現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「将来、値上がりしそうだから」とスケベ心で手を出すのは危険! 意外なほどシビアな「マイナー旧車メンテナンス 」事情

ここから本文です

「将来、値上がりしそうだから」とスケベ心で手を出すのは危険! 意外なほどシビアな「マイナー旧車メンテナンス 」事情

掲載 更新 14
「将来、値上がりしそうだから」とスケベ心で手を出すのは危険! 意外なほどシビアな「マイナー旧車メンテナンス 」事情

この記事をまとめると

■軽い気持ちで購入するのは危険■専門店でもお手上げな可能性もアリ■輸入車なら部品供給がまだマシな可能性も

「給油口」を室内からオープンしたい! スズキの「マー坊」にちょっぴり現代風の改造をしてみた

今まで見向きもされなかったような廉価グレードも高騰

 旧車流行りで、車両も高騰が続いている。本来は旧車に限らず、高年式の中古車でも人気が高いものは価格も高いのが当たり前。人気がないものは当然のことながら、安いのが普通だ。

 最近のモデルであれば人気がないのは、その点を気にしなければ安く買える掘り出し物だったりするが、旧車の場合は高騰基調が波及しすぎて、マイナー車や低グレード車も引っ張られるように高くなっている。異常とも言える状況は、興味がある方なら実感しているところだろう。

軽い気持ちで購入してしまうと大変なことに……

 しかし、人気モデル以外の旧車を買って維持するのは、無謀なのだろうか? 価格が高いと、程度や内容がいいように思えてくるし、維持するのも楽な気がしてくるだけに、実際はどうなのだろうか?

 結論から言うと、気軽に買うのはやめておいたほうがいい。程度がバリバリにいいとしても、メンテナンスに手間がかかるのが旧車なだけに、まずパーツの入手に苦労する。名車であれば専門店がある可能性が高く、デッドストックの純正パーツをストックしていたり、重要部品は復刻していたりするし、流用情報にも長けていて、メンテナンスはなんとかできる。

 ただ、それでも最近は、そもそもメーカーが作られないだけに枯渇気味になっているので、専門店とはいえ「車両を買ってくれた人が優先で、その次が長くメンテに出してくれている人。飛び込みの人には売らないというか、売ることができない」という声も聞かれるようになってきた。

専門店でも部品がなければお手上げ

 専門店すらないクルマはどうするかというと、部品はネットオークションなどで探しまくる。もちろん探しまくったところで出てくるとは限らない。場所に余裕があれば、部品取り車を丸ごと購入してそこからもぎ取るというのも定番というか、手っ取り早い。しかし、マイナーだと部品取り車すら見つからないこともあるし、見つかっても所詮は丸ごと安く売っている車両だけに、必要な部品がドンドンと外せるわけではない。たとえばウイークポイントの部分はすでに外された状態だったりする。

 さらにどこでやってもらうかも問題。専門店があれば、すでに紹介したように問題ない。専門店がないクルマでは、プライベーターとしてプロ並みの腕と設備で、自ら直したり、メンテしている人もいるにはいるが、普通は自分では無理だ。整備工場にお願いするとしても、旧車を見てくれるところは正直少ない。

 年配の方がいるところはやってもらえる可能性もあるものの、ここでも当然部品の問題が発生する。熟練だからといっても部品調達が得意なわけではなく、せいぜい、部品持ち込んでくれたらやってあげると言われればまだ御の字といったところ。若いメカともなると、キャブレターのセッティングもできなかったりするから、整備環境はかなり悪い。

 ネット全盛の時代、探せば対応してくれるところはあるが、近所にあるとは限らないというか、ない可能性のほうが高いだろう。長期間預けて、イチから手を入れるレストアなら、遠くても一回きりなのでいいとしても、メンテナンス程度だと遠いと実質無理。

 ちなみに、今でもディーラーに持ち込む人はけっこういるという声をよく聞くが、オイル交換ぐらいはしてくれても、メンテや修理は断られると思ったほうがいい。理由としては作業できないというのもあるし、できたとしても売上げ、効率優先の昨今では、お不動様になってしまう可能性のある旧車を受け入れたくないというのもある。

仮に手に入らない部品を作ったとしても……

 旧車業界でよく聞く、ない部品は作るというのはもちろん可能。ただし、莫大な費用と手間、時間がかかるし、そもそもマイナー車でそこまでするかというのはある。購入価格が高いとはいえ、実質は不人気車だ。しかも、価格が高かったから、程度がいいというわけではなく、あちこちに不具合が出ることもあり得るわけで、冗談抜きで「捨てたほうがいい」という結論になりかねない。捨てるのは言いすぎとしても、使えるパーツは外してネットオークションで売ったほうがいいかもしれないが、入札状況を見ていると不人気車では落札されず、そのまま再出品もされないという例も多い。

 と、身も蓋もない絶望的な話しをしてきたが、どうしても他人が乗っていないようなマイナー車や、激渋の低グレード車がいいという場合は、可能な限り、程度がいい車両を選ぶこと。さらに車両購入前に部品取り車を確保したり、パーツの流用状況を確認しておくといい。まったくお手上げなら、買うのは諦めよう。

輸入車なら部品供給が充実している車種も多い

 さらに輸入車というのも手だ。そもそも欲しいクルマがないというなら仕方がないが、旧車の味や雰囲気を楽しみたいなら、輸入車がオススメで、純正パーツは日本車よりもかなり長く供給されるし、社外品もあったりする。マイナー車でも世界のどこかに専門店があることも多くて、パーツを通販で購入することも可能だ。リーマンショック以降、純正パーツの供給状況はかなり悪化しているものの、日本車よりは数段増しではある。

 パーツさえ手に入ればメンテしてくれるところはなんとか見つけられるだろう。筆者はレストア専門店から頼まれてパーツの手配をすることがあるが、例えば今までで驚いたなかでは、戦争前後に作られていたオペルのオリンピアというモデルだ。まず専門店があって、ほぼすべてのパーツが手に入ることにビックリ。最初はナメて最小限の部品しかないと思い、「あれはあるか、これはあるか」とやり取りしていたが、「いちいち聞くな。パーツカタログあげるから、そこに載っているものはすべてある」と言われて、旧車文化の懐の深さに驚いたことがある。

 また自分ではFIAT500(今のではない)を30年以上所有しているが、イタリアンなクオリティは別にして、パーツに困ったことはない。ドイツやスイスにはお馴染みのショップもあって、基本的にはすべて輸入でパーツは揃えている。とくにスイスのショップはトッポリーノと呼ばれた初代FIAT500も扱っていて、加工の跡が生々しいオリジナルパーツも含めて、ほとんどのパーツが手に入れられる。

 いずれにしても、後先考えずに旧車を購入するのは絶対に避けるべきで、メジャーモデルでも買ってからのメンテなどは確認してから買うのが鉄則。よく見かける人気車種でも苦労したり、費用がかかったりするだけに、マイナー車には独特の魅力があるのはわかるが、買うというのは相当の覚悟が必要ということは忘れないでほしい。

関連タグ

こんな記事も読まれています

ホンダ新型「SUV」世界初公開! 未来感スゴい新型「P7」登場! 24年末以降に中国で発売へ
ホンダ新型「SUV」世界初公開! 未来感スゴい新型「P7」登場! 24年末以降に中国で発売へ
くるまのニュース
初心者向け安全運転スクール! スズキが「U30スズキセイフティスクール」の開催日程を発表
初心者向け安全運転スクール! スズキが「U30スズキセイフティスクール」の開催日程を発表
バイクのニュース
カローラクロス対抗馬完成!? 欧州で新型キャシュカイ堂々発進 日本導入はマジであるのか
カローラクロス対抗馬完成!? 欧州で新型キャシュカイ堂々発進 日本導入はマジであるのか
ベストカーWeb
アルファロメオ『ジュニア』がミラノ・デザインウィーク2024に登場
アルファロメオ『ジュニア』がミラノ・デザインウィーク2024に登場
レスポンス
整備事業者に新展開!! オートバックスカーズのフランチャイズ加盟店を募集! 事業拡大で期待できることとは?
整備事業者に新展開!! オートバックスカーズのフランチャイズ加盟店を募集! 事業拡大で期待できることとは?
ベストカーWeb
ボッタス、ザウバーの”ピット作業問題”の解決はまだまだ先と示唆「できればイモラまでに」
ボッタス、ザウバーの”ピット作業問題”の解決はまだまだ先と示唆「できればイモラまでに」
motorsport.com 日本版
マツダがスゴい「ロードスター」お披露目! マツダ3も同時公開!? 「走る歓び」進化させるS耐参戦体制発表へ
マツダがスゴい「ロードスター」お披露目! マツダ3も同時公開!? 「走る歓び」進化させるS耐参戦体制発表へ
くるまのニュース
アウトビルトジャパン編集部流「オートモビルカウンシル2024」探訪記
アウトビルトジャパン編集部流「オートモビルカウンシル2024」探訪記
AutoBild Japan
スポーツカーでもミニバンでもOKだった! でも技能検定車には基準あり! 知られざる「教習車」の選ばれ方を元教習所教官が解説
スポーツカーでもミニバンでもOKだった! でも技能検定車には基準あり! 知られざる「教習車」の選ばれ方を元教習所教官が解説
WEB CARTOP
電動アシスト自転車、24年モデルが続々ラインアップ…新型ヤマハ『PAS』のバラエティ豊かな5機種を一挙紹介
電動アシスト自転車、24年モデルが続々ラインアップ…新型ヤマハ『PAS』のバラエティ豊かな5機種を一挙紹介
レスポンス
「本田宗一郎とともにホンダを創業した藤澤武夫の功績」【自動車業界の研究】
「本田宗一郎とともにホンダを創業した藤澤武夫の功績」【自動車業界の研究】
LE VOLANT CARSMEET WEB
金色”ド迫力”エアロが凄い日産「新型GT-R」実車公開へ! 極太センターマフラー&巨大ウィングで「最高の称号」も獲得!? ゴールデンな爆裂エレガントモデルとは
金色”ド迫力”エアロが凄い日産「新型GT-R」実車公開へ! 極太センターマフラー&巨大ウィングで「最高の称号」も獲得!? ゴールデンな爆裂エレガントモデルとは
くるまのニュース
運気アップなドライブがしたい人は要チェック!【週末ドライブ占い】2024年4月20~21日
運気アップなドライブがしたい人は要チェック!【週末ドライブ占い】2024年4月20~21日
月刊自家用車WEB
山形の「ヨコ軸」が延伸! 東北中央道につながる快走路「新庄古口道路」2024年度全通
山形の「ヨコ軸」が延伸! 東北中央道につながる快走路「新庄古口道路」2024年度全通
乗りものニュース
ハミルトンの後任候補アントネッリがメルセデスで初のF1テスト「F1のパワーとダウンフォースを味わえて最高の気分」
ハミルトンの後任候補アントネッリがメルセデスで初のF1テスト「F1のパワーとダウンフォースを味わえて最高の気分」
AUTOSPORT web
10年ぶりの全面改良で4代目になった「ミニ3ドア」はどう進化? EVの「クーパーSE」とガソリン車「クーパーS」はなぜサイズもデザインも微妙に違う?
10年ぶりの全面改良で4代目になった「ミニ3ドア」はどう進化? EVの「クーパーSE」とガソリン車「クーパーS」はなぜサイズもデザインも微妙に違う?
VAGUE
トヨタが全長5m「新型ラージSUV」発売! 17年ぶり復活エステートやランドスケープ実車展示! 全国でアクティブライフ発信へ
トヨタが全長5m「新型ラージSUV」発売! 17年ぶり復活エステートやランドスケープ実車展示! 全国でアクティブライフ発信へ
くるまのニュース
【インタビュー】元SBKライダーのチャズ・デイビス選手が解説する、電動バイクレースMotoEの戦い方
【インタビュー】元SBKライダーのチャズ・デイビス選手が解説する、電動バイクレースMotoEの戦い方
バイクのニュース

みんなのコメント

14件
  • 専門店と銘打っていても、いい加減な店もあるからなぁ・・・。専門店というだけで100%信頼するのは止めるべき。
  • 投機目的のヤツなんて半端な業者くらいで
    乗って楽しみたい旧車好きにはそんなヤツ殆どいないんじゃね?
    というイメージ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村