シャコタニストの飽くなき低さへの欲求
燃料タンクはトランクに移設、フロアパネルは底上げを実施!
「ロードクリアランスは1mm!?」低さを追求するあまりフロアまで大加工したマジェスタ!
愛知県のダディモーターワークスは、旧車に新型のエンジンを換装する等のマニアックなマシンメイクが得意のカスタムショップ。メタルワークなどのワンオフカスタムも大得意とし、市販パーツの装着とは質感の違う作業を心がけている。
そんなダディモーターワークスの技術を信頼して集まってくるユーザーチューンドの中で、ひときわ個性的なのがセダンをベースとした超絶ローダウン仕様だ。オーナーの低さに対する拘りはハンパではなく、その執念たるや求道者といっても過言ではないほど。
今回取材したのは、いわゆるメカサス派で、手軽に車高を調整できるエアサスを良しとしない硬派なオーナーのJZS171マジェスタだ。このクルマ、とにもかくにも尋常ではない。なにせ、これ以上車高を落とすにはボディをスライスしていくしかないという状態なのである。
サイドステップの下面に装着されている樹脂製パネルはもはや消耗品の世界。ロードクリアランスは1mmくらい!? 驚くべき低車高だ。
各部を見ていく。究極のローフォルムを求めて車高ダウンしていく過程で障害となったのが、キャビンのフロアとボディ下面のフレーム。特にマジェスタはリヤシートの足元スペースを確保するために、フロアが少し下げてあるのだという。そこで対策としてフレームの移設と約30mmのフロアのかさ上げを敢行している。
室内側を見ると、フロアが作り直されていることが分かる。パイプフレームマシンの構造をモチーフに仕上げたという。
サスメンバーは元々15mm程度上方に上げる加工を施していたが、対策として不十分だったため、さらに15mmほど装着位置をアップ。加えて、アームの付け根も約15mm偏芯して上方に移設している。メンバー取り付け用のスタッドボルトを見れば、装着位置が大幅に高められているのが分かるはずだ。
メンバーなどと同時に、エンジン~ミッション~デフも通しで約15mm高い位置に。また、ミッションマウントが経常的に低くなってヒットポイントとなったため、アルミプレートで平坦なタイプに作り直した。ATのオイルパンも低い位置で心配だが、フロントメンバーより高い位置なので現状は未対策。
トヨタ車を極端な低車高にするとリヤシート下に設置されている燃料タンクがヒットポイントとなり、固定バンドが切れてしまうだけでなく燃料漏れのリスクが発生する。そこで、純正の燃料タンクを取り外し、トランクにレース用の安全タンクを設置して対応している。
車高を下げると相対的にタイヤの位置が上がっていく。最終的には、フェンダー内部の上面や前方(ジオメトリーによる)と接触してしまうため、当たる部分は全て作り直されている。
ちなみに、ホイールのサイズはフロント18×8.5J+35、リヤ18×9.5J+22で、タイヤは205/35、215/35となっている。
極端に落とした車高でアライメントを整えるため、アーム類は調整式の社外品が多数盛り込まれている。そして、ドライブシャフトまで含めてストローク時に干渉する部分はカットして逃げ加工済みだ。
フロントも、アッパーアームのアームロック(アームがフレームに干渉して機能しなくなる状態)を回避するためにナックルアームを短縮加工。サスペンションはケッヘルというブランドのショートストロークタイプ。スプリングはフロントが24kg/mm、リヤが22kg/mmとかなりのハードレートだ。なお、これらアーム類の溶接加工に関しては実績がないため、ダディモーターワークスでは行っていないとのこと。
「ここまでやる人は、滅多にいないでしょうけど、車高を落とす際の注意ポイント等、彼らの車両を通して逆に多くのことを学びました」とは、ダディモーターワークスの尾頭さん。ちなみに、このマジェスタに関してはオーナーが自らDIYで仕上げている部分も多く、手に負えない箇所をダディモーターワークスが協力している感覚だという。飽くなき低さへの探究心が生み出した魔改造マジェスタ、ハンパではない。
●取材協力:ダディーモーターワークス 愛知県豊明市沓掛町神明13 TEL:0562-85-9911
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