水素欠トラブルの増加
日本自動車連盟(JAF)のロードサービスは、2023年8月から電気自動車(EV)の電力不足に対応するため、その場で急速充電が可能な専用サービスカーを試験的に導入している。
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新たな動力源を採用した車両のロードサービス体制の拡充を目指すJAFは、8月にツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)で開催されたスーパー耐久第5戦でトヨタ自動車と共同開発した水素補給機能を搭載した新しいサービスカーを公開した。
JAFが1年間にロードサービスとして全国に配備するケースのうち、燃料切れによるトラブルはおおむね5万件前後といわれている。なかでもEVの電欠は近年増加傾向にあり、2022年は約700件の救援要請があったという。また、燃料電池車(FCV)の水素欠による支援要請も約20件あったという。
EVの電欠もFCVの水素欠も、内燃機関車の燃料欠に比べれば少ないかもしれない。しかし、JAFは今後この数が増えることを予想している。JAFが急速充電サービス車と水素充填サービス車を導入したのも、こうした背景があるからだ。
従来、EVやFCVが電欠/水素欠になった場合、最寄りの補給ステーションまでけん引して救援するしかなかった。しかし、路上での救援に対応できるシステムが開発されたことで、より迅速な対応が可能になった。
充実したサービスカー機能
水素補給機能付きサービスカーは、JAFのサービスカーとしては比較的大型の2tクラスのトラックである。機能の中核となる水素タンクは、荷台の前部に4本まとめて搭載されている。
タンクはFCVのMIRAI用に開発された軽量高強度の樹脂製である。タンクはカードルと呼ばれる頑丈な集合容器に収納され、上部には安全管理ユニットが搭載され、運搬時や燃料補給中に水素をリアルタイムで自動監視する。つまり、カードルは水素補給システムであるだけでなく、あらゆる条件下で水素を安全に輸送・保管できるシステムモジュールでもあるのだ。
さらに、完結したシステムモジュールということは、汎用(はんよう)性が高いことでもある。必要に応じて一定量の水素を安全に運搬し、そのまま保管できるため、例えば定置型の燃料電池装置の水素タンクにも応用できる。
また、新水素充填システムを搭載したJAFのサービスカーは、2tクラスのゆったりとした車体を生かした非常に充実したサービスカー機能が特徴。水素補給機能だけでなく、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油のタンクを荷台に装備。また、パンク修理や鍵の閉じ込みなど、JAFへの救援要請を必要とする救援要請上位のトラブルに対応できる十分な装備を備えている。
ちなみに、EVには急速充電装置は装備されていないが、荷台自体にはまだ余裕がある。個人的には、路上トラブルの依頼の内容を考えると、いずれそうした機能が追加され、まさにサービスカーとして万全の機能を備えてほしいと願っている。
FCVの普及課題
一方、水素補給サービスカーの存在に最も依存するFCVの普及が一向に進まないのは、正直なところ、EVに対するFCV導入のメリットがまだ限定的だからだ。
しかし、FCVにはメカニズム的なメリットがある。まず、FCVは内燃機関と同様、燃料となる水素の量を物理的に確認できるという意味で、EVよりも路上での安心感が高い。また、災害時の電力供給源としてもEVより優れている。普及を妨げている課題は、多くの人が認識しているように、水素補給インフラの不足である。
しかし、水素がFCVの燃料としてだけでなく、内燃機関の燃料としても積極的に利用されるようになれば、この状況は変わるだろう。水素を燃料とする内燃機関は、水と微量の窒素酸化物しか排出しない。つまり、カーボンニュートラルという観点からは完璧な燃料なのだ。現在の最大の課題は、水素の製造方法が化石燃料からの分離に頼らざるを得ないことである。
将来、この部分が海水の電気分解を主体とするようになれば、資源量はほぼ無尽蔵になる。また、電気分解に必要な電力も自然由来のものにすれば、完全な再生可能エネルギー社会が完成する。
もちろん、現在のところ、これらの目標が実現する見込みはない。想像の産物にすぎない。しかし、例えば数百年後の世界を想像してみると、電気だけに頼る世界よりも水素を利用した社会の方が発展性がありそうだ。
モビリティビジネスの本質
FCVは短期的には採算が取れないと多くの自動車メーカーに否定されているが、日本のトヨタやホンダがその将来性を高める努力を続けているのは、単にさらに遠い未来社会でのビジネスを創造しようとしているからだろう。
どんなビジネスでもそうだが、目先のもうけだけでなく、はるか遠い未来のあるべき姿を同時に語れなければ、本当の意味でのビジネスとはいえない。
トヨタがJAFのサービスカーという形で提案する水素を輸送・貯蔵するモジュールシステムは、水素の安定供給、そして将来の水素供給インフラ整備のブレークスルーとなる可能性を秘めている。
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