュについては、彼は(バリアに衝突する瞬間に)両手を顔の前に突き出していた。あの映像は信じられない。クルマの中にいる人間そのものを表している」

「それからローランド。テレビでそれを見て、これは普通の事故ではない、本当に、本当に深刻な事故なのだとすぐに理解したのを覚えている。そしてレースでは、J.J.(レート)がグリッド上で失速し、赤旗の原因となった大きなクラッシュがあった」

「そして(ミケーレ)アルボレートがピットレーンでホイールを脱落させ、ホイールナットが我々のナンバー1メカニックに当たって彼の足を切ってしまった。そのホイールはロータスのピットに入り、そこで誰かにぶつかった」

「(レース後)みんな飛行機に乗りたくなかった。空港のラウンジで無言で座っていたのを覚えている。ウイリアムズの連中はアイルトンについて聞かされたばかりだったし、誰ひとりとして飛行機に乗りたくなかった。『次は何が起こるんだ?』って感じでね……」

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みんなのコメント

5件
  • lio********
    94年4月29日〜5月1日のサンマリノGPは、立て続けに起きた事故で、ただならぬ空気が漂ってたな。
    テレビからもそれが伝わってきた。
  • kina☆
    シューマッハはアイルトンと記録が並んだ日、初めて会見で涙を流しながら「アイルトンは僕のアイドルだった」と告白した。セナがイモラでシューマッハの視界から消えた時、とてもショックだったと思う。セナがいなくなってからのシューマッハのドライブは鬼さ神のようだった。ある時はピットでガソリンに引火ひて火を吹いたままピットアウトして勝った時もあった。シューマッハのドライビングは、まるで永遠に追いつけないセナの背中を追い続けたんだと思っている。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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