この記事をまとめると
■マイナーチェンジしたテスラ・モデルYに中谷明彦さんが試乗
2023年に世界で一番売れたクルマはテスラ・モデルY! なぜ電気自動車がトップに? 世界のEVの10%を占めるモデルYは何がスゴイ?
■「サイバーデザイン」採用でスタイルを一新し装備や快適性も大幅進化
■あらゆる性能がバランスよく向上した電気自動車の新たなベンチマークといえる
テスラの売れ線SUVが大幅刷新
テスラのミッドサイズSUV「モデルY」が2025年モデルとして大幅な改良を遂げ、注目を集めている。今回、最新のモデルYのRWDモデルに試乗する機会が得られたので、その印象をリポートしよう。
モデルYは大人気のモデル3をベースにSUV化したもので、2023年の登場以降、全世界で毎年100万台のセールスを記録しているミリオンセラー車となっている。
その外観は、テスラのサイバートラックで話題となった新しいデザイン言語である「サイバーデザイン」を採用している。フロントフェイスは、従来の縦長のヘッドライトから、横一文字の細長いヘッドライトへと変更され、よりシャープで近未来的な印象を与えている。
リヤデザインも一新され、ゲートにはフロントと同じく横一文字のテールランプが装備される。量産車として初となる「拡散反射技術」という、間接照明のような手法を取り入れていた。
テールゲートエンドはダックテール状に造形され、19インチのホイール+カバーデザインと相まって、車両全体ではダウンフォースを発生しながらも空気抵抗係数(Cd値)は従来の0.23から0.22へと改善されているという。
また、ドアミラーの形状変更も行われ、空力性能向上と風切り音の改善など静粛性向上に寄与している。
車内に足を踏み入れると、ミニマリスティックなデザインが広がる。なんの説明も受けなければ、ドアを開けることも最初は難しい。カードキーをもって運転席に乗り込めば、自然とイグニッションがオン状態となり、一般的なスタート/ストップボタンは存在しないのだ。
センターコンソールには15.4インチの大型タッチスクリーンが配置され、ここで車両のほとんどの機能を操作できる。ただ、これも説明を受けなければミラーを合わせることも、ステアリングのチルトやテレスコピックを調整することもできないだろう。
発進にあたって、ドライブレンジをDにすることも説明なしには不可能と思えた。しかし、一度説明を受けて覚えてしまえば、あとは直感的に操作することが可能で、実用性はむしろ高いと感じさせられるから不思議だ。デジタル世代にはとくにすんなりと受け入れられるようだ。
今回のモデルYではウインカーレバーがステアリング左側のレバー方式となり、これだけは一般的なクルマと同じで、むしろその物理的な操作感に違和感を感じるほどだった。
装備面も充実している。シートベンチレーション機能や、後部座席用にも8インチのタッチスクリーンが搭載され、後席のシートヒーターやリクライニングの調整が行えるほか、エンターテインメントも楽しめる。
後席に関していえば、足もとフロアがフラットになり、またヒップポジションとの高低差が最適化されていて座り心地が改善された。
モデルSやモデルXなど、フロア下に大容量のバッテリーを搭載したモデルでは、フロアが高いことから後席の着座姿勢が「体育座り」に近く、腰に負担がかかってくるのが懸案だったが、それが解消されたのはありがたいことだ。
フロントの軽さが効いた高いアジリティ
試乗したRWDモデルでは、最高出力342馬力のシングルモーターがリヤアクスルに搭載され、0-100km/h加速は5.9秒と公表されている。実際の走行でもその数値に違わぬ力強い加速を体感できる。
アクセルを踏み込むと即座にトルクが立ち上がり、スムースかつ力強い加速が得られるのだが、他社BEVに見られがちな獰猛な加速Gではなく、ジェントルな加速フィールに調教されていた。
航続距離はWLTP基準で547kmとされており、日常の使用において十分な距離をカバーできている。テスラ車はCHAdeMOはアダプターを介して充電可能、さらに独自のスーパーチャージャーを首都圏中心に全国に配置。RWDは最大175kWの急速充電に対応させている。
走行フィールは、サスペンションの再調整やハンコック社製のノイズ最適化タイヤの採用により、ハンドリングと乗り心地のバランスを図っているが、実際には路面の凸凹に対しバネレートが高く、とくに後席では突き上げが強く現れている。
マルチリンク式のリヤサスペンションはアルミダイキャスト製フレームにマウントされ、高い剛性を確保しているが、RWDゆえに後輪モーターやデファレンシャル一体型コンバーターのユニット重量、バッテリー重量、後席乗員やラゲッジなどの積載重量を考慮して硬いバネレートが与えられているようだ。
逆にフロントまわりはモーターレスのためミッドシップ車のように軽い。ボンネットフード内にはAWDと同サイズのトランクスペースが確保されているが、容量は大きくなく、それもフロントの軽さに拍車をかけている。
したがって、ステアリングの応答性は高まり、コーナリング時の安定感も増している。車体ロールが抑えられ、フラットな姿勢でコーナリングできるので、SUVとは思えないほどアジリティに富んでいるのだ。
ルーフは全面ガラスを採用して開放感を高めているが、結果として車体剛性には一部の周波数域において不足を感じさせられる。また、真夏の炎天下における室内温度の高まりも懸念されるところだ。
新型モデルY RWDの価格は558.7万円からの設定で、高性能な電動SUVとしては競争力のある価格設定となっている。加えて補助金枠も最大限使えるので、400万円以下で買える地域もあるようだ。
モデルYは、デザイン、性能、快適性のすべてがバランスよく向上しており、電気自動車の新たなスタンダードを示す1台といえる。日常使いから長距離ドライブまで幅広いシーンで活躍できるBEVの選択肢としては高いプライオリティを感じさせるが、果たしてBYDやヒョンデなどの競合モデルと比較したらどんな結果になるか、機会があれば乗り比べてみたい。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
あとは「モノ」単体でちゃんと判断出来る人が日本にいないのが問題。右習え思考でブランド信仰の人が大半だからね。
それにこういうフロントマスクの車があるのも知らなかった。
でもアメリカのソフトウェアカンパニーのビジネスの仕方は知ってるので自動車を買うことはないかな。