社会人のマナーとして、タクシーに乗る時は、目上の人を上座(運転席の後ろ)に乗せて、下っ端は下座(助手席)という風に教え込まれた人は多いのではないだろうか?
その理由は、「運転席の後ろが一番安全で、入り口から一番遠く落ち着いて乗り降りできるから」と言われている。
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チャイルドシートも、基本的に国産メーカーは、取扱説明書などでリアシートに装着することを推奨している。それは安全だからだろうと、多くの人は考えるだろう。
一般的に、リアシートのほうが安全であるというイメージを持たれているクルマだが、実際のところはどうなのか? クルマの座席で一番安全な位置の最新事情に迫る。
文:国沢光宏/写真:MAZDA、DAIHATSU、ベストカー編集部
ベストカー2019年10月10日号
【画像ギャラリー】JNCAPで衝突安全性能評価(2018年度)が高いクルマたち
■後部座席が安全とは限らない!?
「クルマの中でどのシートが一番安全か?」というのは、クルマ通にとって気になる問題だと思う。達人の皆さん、明確に答えられますか?
後席が最も安全だと考えている人は多いらしく、だからこそチャイルドシートを後席に装着するんだろう。結論から書くと「車種や車格によって大きく違う」となります。
はたまた、ボルボのように「どの席の安全性も同じ」と言い切るメーカーもある。ボルボはチャイルドシートを助手席に装着しても問題ないと言う。以下紹介したい。
チャイルドシートを前席に装着してはいけない理由として、エアバッグがある。衝突の際、乗員を守るためにエアバッグが展開するが、開いたエアバッグがチャイルドシートに当たり、乗員に危害を加える可能性があるからだ
まず安定しているのは運転席と助手席だ。なぜかといえば、世界中の衝突試験が運転席と助手席を基準にしているから。我が国のJNCAPのデータも、運転席と助手席の詳細な数字をキッチリ出しており、改めてチェックしてみたら相当頑張ってます。
例外は助手席エアバッグの付いていない旧世代のタクシー専用車。エアバッグが付いていないだけでなく、助手席の前に計器類などが取り付けられてる。相当の確率で顔面損傷から逃れられまい。タクシーの助手席は絶対乗りたくない。
最新のJPNタクシーは、運転席・助手席にSRSエアバッグとカーテンエアバッグ、前後席にSRSカーテンシールドエアバッグを設定しており、全席で安全性が大幅に向上
では、運転席とリアシート、どちらが安全か? ボルボ以外のメーカーに聞いたってハッキリ教えてくれない。何となく予想できるのは「前席と同じプリテンショナー&フォースリミッター付き高性能シートベルト付きなら相当期待していい」というもの。
運転席と助手席のシートベルトは、衝突の瞬間に炸薬でベルトのゆるみを取り、衝突後はジンワリ伸びて衝撃緩和する。これと同じタイプのベルトがリアに付いていたら、前席に勝るとも劣らない安全性だ。
ただコストダウンすべく手抜きのシートベルトだと前席以上の衝撃を受けることになる。自分のクルマのシートベルト種別をチェックしておくことを勧めたい。
また、後席の安全性を大きく左右するのが追突事故。トランクに代表されるクラッシャルブルゾーン持つセダンや、ミニバンの2列目シートのような乗員後部に空間あるタイプなら、後席の安全性は充分確保されていると考えていい。
いっぽう、ハッチバックやミニバンの3列目シートは厳しい。軽自動車を見ればわかるとおり、追突された時点で後席の生存空間を失う。
リアバンパーとリアシート背もたれまでの距離を測り、フロントバンパーと運転席背もたれまでの距離より短いなら、追突時に大きなダメージを受けると考えていいだろう。
もし軽自動車の後席にチャイルドシートを装着する場合、可能な限り後席を前方にスライドさせること。幼児を乗せるなら軽自動車は推奨しない。
また3列シートミニバンの3列目について言えば、危険極まりないと思ってます。この席の安全性を確認しているのは日本車だとCX-8だけ。そのほかの車種についちゃ聞いても「試験していないのでわかりません」。
マツダ CX-8は、80km/h後面オフセット追突でも、生存空間を確保する。また3列目シートは実用性が高く、長時間の移動にも使える
少なくとも日本の衝突基準に含まれていない。3世代でミニバンに乗るなら、一番将来の短い爺さん&婆さんが3列目に座るべき。私はいつも3列目だ。以上、大雑把ながら概念など紹介してみた。後席が安全だという常識はもう古いです。
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