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インターフェース、電動化、運転支援システムを中心にアップグレードしたVW「ゴルフ ヴァリアントTDI Rライン」の買い得度

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インターフェース、電動化、運転支援システムを中心にアップグレードしたVW「ゴルフ ヴァリアントTDI Rライン」の買い得度

 フォルクスワーゲンは、ステーションワゴンのことを「ヴァリアント」と名付けている。新型「ゴルフ」が8年ぶりにフルモデルチェンジした次の年、「ヴァリアント」も新型になった。「ゴルフ」同様に「デジタル化」「電動化」「ドライバーアシスタンスシステム」の3点を重点的にアップグレードしての登場だった。

新しいディーゼルエンジンはNOxの排気量を大幅に削減

クルマに乗ったらまず確認を!意外と忘れがちな座席やミラーの調整ポイント

 デジタル化には、デジタルインターフェイスを採用し、電動化は48Vマイルドハイブリッドを採用、モーターのアシストでスムーズな発進や加速を手に入れた。運転支援システムでは同一車線内全車速運転支援システムを実用化した。ボディーサイズは旧型に対し、全長を65mm、ホイールベースを35mm延長したことで後席と荷室が広くなった。



「ヴァリアント」はデビュー当初は、1.0Lと1.5Lのマイルドハイブリッドのみの設定だった。その後、2021年12月にハッチバックの「ゴルフ」に2.0LのTDIのディーゼルターボが加わった。「ヴァリアント」にもディーゼルを、というユーザーの願いがかなうまで約1年。2022年11月にようやく「ヴァリアント ディーゼル」が発売されたのだ。

 新しいディーゼルエンジンはNOxの排気量を大幅に削減する手段として、ツインドージングシステムというSCR触媒コンバーターを持つ技術を採用。これにより先代モデルよりも80%のNOx削減に成功している。同時にドライバビリティも向上した。

 今回、試乗したのは「Rライン」。4グレードのラインナップの最上級グレードだ。直4、2.0Lディーゼルターボの性能は、最高出力150PS、最大トルク360Nm、7速DSGセミATが組み合わされている。エンジンをスタートさせると、アイドリングでは若干の振動はあるが、ディーゼルのガラガラ音は抑えられている。

 ドライビングモードは、カスタム/スポーツ/コンフォート/エコの4モードで、液晶画面からモードを選択する。スタートはまずコンフォートモードから。走り出し、2000回転あたりからアクセルレスポンスがよくなる。同時にエンジン音もうなり音がやや高まる。0→100km/hの加速テストでは、一気に4200回転まで上昇して加速をするが、その時はエンジン音もかなり大きくなるものの、一般走行では、高速道の100km/h巡航では、Dレンジ7速で1500回転、6速にシフトダウンしても1900回転なので、エンジン音は気にならない。ちなみに0→100km/hの加速は8秒台なので、スポーティワゴンに属する性能といえる。



 サスペンションは、前輪がマクファーソン・ストラット、後輪は4リンク式が組み合わされている。「ゴルフ」はハッチバックがデビューした時から、4グレードある「アクティブベーシック」と「アクティブ」は、後輪にトーションビームを採用していた。上級2グレードの「スタイル」と「Rライン」は、4リンク式を採用していた。これが、ディーゼルエンジン搭載車では、全グレードで、後輪は4リンク式になった。スペック的には後輪のトレッドが、最上級の「Rライン」以外は5mmだけ拡いのだが、その効果は、一般道を走行してもわからなかった。

クセの少ないファミリーカーにはピッタリのセッティング

 乗り心地はコンフォートでも60km/hあたりではゴツゴツ感があり、目地や段差越えはソリッドに近い硬さがある。スポーツではさらにこの動きは強くなる。しかし、「ヴァリアント」という性格上、後席や荷台に人や荷物を載せる機会が多いので、この位の硬さは必要だろう。ハンドリングはコンフォート、スポーツともに、操舵力はやや重め。直進時は安定感があり、コーナーでの動きも抵抗感は少なく、安定した動きだった。このクセの少なさが、ファミリーカーにはピッタリのセッティングといえる。

 旧型よりも長くなったホイールベースと全長のおかげもあり、室内は明るく、圧迫感がない。前席の着座位置はやや低めで、頭上のスペースも広い。圧迫感がない。シートは背もたれがハイバックタイプで、体の支えもしっかりしている。後席も着座位置が低めなので、頭上の広さも十分。降りるときの足着きもよい。床面中央のトンネルはやや高めなので、大人は左右1名ずつが快適定員。足元も狭くない。残念なのは、ドアウインドが全開ではなく、下のほうに少しだけ残ってしまうこと。

 背もたれは4/2/4分割で、前倒しできるが、やや斜めだ。荷室は、奥行き、左右幅ともに1m以上あり、開口部も路面から610mmと低いので、荷物の出し入れもラクだった。トノカバーも高さが約460mmあり、引き出すと2段階で停められるので、使い勝手は良かった。サブトランクは、フルサイズのスペアタイヤが入り、その上にはカバーや床板がないので、荷室として使いずらかった。床板があれば、使える。

 ディーゼルエンジンが加わった「ゴルフ ヴァリアント」は、ちょっとデジタル化が進みすぎる傾向にはあるが、安心して乗ることができる実用車だった。ディーゼルターボの燃費も実走値で10~18km/Lと、カタログ値19.0km/L(WLTCモード)に迫る数値も記録した。



「ヴァリアントTDI Rライン」の車両本体価格は441万6000円。輸入車ブランド別の販売台数ではトップの座を明け渡しているが、実力は十分だ。

■関連情報
https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/golfrvariant.html

文/石川真禧照 撮影/萩原文博

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