人気車種のモデルチェンジや季節的な要因などによって中古車の相場は日々動いています。そんな中古車市場でいま狙い目のお得なモデルはどれなのか。中古車相場にも詳しい自動車評論家の萩原文博さんに聞いてみました。2022年春の中古車情報として取り上げるのは「登録済み未使用車編」。新車の納車遅れが続く中、新車に近いコンディションですぐに使える未使用車は割安な価格も魅力的です。今回は流通する台数のうち、未使用車の比率の高い車種をクローズアップ!
新車納車遅れが続くなか、すぐに使うことができる「登録済み未使用車」に注目!
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世界的な半導体不足によって新車の納車遅延が起きています。グローバルで人気の高いトヨタランドクルーザーなどは納車まで4年とオリンピックの開催サイクル並に長くなっています。
多くの人の場合、クルマの買い換えは現在所有しているクルマの車検を迎えるタイミングで行います。したがって、契約したクルマの納車が遅れると一時的とはいえ、手元にクルマがないという時間が生まれてしまい非常に不便です。
そこで注目なのが、すぐに納車可能な「登録済み未使用中古車」と呼ばれるクルマです。これは、年度末などで販売台数を上乗せしたいなどの理由で販売店が自社名義で登録した、ほぼ新車に近いコンディションの中古車のことです。基本的にほとんど走行していませんが、新車より割安な価格で手に入れることができます。なお軽自動車は厳密には「登録」ではなく「届出」なのですが、今回は一般的に知られている「登録済み未使用車」という呼び方で統一します。
自分の気に入ったグレード、カラーがあればラッキー
登録済み未使用車のメリットはすぐに納車できること、新車より割安な価格であることです。しかしデメリットもあります。まず、車検期間が3年ではないこと。すでに登録しているクルマですから、最初の車検までの期間は3年より短くなります。そして、グレードやボディカラー、メーカーオプションに制限があることです。
登録済み未使用中古車には多くの場合、売れ筋グレードで、人気のボディカラーのものが選ばれます。とはいえ、自分の好みの仕様が見つかれば、ユーザーには大きなメリットとなります。最近ではこの登録済み未使用中古車を狙って乗り継ぐユーザーも多く存在しています。
中古車流通台数の半分以上が未使用車という車種も!
ここでは、4月末現在で登録済み未使用中古車が多く流通する軽自動車を5台ピックアップしました。今回、登録済み未使用中古車は現行モデルの2021~2022年式で、走行距離が500km以下という条件で検索しています。
普段は登録済み未使用中古車の流通台数の多い車種を紹介するのですが、今回は中古車の流通台数の中で登録済み未使用中古車の占める割合が高い5車種を紹介します。ベスト3までは流通している中古車の半分以上が登録済み未使用中古車でした。
「スズキワゴンRスマイル(未使用車率90.5%)」なんと9割が未使用車、ハイブリッドXの2WD車が多いが2トーン車も見つかる!
現在、流通している414台の中古車のうち、なんと90.5%にあたる約375台が登録済み未使用中古車というのが、スズキワゴンRスマイルです。ワゴンRスマイルは、新感覚のスーパハイトワゴンとして2021年9月より販売開始されました。ワゴンRの特長である広い室内空間と高い機能性に加えて、スライドドアの利便性と個性的なデザインを兼ね備えたモデル。全高は1,695mmとベース車のスペーシアより90mm低くなっていますが、広い視界と室内空間を両立しているのが特徴です。
搭載するパワートレインは660cc直列3気筒DOHCの1種類。これにISGというモーター機能付発電機と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドを搭載しています。燃費性能はWLTCモードで22.5~25.1km/Lを実現。安全装備は、デュアルカメラブレーキサポートを採用した「スズキセーフティサポート」を全車標準装備しています。さらに、ヘッドアップディスプレイや全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)などをセーフティパッケージとしてオプション設定しています。
ワゴンRスマイルの登録済み未使用中古車の価格帯は約107.8万~219万円。グレードは、ハイブリッドXの2WD車が多くなっています。2トーンボディ車もわずかながら流通しているのは魅力です。
「スズキハスラー(未使用車率63.1%)」ハイブリッドG 2WD車が多いが、狙い目は特別仕様車のJスタイル
現行型スズキハスラーは約1,755台の中古車が流通していますが、そのうち63.1%に当たる約1,109台が登録済み未使用車となっています。現行型ハスラーは2020年1月から販売開始されました。ベース車をワゴンRからスペーシアへと変更したことで、室内空間はさらに拡大し、利便性が向上しているのが特徴です。
ハスラーは新世代プラットフォーム「ハーテクト」を採用し、さらにバックドア、センターピラー、サイドドアそれぞれ「環状骨格構造」を形成することによりボディ全体で剛性を高めています。その上、ボディのスポット溶接部分に「構造用接着材」を採用し、部品間のわずかな隙間を埋めることで接合部を強化、高い操縦安定性とフラットな乗り心地を実現しました。
搭載するエンジンはターボと自然吸気エンジンの2種類ですが、自然吸気エンジンは新開発となり、エンジンの燃焼効率を高めて、燃費も走りも向上させています。組み合わされるミッションは、新開発の軽量化と高効率化を両立したCVTを採用し、燃費性能はWTLCモードで20.8~25.0km/Lを実現しています。
ハスラーは運転支援システムも充実しています。夜間の歩行者も検知するステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラサポート」をはじめ、ターボ車には全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールと車線逸脱抑制機能を搭載し、高速道路での追従走行も可能で、ドライバーの負担を軽減してくれます。
現行型ハスラーの登録済み未使用中古車の価格帯は約89.8万~308.5万円。高価格帯のクルマはカスタム済車となっています。グレードでは、ハイブリッドG 2WD車が最多ですが、特別仕様車のJスタイルがオススメです。
「ダイハツタフト(未使用車率62.7%)」全体的に流通量多し。660G、660Gターボだけでなく特別仕様車のGクロムベンチャーも!
軽SUVのダイハツタフトは、2020年6月に登場しました。DNGAと呼ばれる新プラットフォームに加えて、進化した軽量高剛性ボディ「Dモノコック」を採用し、車両剛性を向上させています。そしてなんといってもタフトの特徴は、全車に開放感一杯のスカイルーフトップを標準装備していることでしょう。
搭載するエンジンは燃焼効率を高めた直列3気筒自然吸気とターボで組み合わせるミッションは全車CVTですが、ターボ車にはD-CVTを組み合わせることで気持ち良い加速フィールを実現しました。燃費性能はWLTCモードで19.6~20.5km/Lとなります。
運転支援システムはステレオカメラを搭載したスマートアシストを搭載。撮像性能を向上させることで夜間歩行者の検知を可能としたうえ、衝突回避ブレーキの対応速度引き上げなど進化しています。さらに全車速追従機能付きACCをターボ車に設定するなど利便性を向上させています。
タフトの中古車は約2,019台流通していますが、そのうち62.7%にあたる約1,226台が登録済み未使用車となっています。タフトの登録済み未使用車の価格帯は約99.9万~239万円。グレードでは660Gが最も多く、660Gターボも比較的多くなっています。また、特別仕様車のGクロムベンチャーの流通台数が多いのは注目です。
「日産ルークス(未使用車率45.9%)」ベーシックモデルの660Sと660Xが中心だが、ハイウェイスターも意外とある
先代モデルはデイズルークスという名前でしたが、2020年3月に登場した現行型は、デイズファミリーから独立したことでルークスとなりました。現在、ルークスの中古車は約1,221台流通していますが、45.9%の約588台が登録済み未使用中古車となっています。
2019年に登場した現行型デイズと同じプラットフォームを採用し、大人4人がゆったりと過ごせる室内空間を実現しています。ルークスの魅力はインテリアで、運転席をはじめ全てのシートは、疲れを軽減する効果のある「ゼログラビティシート」を採用。さらに、フロントシートのヒップポイントを先代モデルより高くしたことにより、広い視界を確保し運転しやすいのが特徴です。またリアシートのニールームは795mmもあり大人の男性でもゆったりと座ることができます。さらにリアシートは最大で320mmのスライドが可能で、一番前にスライドさせれば、675mmという荷室の床面の長さを実現し、高い積載能力を発揮します。
搭載しているエンジンは、660cc直列3気筒自然吸気とターボの2種類で、2kWを発生するモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムを採用しています。組み合わされるトランスミッションは全車CVTで、燃費性能はWLTCモードで16.4~20.8km/Lとなっています。
安全装備は軽自動車の中でもトップレベルで、前方を走行する2台前の車両を検知し、急な減速などにより自車の回避操作が必要と判断した場合に警報によってドライバーに注意を促す「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」を軽自動車として初搭載しました。さらに、高速道路などでアクセル&ブレーキに加えて、ハンドル操作もシステムが行うプロパイロットを設定するなど運転支援システムが充実しています。
ルークスの登録済み未使用中古車の価格帯は約80万~234.8万円。グレードではベーシックモデルの660Sと660Xが中心。第3位にハイウェイスターXが続きます。ルークスの中古車を購入する際にはプロパイロットの装着にこだわりたいです。
「ホンダN-VAN(未使用車率41.2%)」パーソナル仕様の+スタイルファン2WD車が多い
ホンダN-VANは2018年7月に新世代の軽バンとして登場しました。N-BOXと同じプラットフォームを採用し、高い走行&安全性能と圧倒的な積載能力が特徴です。現在、N-VANの中古車は約1,148台流通していますが、約473台。41.2%が登録済み未使用車です。
N-VANの特徴は軽バンに求められる広い積載スペースと積載作業の効率向上を実現するため、軽バンとして初めてセンターピラーレスを採用したこと。助手席側の開口幅は1,580mmを実現し、長尺物の積み降ろし作業などの使い勝手を向上しています。
室内空間は助手席スペースにも荷物が積めるようにリアシートに加えて、助手席シートもフラットに収納できるダイブダウン機能を採用。ダイブダウンした助手席からテールゲートにかけて段差のないフラットで広大なスペースが広がります。
搭載しているエンジンは660ccの直列3気筒自然吸気とターボの2種類。組み合わされるトランスミッションはCVTを中心に6速MTも用意されています。安全装備は全グレードにホンダの運転支援システム、Honda SENSINGを標準装備しています。
N-VANはビジネスユースがメインですが、+スタイルなどパーソナルユース仕様もあり、広い室内空間は車中泊などにピッタリです。N-VANの登録済み未使用車の価格帯は約114.9万~268万円。グレードではパーソナル仕様の+スタイルファンの2WD車が多くなっています。
半導体不足による新車の納期遅延が続く現在は、自分の好みを多少抑えてでも、納車の早い登録済み未使用車を狙うというのが賢い買い方なのかもしれません。
※記事の内容は2022年4月時点の情報で制作しています。
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みんなのコメント
実際発表通りに販売好調なら、もっと頻繁に見かける筈なのに、今まで一度しか見た事ない。