日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表した2022年5月の新車登録台数のうち、気になったのは小型四輪貨物車で「トヨタ ミニエース」が1台登録されていたこと。自販連によると、「職権抹消(3年以上自動車税を納付していないと陸運局で登録が自動的に抹消される)」を経て、再度登録を復活させると、データ上は新車としてカウントされるのだという。
ちなみに、海外に輸出されたクルマが国内で初めて登録されると「新車」の扱いで登録台数にカウントされるといわれているが、自販連によると、この場合は「輸入車」としての扱いになるので、この新車登録台数にはカウントされないという。
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さて、そんなミニエースとはいったいどんなクルマだったのか。ミニエースは、1967年10月に登場したトヨタの500kg積み小型キャブオーバー型トラック。小型車「パブリカ」の空冷水平対向2気筒OHV 800cc・36馬力エンジンをはじめとしたコンポーネントを活用して作ったモデルだった。当時の軽トラック(全長3000mm以下/全幅1300mm以下/排気量360cc以下/最大積載量350kg)に比べて、全長3480mm・全幅1380mmで、1920mmの荷室長は軽トラックより150~200mm程度長く、150kgも多く荷物が積めた。最小回転半径は3.9mと軽トラック並み(キャリイは3.8m)の小まわりのよさも特徴。価格は32万8000円で、31万円の軽トラックのキャリイとさほど変わらない点も、強力なアピールポイントであった。
エンジンは座席下に配置し、後輪を駆動。キャブオーバー型は、鼻先が長いボンネット型に比べて一定の全長では荷台が長くとれるため、荷台の積載効率が高い。車名はほぼ同時に発表したキャブオーバー型バン/トラックのハイエースと兄弟感覚でネーミング。ハイ=上級に対して小型トラックということで「ミニ」と命名。エース(第一人者)はトヨエース以来、受け継いでいるトヨタ商用車伝統のネーミングである。当時のカタログでは「トヨタが生んだ理想のミニ・トラック」としてアピールされていた。
ライバルはいずれも800cc・500kg積みのキャブオーバートラックのダイハツ ニューラインキャブ(軽トラックのハイゼットキャブをベースとした小型車規格のモデル)やマツダ ボンゴトラックであった。全長3215mm(荷台長1870mm)と軽に近いボディサイズを持つニューラインキャブ、全長3770mm(荷台長2210mm)の本格派ともいえるボンゴに対して、全長3480mm(荷台長1920mm)のミニエースは両車のほぼ中間のボディサイズである。ニューラインキャブ38万円、ボンゴ42万5000円に比べると、ミニエースは超戦略的な価格設定だった。
ミニエースはその後、1968年10月にバン(200~400kg積み)とコーチ(7人乗りの乗用モデル)を追加。ラインアップを拡大するが、その後はパブリカの進化に呼応することはなかった。エンジン排気量の拡大や水冷化は行われず、排ガス規制を控えた1975年11月に生産終了となった。
1970年にはカローラ系のコンポーネントをベースにした1クラス上のライトエース(トヨタオート店)を発売しており、市場の上級移行に対応した。なお、ミニエースを販売していたトヨタカローラ店向けには、ラインアップの後釜として、1976年にライトエースとハイエースの間を埋めるタウンエースが発売された。
〈文=ドライバーWeb編集部〉
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みんなのコメント
環境を言い訳に重課してるのに可笑しな話よね。
ディーラーが保管してた、ナンバー無しの展示車を50年振りに登録したとかなのか?