ラ・メゾン・ド・ビィの「クッキー缶」からブルボンの「ルマンドムース」まで、食担当がハマった6月のハイ＆ロー

日本の菓子の進化。

ラ・メゾン・ド・ビィの「クッキー缶」とブルボンの「ルマンドムース」

今月はふたつの菓子との出合いがあった。それらの菓子の味は、日本人は新しい文化を取り入れ、それをよりよくするのに長けているという内容のコラムを思い出させてくれた。10年ほど前、米『スミソニアン』誌でライターのトム・ダウニーが「How Japan Copied American Culture and Made it Better」というタイトルで寄稿していたものだ。

銀座「ラ・メゾン・ド・ビィ」は、昨年オープンしたスイーツサロンだ。白眉はコーヒーだが、クッキー缶の凄みもなかなかのものである。着色料や保存料、白砂糖を加えず、材料も無農薬、有機にこだわったクッキーはどのピースをかじってもうなる声しかでない味わい。焼成時の形のバラつきも当日の気温と湿度で細かくデータをとることで精度を高め、箱詰めしたときの美しさにもこだわったという。お茶にも合うし、酒にも寄り添う。一方、ブルボン「ルマンドムース」も衝撃的なアイスだった。シグネチャー菓子のルマンドにかかっているココアクリームを基調にムースアイスにしたもの。開封したてのシャリ感のある味わいもいいが、やや溶けてくるとふよふよになり、より濃密な甘さになる。アイスの最前線の味わいは想像のずっと先を行っていた。ふたつの菓子が目指した到達点はそれぞれ違うが、日本の菓子はかくも進化したのかと震えた次第。

HIGH写真は上がフルリール（¥4,100）、下がエリテ（¥5,500）。ふたつの違いはフルリールには中央にビーツメレンゲがあるのと、エリテには畠山製茶の抹茶を使ったクッキーとレモンビネガーのクッキー、そしてバニラボーロがはいっている点。（ラ・メゾン・ド・ビィhttps://bergeronnette.jp/）

LOWすでにルマンドのアイスは発売されているが、ココアクリームに着眼したムースはなかった。片手で食べられるパウチで、すこし溶けた状態でも食べやすい。2025年3月に九州地区限定で先行発売された。（ブルボンお客様相談センター TEL：0120-28-5605）

編集と文・岩田桂視（GQ）