トヨタの若手ラリードライバー育成プログラム『TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム』に参加している勝田貴元が、10月25~27日に行われたWRC世界ラリー選手権第13戦スペイン(ラリー・エスパーニャ)にトヨタ・ヤリスWRCで参戦した。勝田にとっては2度目のWRC最上位クラス参戦で、途中メカニカルトラブルにも見舞われたが全ステージを走破、将来に向けて貴重な経験を積んだ。
8月に行われた第10戦ドイツでWRC最上位クラスデビューを果たした勝田。同クラス参戦2戦目となったラリー・エスパーニャは、大会期間中にグラベル(未舗装路)とターマック(舗装路)の両路面を走るミックスサーフェスイベントで、勝田がヤリスWRCでグラベルステージを走るのは、これが初めてのこととなった。
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ラリー・エスパーニャ自体には過去にも出場経験があったものの、今年は大会直前に降った大雨の影響で競技初日のグラベルステージはコンディションが悪化。特に午前中はグリップレベルが低い上、突然滑ってしまう可能性もあるような難しい状況となってしまう。
そのため、勝田とコドライバーのダニエル・バリットは、午前の走行ではタイムを追わずマシンと路面の感触を掴むことに集中。午後からペースを上げる戦略を採った結果、総合9番手で初日を終えることに。
続く競技2日目からはターマック主体の構成となったが、ここで勝田のヤリスWRCには油圧系の不具合からギヤボックストラブルが発生。午前中の3ステージを終えた段階で49台中48番手まで後退してしまった。
総合順位は大きく落としたものの、午後に向けたサービスでトラブルが解消したこともあり、その後は安定したペースで走行。競技最終日も大きなミスなく走りきり、最終的な順位こそ総合39位だったものの無事完走を果たし、ヤリスWRCでの経験値を蓄積した。
■チームも勝田の走りを高評価。「経験を積み重ねれば、世界最高のドライバーたちと対等に戦えるように」
勝田は「今回のラリーは、自分にとって本当に貴重な経験になりました」と大会をふり返る。
「金曜日(競技初日)朝のステージはとても難しい路面コンディションで、想像していた以上に滑りやすい状態でした。そのためアプローチを変更し、まずはステージを走り抜くことに集中しました」
「そして午後はドライビングを改善し、クルマの性能をもっと引き出すようにしたところ、いいタイムが出たので満足しました。(競技2日目の)土曜日は、前日とまったく違うターマックでの戦いとなりましたが、朝最初のステージでクルマにトラブルが起きてしまいました」
「しかし幸いにもステージを走り切ることができ、チームはサービスでクルマを完璧に直してくれました。午後はステージを初めてフルスピードで走ったので決して簡単ではありませんでしたが、ドイツの時よりも速いペースで走ることができました」
「そして、(競技最終日の)日曜日はとてもいいステージで、より大きな自信を持って走れました。最後までラリーを走り切り、多くの経験を蓄積できたのでよかったと思います。いいタイムを出せたステージもあれば、少しミスをしたステージもあり、そのすべてが将来に向けて意味を持つ学びになりました」
プログラムのインスタクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンも「ヤリスWRCで出場した今回のスペインで、タカ(勝田貴元)のドライビングはさらに進化した」と戦いぶりを評価した。
「初めて出た(第10戦)ドイツの時と比べると、全体的に1kmあたり0.5秒以上速くなった。特に金曜日のグラベルステージは本当にいい走りだったと思う。各ステージのセクタータイムを見ると、WRCのトップドライバーに匹敵するスピードの区間もあったんだ」
「もちろん、ステージ全体を通して高いパフォーマンスを発揮する力はまだないが、今後経験を積み重ねれば、世界最高のドライバーたちと対等に戦えるようになるだろう。このラリーでは、注意深く走らなければならない難しい区間がいくつかあったが、タカは一貫性のある走りでミスなく高いレベルでヤリスWRCを操り続けた」
「それこそが、我々の今シーズンの目標のひとつだったから、タカとダンは本当によくやったと思う」
勝田が挑む次なるイベントは11月7~10日に愛知県と岐阜県で開催される『Central Rally Aichi / Gifu 2019(セントラル・ラリー愛知/岐阜2019)』。同大会は2020年11月の開催が決定したラリー・ジャパンのテストを兼ねるイベントだ。
勝田はこの1戦でもヤリスWRCをドライブし、およそ3年ぶりに国内ラリーへ参戦する。
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